太陽光発電のメンテナンス義務化について詳しく解説!
最終更新日:2024.07.12太陽光発電
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住宅用太陽光発電の導入を決めた場合は、太陽光発電関連の規制や条例などについて一定程度把握しておく必要があります。中でもメンテナンス義務化に関する内容は、これから住宅用太陽光発電を扱う上で特に重要なポイントです。
そこで今回の記事では、太陽光発電のメンテナンス義務化やメンテナンス内容についてわかりやすくご紹介していきます。住宅用太陽光発電を初めて導入する方や住宅用太陽光発電関連で気を付けておくべきポイントを知っておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
太陽光発電のメンテナンス義務化とは?
太陽光発電におけるメンテナンス義務化とは、FIT法に定められた法的な義務に関する内容のことです。
FIT法は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の略称で、2012年に施行されました。同法律にはFIT制度(固定買取価格制度)に関するさまざまな内容が定められています。
また、2017年4月に改正FIT法として改正が行われ、(再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律)メンテナンス義務化の対象設備に関して内容が変更されました。
これまでメンテナンス義務化の対象設備とされる太陽光発電は、FIT認定を受けた出力50kW以上の太陽光発電みとされていました。
ただし、FIT法の改正後は、FIT認定を受けた出力10kW未満の住宅用太陽光発電もメンテナンス義務化の対象とされています。
そのため、これから住宅用太陽光発電を導入する方の中でFIT制度を活用する方は、メンテナンス義務化の内容に沿って設備を維持管理していく必要があります。
なお、FIT認定を受けていない太陽光発電でも出力50kW以上の場合は、電気事業法によってメンテナンス義務化対象です。
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太陽光発電のメンテナンスと保守点検の違い
メンテナンスは、太陽光パネルや周辺機器、部材の清掃や洗浄といった作業を指しています。一方、保守点検とは、太陽光発電システムの目視点検や機械点検、電気点検を通じて、故障や異常などを確認する作業のことです。
ただし、メンテナンス義務化には、メンテナンスと保守点検どちらの意味も含まれています。そのため、保守点検についても、定期的に実施していく必要があります。
太陽光発電の保守点検やメンテナンスは専門業者が対応
太陽光発電の保守点検やメンテナンス対応については、太陽光発電専門の施工販売業者やO&M業者で行ってくれます。
通電状態や絶縁抵抗値といった電気的な計測の他、固定金具などの状態確認、部品交換といった作業は、専門資格を取得した業者でなければ対応してはいけません。そのため、住宅用太陽光発電の保守点検やメンテナンス作業については、専門業者へ任せることが可能です。
エコでんちでは、住宅用太陽光発電のメンテナンスサポートにも対応しております。これから太陽光発電を導入したい方などは、ぜひお気軽にご相談ください。
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太陽光発電のメンテナンス・保守点検時期
太陽光発電のメンテナンス時期に関する法的な規制はないため、ガイドラインなどについて熟知している施工販売業者へ相談するのがおすすめです。
太陽光発電のメンテナンス時期に関する目安は以下の通りです。
メンテナンス時期 |
概要 |
設置から1年目 |
初期不要の有無を確認など |
設置から5年目 |
経年劣化や破損している部分の確認や精密点検など |
設置から9年目以降は、4年ごとに電気的な計測や経年劣化の状況、破損箇所の有無などを確認してもらいましょう。
その他にも日常点検として毎月1回程度は、設備を所有している方や専門業者が目視点検を行います。また、災害などで破損もしくは発電に異常が発生した場合は、速やかに専門業者へメンテナンスを依頼するのが大切です。
太陽光発電に必要とされているメンテナンス・保守点検内容
太陽光発電の保守点検やメンテナンス作業も専門業者で対応してもらいます。そのため、専門的なレベルのメンテナンス内容を把握する必要はありません。
ただし、住宅用太陽光発電の異常に気付いたり優良業者を見つけたりするには、ある程度メンテナンス内容についても理解しておくのが大切です。
続いては、太陽光発電の主な保守点検・メンテナンス内容についてわかりやすく解説していきます。
メンテナンス作業は主に洗浄や清掃・交換作業
太陽光発電におけるメンテナンス作業は、主に洗浄と清掃・交換作業の3点です。
たとえば、架台や配線の固定金具の緩みチェックや増し締め、太陽光パネルの洗浄、接続部品の交換、パワコンの清掃といった内容になります。また、劣化や不具合によって性能低下している太陽光パネルやパワコンがあれば、交換してもらうことも可能です。
太陽光発電は外に設置しなければいけないため、太陽光パネルや配線ケーブルなどにホコリや砂、その他汚れが付着してしまいます。特に太陽光パネルに汚れが蓄積していると、発電量の低下につながります。
また、ホットスポットの発生につながる可能性もあるため、定期的に洗浄・清掃してもらう必要があります。
ホットスポットは、パネルの一部分のみ影や汚れなどで発電できない状態で、他の部分から発電された電気を流せません。
