太陽光発電に点検は必要?維持費や費用相場について
最終更新日:2024.05.22太陽光発電
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自宅で電気の自給自足を目指せると人気な太陽光発電。
太陽光発電システムは設置して終わりなのではなく、定期的に点検を行いながら運用していくことが必要です。
また、点検の重要性は2017年改正の「改定FIT法」にも定められていて、太陽光発電の運用においては適切なメンテナンスを実施することが設備認定の対象に定められています。※1
つまり、FIT制度を利用するためには、専門業者へ定期点検の契約を行う必要があります。
しかし、太陽光発電の導入が初めての方にとって、点検の必要性やコストなどに関する疑問点は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、太陽光発電の点検がなぜ必要なのか、メンテナンスの内容や費用について紹介していきます。
メンテナンスや維持費についての知識を身につけ、正しい運用や太陽光発電設置の判断をしていきましょう。
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目次
太陽光発電に点検が必要な理由
太陽光発電の点検が大切な理由は、冒頭でも触れたように改正FIT法で定められていることだけではありません。
故障や不調を防ぎ本来の発電性能を発揮するためにも、メンテナンスは欠かせないのです。
まずは、太陽光発電におけるメンテナンスの重要性について解説していきます。
1.故障や不調を防ぐため
太陽光パネルや周辺機器は外に設置されているため、常に雨風にさらされている電子機器です。
ゆえに気候の変化や鳥のふん、飛んできた枝やゴミなどで、太陽光パネルは汚れたり傷ついたりしやすい傾向にあります。また、パワーコンディショナの冷却ファン周辺にホコリが蓄積したり、水滴の侵入を招いたりすることもあります。
こういった汚れや小さな傷を放っておくと、そこから部品が腐食したり大きな故障につながったりしてしまい、さまざまな不具合を招きます。
最悪の場合、落下や発火などの事故に発展してしまう可能性もゼロではありません。
故障や不調を防いで安全に発電するためにも、太陽光発電にはメンテナンスが欠かせないのです。
2.発電性能を維持するため
太陽光発電に点検が必要な理由としては、経年劣化によって発電性能が低下してしまうことも挙げられます。
とくに注意したいのが、「太陽光モジュール(ソーラーパネル)」と「パワーコンディショナ」と呼ばれる部位です。
太陽光パネルは発電を行う重要な機器なので、汚れの付着や経年劣化、製造不良などの発生によって発電量の大幅な低下を生じさせてしまうこともあります。
パワーコンディショナは太陽光発電システム全体の制御を担っているため、故障や冷却ファンの目詰まり、汚れの蓄積などによる、出力・制御機能の低下リスクもあります。
他には、ケーブルの断線や被覆の傷などは、漏電や発電停止、火事といった事故リスクなどもあり危険な状態です。
しかし、太陽光パネルやパワーコンディショナといった各種機器・部品の点検を、一般の方が行うのは非常に難しいことです。
そのため、定期的に専門業者を呼んで点検やメンテナンスをしてもらう必要があるのです。
自主的に太陽光発電の点検はできない?
個人で太陽光発電の点検作業を行うことはできません。
まず、太陽光発電設備に触れたり点検を行ったりするには、国家資格を持った者でなければ対応してはいけない法律となっています。さらに、太陽光発電には高電圧の電気が流れているので、感電事故を招く危険性もあります。
このように法律および安全という2点から、個人での点検は避けるべき行動です。
また、屋根に設置された太陽光パネルの清掃や目視点検に関しても、転落事故を招く危険性があります。
個人で対応できる部分は、自宅に設置されたモニタで発電量を監視したりエラーの有無を確認したりといった点です。清掃、点検や修理交換作業は、太陽光発電の専門業者へ依頼しましょう。
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太陽光発電で生じる不具合とは?
