2025年4月1日施行!建築確認制度が大きく変わりました―カーポートへの新制度の影響―
最終更新日:2025.05.27 産業用

2025年4月1日から、建築確認・検査が必要な建築物の範囲が大きく見直されました。
今まで確認申請が不要だった地域や建物も、新制度では申請が必要になるケースが増えています。
特に「うちは田舎だから建築確認はいらないよね」と思っていた方は要チェックです。
これまでは都市計画区域等の区域外における「2階建て以下かつ延べ面積500㎡以下」の木造建築等は、建築確認・検査の対象外でした。
しかし、建築物の安全性確保と省エネ基準適合義務化に伴い、制度が大きく変わりました。
この記事では、一般住宅オーナーやこれから住宅を建てる予定の方、特にカーポートなどの付帯設備を検討している方に向けて、制度改正の内容と具体的な対応方法を解説します。
目次
建築確認とは?
建築確認とは、建築基準法に基づいて行われる審査制度で、建物が安全性や防火性などの法的基準を満たしているかを事前にチェックするプロセスです。
簡単に言えば、「この建物は法律に適合していて、安全に建てられますよ」というお墨付きを行政から得る手続きです。建築確認を受けなければ、原則として建物を建てることはできません。
建築確認は以下のような目的で行われています。
●安全性の確保:地震や火災など災害に強い建物づくりを促進
●居住環境の保護:日照や通風など生活環境を守るための基準チェック
●まちづくりの調和:無秩序な建築を防ぎ、計画的なまちづくりを実現
建築確認が必要なケースとは?
一般的に以下のような場合に建築確認が必要です。
建築確認が必要なケース
●新築工事
●増築工事(建物を大きくする)
●改築工事(建物の一部を取り壊して新しく造り直す)
●大規模な修繕や模様替え
住宅本体だけでなく、カーポートやテラス、物置などの「工作物」も一定規模以上になると確認申請が必要になることがあります。特にカーポートは、後述するように「屋根があり」「固定されている」「一定面積以上」の場合、確認申請の対象となるケースが多いのです。
4号建築物はどう変わる?新分類制度を解説