そのため、影のできた部分のみ発熱してしまい、故障や火災などに発展する場合があります。
そこで太陽光発電の専門業者は、定期点検などの際に太陽光パネルや周辺機器の洗浄作業を行っています。
目視点検による異常確認
目視点検では、以下のような作業が行われています。太陽光パネルだけでなく、設備全体の異常について確認してもらえるのが特徴です。
・太陽光パネルのホットスポットに関する有無の確認
・太陽光パネル表面が割れていないかの確認
・パワーコンディショナの目詰まりなどの確認
・配線ケーブルの傷や劣化を確認
・接続部分のゆるみや外れ、劣化や破損の確認
その他には、架台や太陽光パネル、パワーコンディショナの固定状態を確認してもらえます。万が一各機器の固定金具がゆるんでいると落下事故につながるため、専門業者では固定金具についても確認しています。
また、各目視点検の際に破損などが見つかった場合、修理や交換作業を進めてもらえます。
精密点検による機器内部の異常確認
精密点検では、目視点検で把握しきれない部分を専用機器で測定および確認してもらえます。
たとえば、漏電チェックでは、絶縁抵抗計という機器で電流値を測定してもらいます。また、ホットスポットの有無を確認する方法として最近では、ドローンによる赤外線測定なども行われています。
他には、太陽光パネルの発電量を測定したり接地抵抗を測定したりしてもらえます。接地抵抗(アース)は、落雷によって生じた電気が地面に流れるかどうか調べるための点検で、万が一正常に機能してなければ、漏電や感電事故を招いてしまいます。
このように電気点検は、設備の故障や劣化具合を確認するだけでなく家庭の安全を守る上でも極めて重要な作業といえます。
住宅用太陽光発電の所有者で対応できる日常的な確認作業
住宅用太陽光発電の所有者で対応できる日常的な確認作業は、太陽光モニタを用いた発電量のチェックです。
通常、住宅用太陽光発電システムには、太陽光パネルやパワーコンディショナ、配線ケーブルや接続箱の他、発電量を計測・表示できる専用のモニタが付属しています。
モニタはタブレットのように自宅内のどこにでも設置できるので、いつでもリアルタイムで発電量を確認することが可能です。
モニタをチェックする際に注意すべき事象は、晴れの日にもかかわらず通常より発電していない・発電量0といったパターンです。このような状態は、少なくとも正常な発電を行っていないため、速やかに専門業者へ確認してもらいましょう。
ちなみに太陽光発電用のモニタでは、電力会社から購入した電力量や売電量についても計測されているので、自宅の消費電力量を把握する際にも役立ちます。
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住宅用太陽光発電のメンテナンス・保守点検費用相場
住宅用太陽光発電のメンテナンス・保守点検費用は、一般的に年間5~10万円程度とされています。
経済産業省の「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」によると住宅用太陽光発電の維持管理費用は、1kWあたり年間約5,800円程度とされています。1ヶ月に直すと、1kWあたり約483円になります。
維持管理費用にはパワコンの交換費用も含まれています。
たとえば、出力5kWの運転維持費用は、年間約2.9万円程度です。
一般的な住宅用太陽光発電は出力4.5kWや5kW程度なので、年間約2万円~2万3,000円のメンテナンスおよび維持管理費用と言えます。
なお、修理交換の際は、太陽光パネルの交換で1枚あたり10万円程度、パワーコンディショナなどの周辺機器で5~40万円程度の費用がかかります。
出典:経済産業省ウェブサイト(令和6年度以降の調達価格等に関する意見)
住宅用太陽光発電のメンテナンスはなぜ必要?
住宅用太陽光発電のメンテナンス義務に関する内容、費用について確認した方の中には、費用の関係からメンテナンス・点検頻度を抑えたい方や必要性について疑問を覚えている方も多いかと思います。
そこでここからは、住宅用太陽光発電のメンテナンスがなぜ必要なのかという点ついてわかりやすく解説していきます。
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メンテナンスや点検を怠るとFIT認定を受けられない
定期的なメンテナンスや点検を怠った場合、FIT認定が取り消される場合もあります。
まず住宅用太陽光発電の費用回収をスムーズに進めるためには、FIT制度の活用も重要です。FIT制度は、一定期間固定の単価で電力を買い取ってもらえる、再生可能エネルギーの導入を支援する制度になります。
出力10kW未満の住宅用太陽光発電は、10年間余剰電力を固定単価で買い取ってもらえます。(余剰電力:自家消費後に余った電力)2024年度にFIT認定を受けた場合は、1kWhにつき16円の固定買取価格で10年間売電を行うことが可能です。
さらに住宅用太陽光発電でFIT制度を活用した場合は、固定買取期間と同じく10年程度で初期費用を回収できます。そのため、FIT制度の活用にはメリットがあります。
しかし、メンテナンスや保守点検を行わずに発電し続けてしまうと、FIT認定の取り消し処分を受けてしまいます。
初期費用回収をスムーズに進めるためにも、メンテナンスや保守点検を怠らないようにしましょう。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー (meti.go.jp))
太陽光発電の故障や破損リスクが上がる