太陽光発電における点検の必要性や個人で対応できない理由を把握した方の中には、具体的にどのような不具合が発生するのかわからない方も多いかと思います。
ここからは、太陽光発電で生じる主な不具合について紹介します。
経年劣化
太陽光パネルを含む各機器の経年劣化が進むと、発電量の低下やエラーによる発電停止といった不具合を引き起こします。
そのため、定期点検で劣化状況などを確認してもらい、早めに修理・交換工事を進める必要があります。特にパワーコンディショナの寿命は10年~15年程度と他の機器より短いため、より早めの点検・対応が重要です。
製造・施工不良による故障や漏電
太陽光パネルやパワーコンディショナ、ケーブルなどに製造不良が発生した状態で設置してしまうと、運用後に故障などの不具合を招く場合があります。
一般的に太陽光パネルやパワーコンディショナなどの製造時における不良は、確率の極めて低い事象です。しかし、まれに起こるため、定期点検で早めに異常を発見してもらい、大きな故障や破損を招く前に交換するのが大切です。
太陽光パネルのクラック
太陽光パネルのクラックとは、カバーガラス(表面のガラス)や内部に発生したひび割れのことです。
台風や暴風といった場面では、石などの飛来物が直撃しやすく、クラックを発生させやすいといえます。また、平時でもカラスなどが小石などを落とし、太陽光パネルに直撃してしまう場合もあります。
外部要因以外には、製造時の不良や経年劣化などでクラックが発生してしまうケースもあり、発電量に影響を与えます。
太陽光パネルの発熱
一部の太陽光パネルが、影や故障などで発電を停止していると部分的な発熱を引き起こし、発電量低下につながります。
太陽光パネルの発熱は、パワーコンディショナなど周辺機器の故障やパネル内部の不具合、パネル同士の接続不良などさまざまな原因で起こります。そのため、定期点検で不具合を未然に防ぎ、太陽光パネルへの損傷や発電量低下を防止するのが大切です。
パワーコンディショナの故障
パワーコンディショナの故障は、前段でも軽く触れたように経年劣化によるものだけでなく、落雷や冷却ファンの目詰まり、塩害による腐食など、さまざまな事象によって起こります。
また、精密機器なので、地震の大きな揺れによって故障してしまう場合もあります。そのため、大きな揺れが発生した場合は、なるべく早めに点検を依頼し、パワーコンディショナの回路に異常が起きていないか確認してもらいましょう。
断線
太陽光パネルやパワーコンディショナ、接続箱、分電盤などを接続しているケーブルが、自然災害や経年劣化によって断線したり内部で部分的に破損したりしてしまうケースもあり得ます。
ケーブルの断線は発電停止を招く重大な不具合であることはもちろん、漏電による感電や火災事故の危険性も出てきます。断線を見つけた場合は、早期に施工業者へ連絡しましょう。
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太陽光発電の点検の種類と費用
実際に太陽光発電の点検を行ってもらうときは、どのような方法で点検を進めてもらえるのでしょうか。
ここからは、太陽光発電のメンテナンスや費用について詳しく解説していきます。
太陽光発電の点検に関する最低限の頻度
太陽光発電の最適な点検頻度は地域や天候、使用しているパーツなどによって大きく異なってきます。
ゆえに最適な頻度を一概に言うことはできませんが、基本的には設置後1年で初期不良点検の点検を行い、それ以降は4年おきに行うのが推奨できる最低限の点検頻度です。
太陽光発電の部品の保証は一般的に10年で切れることが多いため、9年目の点検は絶対に行っておきましょう。
また、出力保証も20年前後で切れるケースが多いので、その前にしっかりと劣化具合や故障箇所がないかを確認しておきます。
潮風のせいで塩害が起きやすい沿岸部や落雷・積雪の多き地域では、もう少し点検の頻度を高めておくと安心です。
4年に1度はあくまで目安で、ご自分の地域に合った頻度で点検することが重要です。
太陽光発電に必要なメンテナンスの種類
太陽光発電に必要なメンテナンスには、いくつか種類があります。
ここでは、主に行われることが多いメンテナンスの内容について解説します。
太陽光パネル表面の洗浄・清掃
太陽光発電の施工・点検業者は、太陽光パネルの表面についた汚れや鳥のフンを取り除き、部品についた砂埃などを清掃してくれます。場合によっては、高圧洗浄機を使うこともありますが、パネルメーカーによっては使用が推奨されていないこともあるため要注意です。
高圧洗浄機の水圧に対応できないタイプの太陽光パネルでは、洗浄時にカバーガラスが割れてしまう可能性もあります。また、太陽光パネルを水道水で洗浄してしまうと水垢が付着するため、専用の洗剤で洗浄しなければいけません。点検業者を探す場合は、このようなパネル洗浄に関するノウハウの豊富な業者へ相談しましょう。
目視点検
