各メーカーのV2Hの対応車種紹介!導入方法もあわせて解説
最終更新日:2023.06.23V2H
EV(電気自動車)を蓄電池として活用できると注目のV2Hですが、対応車種があるのをご存じでしょうか。
V2Hの活用を前提にEVを検討したい場合は、あらかじめV2H対応車種かどうか確認しておくのが大切です。
この記事では各メーカーのV2H対応車種について、スペックを含めてご紹介していきます。またなぜ輸入車に導入できないかの疑問にもお答えします。
V2Hの設置や費用についても解説しますので、ぜひ参考にして導入を検討してください。
目次
世界や国内のEV普及状況やV2Hの導入状況解説
まずは、世界や国内のEVおよびV2Hの普及状況について確認していきましょう。
V2Hとは簡単に
V2Hは「Vehicle to Home(車から家へ)」の略称で、EVに蓄えた電気を家庭の電化製品などにも使用できる、双方向充放電可能なシステムです。
通常の充電設備は、家庭からEVへ充電させる機能しか搭載されていません。なぜなら、直流・交流変換の機能がないためです。
V2Hには直流・交流変換機能があり、家庭から流れてきた交流電力を直流へ変換し、EV用バッテリーへ給電される仕組みです。また、EVに貯められた直流電力は、V2Hで交流電力へ変換したのちに家庭へ供給されます。そのため、EVを蓄電池としても利用できるようのが、特長の1つです。
また、EVのバッテリーは大容量で、家庭用蓄電池としてのポテンシャルが高く、V2Hはそれを活用できるシステムとして注目されています。
メインとなる機能は「EVに給電する」「EVバッテリーから家庭に放電可能」「直流電気を交流電気に変換できる」の3つです。
V2H・EVの日本の導入状況は
V2Hの導入状況を解説する前に、現在EVが世界でどのくらい普及しているのかを確認しておきたいと思います。
国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、2020年度の世界の自動車販売台数は新型コロナウイルスの影響で、前年比で16%落ち込みました。
しかしEVにおける販売台数は、約300万台とむしろ前年比で約50%も増加したようです。世界のEV市場は着実に拡大しています。さらに、2022年のEV販売台数は1,000万台を超え、右肩上がりで導入台数の増加している状況です。
一方、日本においてEVの新車販売台数は2020年度で約1万5000台。普及が加速している状態とは言えません。2022年は約3万台と少しずつ増えているものの、ガソリン車の方が普及している状況です。
しかし国は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で、2030年にはEV達成率100%を掲げています。
そのためEVの普及に伴い、V2Hの需要も増加する可能性は非常に高いといえます。
実際、2017年には日本では7,000 基以上の V2H システムが活用されているという報告があり、V2Hの導入は進んでいます。
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各メーカーの対応車種やスペック紹介!
それではここから各メーカーのV2H対応車種やスペックをご紹介していきます。これからEV購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
※対応車種に関して各メーカーのウェブサイトを参考に2023年9月時点の情報を確認。サイト上に記載のない項目は空欄とさせていただいております。
【トヨタ】対応車種
※左右にスクロールできます
車種 | MIRAI | プリウスPHV | RZ450e | bZ4X | UX300e |
車両種別 | FCV | PHEV | EV | EV | EV |
総電力量(バッテリー容量) | – | 8.8kWh | 71.4kWh | 71.40kWh | 72.8kWh |
年式 | 全年式 | 2019年5月改良「乗車定員5名の車両」 | 全年式 | 全年式 | 2023年3月発売分よりV2H対応 |
充電上限 | – | 約100% | |||
放電下限 | – | 約0% | |||