【改正前】4号建築物とは?
改正前の4号建築物は、主に小規模建築物を指し、以下のものが該当します
•木造の場合…高さ13メートル以下、屋根の高さが9メートル以下かつ2階建てまでのものや延床面積が500㎡(テニスコート2面分)以下の建物
•木造以外の場合…単層で延床面積200㎡以下の建物
また、「4号特例」という制度があり、これらの建築物に対する構造関係規定や防火避難規定などの一部審査が省略される仕組みでした。これは、審査人員の不足に対応し、建築の効率化を図るために設けられていましたが、同時に「設計や工事を管理する建築士に構造関係の規定や防火避難に関する規定の遵守を一任」する制度でもありました。
【改正後】新分類制度
2025年4月からは、4号建築物は廃止され、新たに「新2号建築物」と「新3号建築物」に分類されます
•新2号建築物…2階建て以上または延べ面積200㎡以上の建築物で木造か非木造かは問いません。
•新3号建築物…延べ面積200㎡以下の平屋です。
この改正により、一般的な広さ・2階建て以上の住宅は新2号建築物に分類され、審査省略の制度の対象外となります。すなわち、全ての地域で建築確認・検査(増改築・大規模修繕・模様替を含む)が必要となるのです。
改正後の建築確認・検査の対象範囲
改正のポイントは、いわゆる「4号特例」の縮小にあります。この背景には、建築物省エネ法の改正により、2025年4月から「原則すべての新築住宅に省エネ基準適合義務が義務付けられる」という状況があります。
具体的に影響を受ける工事には以下が含まれます。
•新築工事:これまで確認不要だった区域外の小規模建築物も対象に
•増改築:既存建物に対する増築や改築工事
•大規模修繕:建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕
•模様替:建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替
ここで用語の整理をしておきましょう。
•修繕:既存の建造物の部分に対して、おおむね同様の形状・寸法・材料により行われる工事
•模様替え:おおむね同様の形状・寸法によるが材料・構造種別等は異なるような既存の建築物の部分に対する工事
カーポート設置にも影響あり!知っておくべき申請の必要性
実はこの法改正、住宅本体だけでなく「カーポート」などの付帯設備にも大きな影響があります。各自治体によって細かな規定は異なりますが、一般的に以下の条件に当てはまるカーポートは建築確認申請が必要です。
建築確認申請が必要なカーポート
●屋根が付いている
●基礎が地面に固定されている
●床面積が10㎡を超えている
※床面積が10㎡以下の場合でも「防火地域・準防火地域内」の土地に設置する場合は申請が必要となります。標準的な2台用カーポートは通常10㎡を超えるため、多くの場合、建築確認申請の対象となる点に注意が必要です。DIYでの設置や、確認申請不要と考えての業者依頼では、後述するような法的リスクが生じる可能性があります。
建築確認申請の具体的な流れ
カーポートを含む建築物の確認申請は、以下の流れで進めます。
1.事前相談
まずはお住まいの都道府県庁・市町村役場の建築指導課や都市計画課へご相談ください。例えば「名古屋市 カーポート申請」と検索すると関連情報が出てきます。地域によって細かな規定や必要書類が異なるため、この事前相談は非常に重要です。
2.自分で申請する場合
建築主事へ建築確認申請を行います。この際、以下のような専門書類や各種写真等の準備が必要となります。
準備する書類
•確認申請書
•設計図書(配置図、平面図、立面図、断面図など)
•構造計算書(必要な場合)
•土地の権利関係を証明する書類
•その他自治体が定める書類
申請後、内容に問題がなければ「建築確認済証」が交付され、着工できる段階に入ります。工事完了後は、建築主事による完了検査を受ける必要があります。
3.建築士に代行申請を依頼する場合
基本的には建築確認申請は施主が行いますが、専門資料の準備等が大変なため、建築士に代行を依頼するケースが一般的です。「建築確認申請 代行」と検索すると多くの設計事務所の情報が出てきます。建築士法に基づいて建築士が代行することが可能で、費用は案件により様々です。カーポートの設置計画段階でお近くの設計事務所などへ確認することをお勧めします。
申請を怠った場合のリスクと罰則
無申請で建てられた建築物は違法建築物とみなされ、以下のようなリスクを抱えることになります。
今後の売買が困難になる:違法建築物は適法に是正するまで売買が難しくなります
不動産の評価額が低下する:資産価値が大きく下がる可能性があります
自治体からの撤去命令:最悪の場合、建物の撤去を命じられることもあります
また、違法建築物と認識していながら隠したまま売却をすると、買主からの損害賠償請求が発生する恐れがあります。こうしたリスクを避けるためにも、適切な手続きを踏むことが非常に重要です。
建ぺい率の問題とカーポート設置の可能性
カーポート設置を検討する際にもう一つ重要なのが「建ぺい率」の問題です。
建築基準法では、建築物は「土地に定着する工作物のうち、屋根および柱もしくは壁を有するもの」と定義されています。そのため、カーポートも建築物に含まれ、建ぺい率の制限を考慮する必要があります。
「我が家はすでに建ぺい率いっぱいで、これ以上建てられないのでは?」と心配される方も多いでしょう。しかし、カーポートは「建ぺい率が緩和される建造物」に該当する可能性が高いのです。
建ぺい率緩和の条件
カーポートが建ぺい率緩和の対象となるための一般的な条件には以下があります。

•軒の高さが2.1m以上である
•柱の間隔が2m以上
•地階を除く階数が1階
•外壁のない部分が連続して4m以上
土地の用途地域によっても建ぺい率は様々です。また、各自治体によって上限や緩和条件が定められているため、詳しくは自治体への相談をおすすめします。
まとめ:法改正をしっかり押さえて必要に応じて手続きを!
2025年4月の法改正について、以下のポイントを押さえておきましょう。
●新制度の理解:4号建築物が「新2号」「新3号」に再分類され、確認申請が必要な範囲が拡大します
●カーポート設置の注意点:カーポートも建築確認申請が必要になるケースが多いため、事前に確認が必要です
●適切な手続き
•自治体への事前相談
•必要書類の準備または専門家への依頼
•確認済証取得後の工事着手
•完了検査の受検
●罰則の認識:無申請での工事は重い罰則や資産価値低下などのリスクを伴います
●建ぺい率への配慮:カーポートも建ぺい率に算入されますが、条件によっては緩和措置があります
法改正に伴う手続きは専門性が高く、自治体によって詳細が異なります。まずはお住まいの都道府県・自治体への確認、ご相談を行い、必要に応じて建築士などの専門家に依頼することをお勧めします。「知らなかった」では済まされない重要な制度改正です。
しっかりと準備を整え、安全で合法的な建築を実現しましょう。
※本記事の内容は2025年4月1日施行の法改正に基づいていますが、最新情報や地域ごとの詳細な規定については、必ず各自治体にご確認ください。
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