太陽光発電の目視点検とは、太陽光パネルやパワーコンディショナ、接続箱といった機器類とケーブル・架台などの部材を目視で確認する作業のことです。
以下に目視点検で確認できることを紹介します。
- 架台や接続部分の汚れ、サビ
- ボルトなどの緩み
- 太陽光パネルの割れや破損
- パワーコンディショナの破損
- その他周辺機器、ケーブルの破損
外観に異常があれば、修理や部品・製品の交換工事を進めてもらえます。
電気点検
電気点検では、実際に電流や発熱などを測定する「測定機器による数値測定」を行いながら設備の状態を確認していきます。
太陽光発電の点検作業の内容については、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)がガイドラインを定めています。※2
安全な運用のためにも、ガイドラインの内容を遵守してくれる業者を選ぶようにしましょう。
※2一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」
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太陽光発電のメンテナンス費用
太陽光発電のメンテナンス費用は作業内容によって異なりますが、以下の金額を目安に予算を用意しておきましょう。
● 清掃費用:3万~6万円
● 目視・電気点検費用:1万~2万円
点検の際に故障箇所が見つかった場合、この費用に修理費が加算されることもあります。そのため、太陽光発電を運用する場合は、売電収入や自家消費で浮いた生活費を一部でも点検・修理交換用の予算として確保しておくのが大切です。
太陽光発電の点検以外に発生する費用
太陽光発電の維持・運用をするために必要な費用は、決してメンテナンス費用だけではありません。
最後に、メンテナンス費用以外に発生する費用について紹介します。
1.点検やメンテナンス時の足場費用
太陽光発電の設備が勾配の急な屋根にある場合、点検のために使用する足場を組む必要があります。
その際、点検費用に加えて足場代を追加で支払う必要があるため、余分に予算を用意しておくようにしましょう。
回数や業者によって異なりますが、足場代の相場は5万~10万円程度になることが多いです。
事故を防いで安全にメンテナンスを行うために絶対に必要となる費用ですが、やや高額になることが多いため注意しましょう。
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2.故障や修理箇所の修理費
点検を行っている際に部品の故障が見つかった場合、修理や交換が必要になることがあります。
多くの部品の中でも修理が必要になることが多いのは、以下の部品です。
- パワーコンディショナ:20万~30万円
太陽光パネルで発電した電力を、家庭で使用できるように変換する機器がパワーコンディショナです。パワーコンディショナは電子機器(精密機器)なため寿命が他の機器より短く、購入から10年を目安に交換する必要があります。点検の際はパワーコンディショナも必ずチェックしてもらい、必要に応じて交換しましょう。
- 太陽光パネル:1枚あたり10万~15万円
点検の際、太陽光パネルが劣化していないかどうかも確認していきます。また、もしも異常や劣化が見つかった場合、修理や交換をして対応してもらう必要があります。太陽光パネルの寿命は20年前後と言われていますが、しっかり点検・管理しておけば30年使用できるケースも少なくはありません。
交換の場合は、1枚あたり10~15万円程度の費用がかかる傾向です。交換枚数が多ければその分費用負担も大きいので、こまめな点検および設置環境に合った仕様の太陽光パネルを導入しましょう。
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- その他部品の修理:部品によって異なる
配線の劣化や売電メーターなど、太陽光発電にはさまざまな電子機器が多く含まれています。こういった部品を点検確認し、必要に応じて修理するのも発電停止や事故を防ぐ上で重要です。
ただし、保証期間内の場合はメーカー保証で修理可能ですし、火災保険の対象になって費用が安く抑えられる可能性もあります。
太陽光発電のメンテナンスや修理は費用が高くなりがちなので、保障や保険などを活用してお得に運用していきましょう。
定期的な点検で安全な太陽光発電の運用を
太陽光発電は雨風にさらされている電子機器で、温度や湿度の影響なども受けています。そのため、定期的な点検を専門業者へ依頼する必要があります。
地域や機器によっても異なりますが、4年に1回を目安に専門業者に点検を依頼しましょう。
なお、点検の際は、足場代や部品の修理費用などがかかることもあります。
余裕を持って予算を用意し、万が一の場合は保障や火災保険なども活用しながら費用を抑えたメンテナンスをしていきましょう。
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