特徴 | 水素をエネルギーとして発電し走行する自動車。CO2を排出しないため環境に負荷をかけない。水素が満タンな場合、最大9kWの出力で約60kWhもの電力量を供給することができる。 | ガソリンと電気を燃料とする低燃費なプラグインハイブリッドカー。V2H充電時間はガソリン満タンで約110分。充電時間が短いのが特徴。 | 71.4kWhの大容量バッテリーを搭載しているのが大きな特徴。V2Hにも対応していて、充電スケジュールを登録しておけば、タイマー充電も可能。 | トヨタが初めてBEV(電気自動車)の製造販売を始めたシリーズで、リース専用車として利用可能となっている。 | 上質な走りや静音性の高さといった点が特徴の自動車で、大容量バッテリーという点もメリットの1つ。2023年の改良分よりV2Hへ対応可能 |
【日産】対応車種
※左右にスクロールできます
車種 | リーフ | e-NV200 | サクラ | アリア |
車両種別 | EV | EV | EV | EV |
総電力量(バッテリー容量) | 40kWh/60kWh | 24kWh〜40kWh | 20kWh | 66kWh |
年式 | 全年式 | 全年式 | ||
充電上限 | 100%未満 | 100%未満 | ||
放電下限 | 約10% | 約10% | ||
特徴 | 世界的に人気がある日産のEV。2010年に販売され2019年に販売台数40万台を突破。V2H充電時間は約8時間。 | 多目的な商用バンとして販売。5人乗りと7人乗りがあり。V2H充電時間は約8時間。2019年に国内販売終了。 | 軽自動車タイプのEVなので、小回りのきくシリーズ。ちょっとした買い物や普段の通勤などといったシーンで利用しやすいのも特長の1つ。 | 運転支援システムプロパイロット2.0搭載のEVで、日産のEV社でもバッテリー容量の大きなシリーズ。さらに、今後はバッテリー容量91kWhと、国内メーカーの中でも特に大容量なシリーズも販売予定となっている。 |
【本田技研】対応車種
車種 |
Honda e |
車両種別 |
EV |
総電力量(バッテリー容量) |
35.5kWh |
年式 |
全年式 |
充電上限 |
約96% |
放電下限 |
約15% |
特徴 |
ホンダ初のEV。大容量のためV2Hで幅広い活用が可能。災害時の使用には特に安定感が大きい。外装はモダンで可愛く、内装はインパネ全面が5つのディスプレイで覆われたハイテクなデザイン。高トルクモーターを搭載しているので、加速しやすくスムーズに走行できる。さらにSPORTモードへ切り替えれば、力強い加速を楽しめる。 |
【SUBARU】対応車種
車種 |
SOLTERRA |
車両種別 |
EV |
総電力量(バッテリー容量) |
71.4kWh |
年式 |
全年式 |
充電上限 |
不明 |
放電下限 |
不明 |
特徴 |
トヨタとの共同開発EV。150kW出力の急速充電器なら、約30分で満充電量の80%チャージ可能。ルーフに搭載したソーラーパネルで太陽光発電が可能。上位グレードのET-HSは上革シートを採用した高級感のあるモデル。 |
【三菱】対応車種
車種 | エクリプスクロスPHEV | アウトランダーPHEV | eKクロス EV | ミニキャブ・ミーブ |
車両種別 | PHEV | PHEV | EV | EV |
総電力量(バッテリー容量) | 13.8kWh | 20kWh | 20kWh | 16kWh |
年式 | 全年式 | 全年式 | ||
充電上限 | 100%未満 | 20kWh | ||
放電下限 | 約20% | 約4%(22年式以降) | ||
特徴 | アウトドア利用を重視した本格的なクロスカントリーSUV。ガソリンと電気が燃料のプラグインハイブリッドカー。 | 2022年にフルモデルチェンジ。SUV仕様のPHEV車では世界一の販売台数。ガソリンと電気が燃料のプラグインハイブリッドカー。 | 軽自動車タイプのEVで、小回りの利く車両を求めている方に使いやすい1台。また、小型ながら1回の充電で180km走行できるため、長時間の走行にも実用的なモデルといえる。 | 軽商用EVで、力強い走行性能を持っている。仕事用としても活用しやすく、リヤシートを収納すると1m以上の荷室を確保できる。 |
【HYUNDAI】対応車種
車種 |
IONIQ5 |
車両種別 |
EV |
総電力量(バッテリー容量) |
58kWh〜72.6kWh |
年式 |
全年式 |
充電上限 |
100%未満 |
放電下限 |
約20% |
特徴 |
韓国自動車メーカーHYUNDAIから発売されたEV。バッテリー容量が58kWhのベースグレードとバッテリー容量72.6kWhの大容量の2タイプがあり。販売はすべてオンラインでのやり取り。 |
【マツダ】対応車種
車種 | CX-60 | MX-30 EV |