メンテナンスが義務化されていなかったとしても定期的なメンテナンスや保守点検は、太陽光発電の故障や事故を防ぐ上で欠かすことのできない作業です。
そもそも太陽光発電は、メンテナンスフリーではありません。
定期的に架台や太陽光パネル、パワーコンディショナ、接続箱、配線ケーブルといった各機器や部材の状態をチェックし、状況に応じて修理交換しなければ正常に稼働しません。
また、台風などの災害や経年劣化で、ボルトなどの固定金具が緩んだり破損したりしている可能性もあります。そのまま放置していると太陽光パネルの落下や飛来による事故、第三者への賠償責任といった事態へ発展する場合があり、非常に危険です。
他にもパワコンや太陽光パネルなどは経年劣化によって性能が落ちていくため、定期的な交換や修理によって発電性能を引き上げたり元に戻したりといった対策も必要になります。
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ホットスポットに気付かず運用してしまうことも
太陽光発電の定期メンテナンスを行わない状態が続くと、ホットスポットに気付かず運用し続けてしまうリスクも出てきます。
特に鳥のフンや落ち葉などが太陽光パネルに付着したまま放置するとパネルの一部分が発熱するホットスポット現象を引き起こすことが分かっています。
「ホットスポット」とは、太陽光パネルが”局所的に発熱して高温になる不具合”、またはその”発熱した部分”を指します。
太陽光パネルが発電しているときの温度は、通常時で約50℃〜70℃程度、真夏の30℃を超えるようなときでは70℃〜80℃です。
80℃でも十分に高温に思えるかもしれませんが、例えば東芝の太陽光パネルの動作温度は-40℃〜85℃となっており、十分作動可能な範囲内です。
ところが、「ホットスポット」現象生じた箇所の温度は100℃以上になり故障や火災のリスクが上がります。なかには300℃近くになるといった事例もあります。
ホットスポットに至るまでの流れは、まず太陽光パネルの一部が影や鳥のフンもしくは内部回路の故障によって発電量0となります。発電できない状態では、他の太陽電池から流れてきた電気を次の太陽電池へ送電することができません。
発電量0の太陽電池には次々と流れてくる電流を送電できないため、電気抵抗も上昇して発熱し始めます。このような状態がホットスポットです。また、一部の太陽電池が故障してしまう現象でもあるため、発電量の低下を招いてしまいます。
しかし、ホットスポット現象で注意すべきポイントは、発電量低下だけではありません。
ホットスポットによって発熱した太陽電池の周辺では、熱の影響で故障してしまう可能もあるほか、火災を引き起こすリスクが生じます。
また、火災が発生してしまうと太陽光発電の焼失や破損だけでは済みません。住宅の焼失や命にかかわる問題でもあるため、事故に至らないよう常日頃から発電量のチェック、定期的なメンテナンスと保守点検を実施する必要があります。
住宅用太陽光発電お太陽光パネルに蓄積した汚れは、屋根に登らなければ落とせません。しかし、屋根に登ること自体危険ですし、太陽光発電に触れることは感電を招きます。
太陽光パネルの清掃や洗浄技術の高い施工販売店やメンテナンスサービスへ依頼することが、あらゆるリスクを抑えながら太陽光発電を正常に稼働させるために重要なポイントといえます。
第三者へ損害を与えてしまうリスクが上がる
住宅用太陽光発電のメンテナンスや点検を怠ってしまうと、設備の不具合を原因とした第三者への損害といったリスクにつながります。つまり、賠償責任というリスクが生じるため、定期メンテナンス・点検は欠かせません。
たとえば、固定金具の破損でパネルや部材ごと飛んだり落下したりしてしまい、通行人や近隣の住宅へ直撃してしまう可能性もあります。また、第三者への損害によって損害賠償責任が発生するので、メンテナンス頻度の低下や放置は危険です。
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メンテナンスでリパワリングによる発電性能の向上を見込める
住宅用太陽光発電は、経年劣化によって少しずつ発電量や発電効率が低下していきます。定期メンテナンスによってパワコンや太陽光パネルを最新の製品へ交換できれば、設置当初よりも多くの発電量を期待できますし、電気料金の負担を更に軽減することが可能です。
つまり、リパワリングの機会を得られるのが、定期メンテナンスのメリットでもあります。
リパワリングとは、劣化などで性能の低下した部品や機器を新品へ交換する作業のことです。太陽光パネルやパワーコンディショナの技術は年々向上しており、発電効率や制御機能なども改善し続けています。
たとえば、近年では、n型太陽電池モジュールという新型パネルも開発されています。同パネルなら、従来のパネルで発電できなかった早朝や夕方といった低照度でも発電できるほか、高温環境下での発電性能を維持してくれます。
メンテナンスの機会があることで、5年前・10年前に設置した太陽光パネルやパワーコンディショナを新品へ交換できるようになります。
まとめ
住宅用太陽光発電は、発電量の改善や維持、安全な稼働といった意味でも定期メンテナンスの必要な住宅設備です。また、改正FIT法によってFIT認定を受けた住宅用太陽光発電は、メンテナンス義務化の対象とされています。
家計負担に悩んでいる方や省エネや節電だけで電気料金負担を抑えられない方は、今回の記事を参考にしながら住宅用太陽光発電設備の比較検討を進めてみてはいかがでしょうか。
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