車両種別 | PHEV | EV |
総電力量(バッテリー容量) | 35.5kWh | |
年式 | ||
充電上限 | ||
放電下限 | ||
特徴 | クロスオーバーSUVのPHEVモデルで、EVモードの際は静かで快適な走行を楽しめるのもメリットの1つ。力強い加速やステアリングの良さも特長といえる。 | マツダ初のEVモデルで、スタイリッシュかつ重厚感のあるデザインも魅力の1つ。 |
【BYD】対応車種
車種 | ATTO3 | DOLPHIN |
車両種別 | EV | EV |
総電力量(バッテリー容量) | 58.56kWh | 44.9/58.56kWh |
年式 | ||
充電上限 | ||
放電下限 | ||
特徴 | 中国のメーカーBYDから提供されているEVで、日本向けに販売されている。バッテリー容量が大きく、災害時には約4日分の電力を家庭へ供給可能。 | コンパクトEVモデルで、小回りのきく車両を求めている方に乗りやすいといえる。バッテリー容量はグレードによって異なり、ロングレンジモデルならATTO3と同じ容量で充電可能。 |
【メルセデスベンツ】対応車種
車種 | EQE | EQS |
車両種別 | EV | EV |
総電力量(バッテリー容量) | 90.6kWh | 107.8kWh |
年式 | ||
充電上限 | ||
放電下限 | ||
特徴 | メルセデスベンツからさまざまなEVが販売されていてEQEは、国内向けに販売されていてなおかつV2H対応となっている。また、バッテリー容量が大容量で、4人家族の平均的な電気使用量なら約6日間の給電に対応できる。 | EQSは、EQEを上回る107.8kWhのバッテリー容量を誇り、一般的な4人家族の電気使用量なら約1週間まで対応できるようになっている。また、大容量バッテリーなので、航続距離700kmと長距離走行に適しているのが特徴 |
なぜ輸入車はV2Hに対応していないのか
これまでの情報から分かるように、V2Hに対応している車種はほとんどが日本のメーカーです。
しかし、EVには海外製のものが多く存在しますし、中国などではEVバスの開発製造も進んでいます。なぜ海外のEVはV2Hに対応していないのでしょうか。ここではその疑問に詳しくお答えします。
V2Hとは日本発祥の技術
そもそもV2Hは日本発祥の技術です。
これまでEVの充電を自宅の電源から行うことはあっても、EVに蓄えられた電力を家庭へと送電することは不可能でした。
しかし、東日本大震災をはじめとする災害対策への重要性から非常電源の必要性が高まり、蓄電池としてのEVに注目が集まります。
2012年に日本メーカーのニチコンが、バッテリーに蓄えられた電気を家庭へと放電し、利用できるシステムとして、世界初のV2Hを開発しました。その後、V2H対応車種が少しずつ増え始め、前半で紹介したさまざまな車種と連携できるようになります。
輸入車が対応していないのは規格と考え方の違い
海外のEVがV2Hシステムに対応していない理由の一つに、EVに使用するコンセントの規格の問題があります。
日本ではEVに使用するコンセントは、2010年に世界の統一規格として採用されたCHAdeMO(チャデモ)が使われていますが、普通充電と急速充電で形状が違います。
しかし世界には一つのコンセントで普通充電も急速充電も賄える形状のものがあり、CHAdeMO規格では使いづらくなっているというのが現状です。
現在V2Hで使用できる規格も急速充電器用のCHAdeMOのみであるため、輸入車のV2H導入を非常に難しくしています。
また考え方の違いもあるでしょう。日本は災害が多くEVを非常時のバックアップ電源として使うことを想定しますが、海外では停電という事態があまり起こりません。
そのためEVはあくまで走行するものという考え方がメインのためV2Hを必要としません。
日本車でも非対応は存在
日本製のEVでもすべてがV2Hに対応しているわけではありません。
スズキ、レクサスはまだ未対応なので注意してください。また、V2H対応車種にかぎらず各メーカーのEVやPHEVを検討する際は、改良などによるデザインやバッテリー容量、その他機能の変化にも注目です。
これからEVを購入する際にはV2Hに対応しているかを確認することが大切です。
V2Hならでのメリット
災害時に蓄電池として活用できることは把握できた方の中には、まだV2Hを設置すべきか悩んでいるかたもいるかと思います。
続いては、V2Hのメリットを1つずつ確認していきましょう。
普通充電器より充電時間を短縮できる
V2Hの強みといえば、充電時間です。
EVに付属している普通充電器の場合は、一般的に24時間前後の充電時間がかかります。街中に設置されている急速充電設備で充電すれば、数10分で80%程度貯められますが、仕事などで利用できないケースもあります。
V2Hの充電速度は、普通充電器の2分の1程度です。つまり、一般的には12時間前後で充電を完了できます。そのため、帰宅後に充電しておけば、翌日の朝には満充電で通勤や外出することが可能です。
太陽光発電との併用で効率的な自家消費が可能
V2Hを太陽光発電と併用すれば効率的な自家消費を実現できるため、電気料金削減効果を伸ばすことが可能です。
住宅用太陽光発電は自宅の屋根に設置可能な太陽光パネルで、出力10kW未満と小規模ながら毎月数1,000円の電気料金削減効果を見込めます。
しかし、雨の日や曇りの日は発電量が低下してしまい、自家消費率も下がってしまいます。また、夜間や早朝は発電できません。発電量0の時間帯に消費電力量が増えてしまうと、電気料金負担の増加を抑えにくいといえます。
そこでV2HとV2H対応車種を導入しておけば、日中に発電した電気をEVへ貯めておけます。あとは、消費電力の多い時間帯や夜間など発電量0・低い場面で自家消費すれば、電力会社からの買電量を大幅に削減できるようになります。
電気料金負担を軽減させる上でもV2Hは、メリットの大きな設備です。
V2H利用時の注意点
ここからは、V2H利用時に注意すべきポイントを解説していきます。
V2H導入に費用がかかる
EVがあることを前提として、ここではV2Hの導入の費用について簡単に解説します。
V2Hの初期費用は、本体価格と設置工事費用の2種類で構成されています。また、施工販売業者によって見積もり内容は変わるため、丁寧な対応で施工実績あり、更に費用の比較的安い業者から検討するのが大切です。
費用相場は、本体価格60万円前後、施工費用35万円前後の傾向です。そのため、合計で100万円程度の費用がかかります。
ただし、国や自治体の補助金制度で数10万円程度の費用を軽減できるので、100万円未満の負担に抑えられます。
自治体によってはEVだけではなく、交付対象設備としてV2Hに補助金がおりる場合があります。自分の住んでいる自治体に確認してみましょう。
利用頻度が増えた際にEVのバッテリーの劣化が早まる可能性
V2Hを活用してPHEVやEVを蓄電池代わりに利用した場合、バッテリーの交換時期が早まる可能性もあります。
そのため、通勤や出張などで自家用車を利用する方は、特にバッテリーの劣化に気を付ける必要があります。
バッテリー劣化を少しでも抑えたい場合は、家庭用蓄電池を導入し、トライブリッドパワコンで効率的に運用していくのもおすすめです。ニチコンから販売されているトライブリッド蓄電システムは、1台のパワーコンディショナで太陽光発電と家庭用蓄電池、V2Hを同時制御可能な製品です。EVのバッテリー劣化が気になる時は、家庭用蓄電池をメインに充放電すれば自家消費しながらEVの負担をカバーできます。
エコでんちでは、ニチコンのトライブリッド蓄電システムも取り扱っているので、ぜひお気軽にご相談ください。
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V2Hの導入方法を解説
V2H設置はまず施工業者に依頼をして設置場所の調査や、機器の種類を決定しなくてはいけません。
また電力申請や事業計画変更申請に関する許可申請が必要になるため、施工業者と工事契約後に許可申請の手続きを行います。
申請の許可がおりるのは通常5〜6ヵ月ほど。自宅に太陽光発電を設置している場合は、1〜2か月で許可が下ります。
その後配線を含めた設置の工事が完了すればV2Hの使用が開始できます。
まとめ:対応車種をしっかり確認してV2H導入を検討しよう!
海外EVでは対応がされていないV2Hですが、蓄電の必要性と共に今後世界的に注目される可能性を秘めています。
またEVが普及するにつれ、国内でのV2Hの重要性も高まるでしょう。
そのためにも対応車種をしっかり確認してV2Hを導入することが大切です。
またV2Hは太陽光発電との併用でさらに有効に活用することが可能になります。
ぜひ併せて導入することをおすすめします。
エコでんちでは、環境省認定の公的資格「うちエコ診断士」と「うちエコ相談員」の資格を取得した専門アドバイザーが、V2Hの選定と提案を行っているため非常に安心です。
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