【2025年最新】太陽光発電のメンテナンス費用と点検!最新動向を完全解説
最終更新日:2025.05.27 太陽光発電

自宅で電気の自給自足を目指せると人気な太陽光発電。
太陽光発電システムは設置して終わりなのではなく、定期的に点検を行いながら運用していくことが必要です。
また、点検の重要性は2017年改正の「改定FIT法」にも定められていて、太陽光発電の運用においては適切なメンテナンスを実施することが設備認定の対象に定められています。※1
つまり、FIT制度を利用するためには、専門業者へ定期点検の契約を行う必要があります。
しかし、太陽光発電の導入が初めての方にとって、点検の必要性やコストなどに関する疑問点は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、太陽光発電の点検がなぜ必要なのか、メンテナンスの内容や費用について紹介していきます。
メンテナンスや維持費についての知識を身につけ、正しい運用や太陽光発電設置の判断をしていきましょう。
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目次
太陽光発電に点検が必要な理由

太陽光発電の点検が大切な理由は、冒頭でも触れたように改正FIT法で定められていることだけではありません。
故障や不調を防ぎ本来の発電性能を発揮するためにも、メンテナンスは欠かせないのです。
まずは、太陽光発電におけるメンテナンスの重要性について解説していきます。
1.故障や不調を防ぐため
太陽光パネルや周辺機器は外に設置されているため、常に雨風にさらされている電子機器です。
ゆえに気候の変化や鳥のふん、飛んできた枝やゴミなどで、太陽光パネルは汚れたり傷ついたりしやすい傾向にあります。また、パワーコンディショナーの冷却ファン周辺にホコリが蓄積したり、水滴の侵入を招いたりすることもあります。
こういった汚れや小さな傷を放っておくと、そこから部品が腐食したり大きな故障につながったりしてしまい、さまざまな不具合を招きます。
最悪の場合、落下や発火などの事故に発展してしまう可能性もゼロではありません。
故障や不調を防いで安全に発電するためにも、太陽光発電にはメンテナンスが欠かせないのです。
2.発電性能を維持するため
太陽光発電に点検が必要な理由としては、経年劣化によって発電性能が低下してしまうことも挙げられます。
とくに注意したいのが、「太陽光モジュール(ソーラーパネル)」と「パワーコンディショナー」と呼ばれる部位です。
太陽光パネルは発電を行う重要な機器なので、汚れの付着や経年劣化、製造不良などの発生によって発電量の大幅な低下を生じさせてしまうこともあります。
パワーコンディショナーは太陽光発電システム全体の制御を担っているため、故障や冷却ファンの目詰まり、汚れの蓄積などによる、出力・制御機能の低下リスクもあります。
他には、ケーブルの断線や被覆の傷などは、漏電や発電停止、火事といった事故リスクなどもあり危険な状態です。
しかし、太陽光パネルやパワーコンディショナーといった各種機器・部品の点検を、一般の方が行うのは非常に難しいことです。
そのため、定期的に専門業者を呼んで点検やメンテナンスをしてもらう必要があるのです。
3.法的義務を満たすために
太陽光発電には、点検に関する法的義務が課されています。そのため、太陽光発電を導入した場合には、専門業者へ定期点検を依頼しなければいけません。
点検に関しては、電気事業法と改正FIT法で義務付けられています。電気事業法では、出力50kW以上の非FIT/FIT型太陽光発電に対して点検が義務付けられています。改正FIT法については、2017年に内容が変わりました。
2017年4月1日以前の法律では、出力50kW以上のFIT型太陽光発電について、点検の法的義務が課されていました。その後、2017年4月1日に改正FIT法が施行され、出力50kW未満のFIT型太陽光発電も点検の対象です。
つまり、FIT型太陽光発電の場合は、出力にかかわらず点検を実施しなければいけません。FIT認定を受けていない太陽光発電については、出力50kW以上であれば点検に関する法的義務が課される仕組みです。
法的義務とされている理由には、安全性と効率が関係しています。太陽光発電は、長期間稼働していると経年劣化などによって発電効率の低下を招いてしまいます。また、点検せずに稼働させていると、発熱、部品のゆるみ・がたつき、電子部品の故障といった事態を引き起こすリスクもあります。
そのため、太陽光発電に対して、点検が義務とされています。
もし、法的義務とされている点検を怠った場合は、行政からの改善命令のほか、FIT認定の取り消し処分を受けてしまう可能性もあり、注意が必要です。
4.設備の寿命を延ばすメリット
太陽光発電の点検・メンテナンスを実施することによって、設備の寿命を延ばせる可能性があります。
太陽光発電はメンテナンスフリーではありません。長年使用していると少しずつ劣化していくため、パワーコンディショナーや太陽光パネルの故障リスクが上がったり、架台などの破損につながったりする場合もあります。
そこで定期点検・メンテナンスを実施すれば、早期に部品のゆるみ、機器類の異常を発見でき、修理交換をスピーディに進めることが可能です。すると、設備全体の寿命を延ばせるため、10年・20年と発電を継続できます。
太陽光発電の自主点検は可能?法的制限と安全性

個人で太陽光発電の点検作業を行うことはできません。
個人で点検を行えれば、点検・メンテナンス費用を削減できると考えてしまう方もいることでしょう。しかし、自主点検には、法律と安全性という点でリスクがあります。
まず、太陽光発電設備に触れたり点検を行ったりするには、国家資格を持った者でなければ対応してはいけない法律となっています。そのため、無資格者が太陽光発電設備に触れたり電気点検などを行ったりしてしまった場合は、違法とみなされます。
さらに、太陽光発電には高電圧の電気が流れているので、感電事故、火災を招く危険性もあります。
このように法律および安全という2点から、個人での点検は避けるべき行動です。
また、屋根に設置された太陽光パネルの清掃や目視点検についても、転落事故を招く危険性があります。地上設置型太陽光発電の点検に関しても、太陽光パネルの目視点検や清掃などで感電してしまったりパネルを破損させたり、脚立からの転落事故を招いたりしてしまう場合もあるため危険です。
個人で対応できる部分は、自宅に設置されたモニタで発電量を監視したりエラーの有無を確認したりといった点です。清掃、点検や修理交換作業は、太陽光発電の専門業者へ依頼しましょう。
自分でできる日常点検の範囲
太陽光発電を所有している方ができる日常点検は、以下の通りです。
●太陽光発電モニタによる発電量などのモニタリング
●パワーコンディショナーからの異音や異臭の有無
太陽光発電設備には、太陽光発電用のモニタが付属しています。モニタには、発電量から自宅の消費電力量、売電量などさまざまな数値やデータなどが表示されています。
万が一、太陽光パネルに異常が発生した場合、発電量の急激な低下を招きます。すると、モニタから発電量の低下を確認できるため、早期に点検を依頼することが可能です。また、エラーコードなども表示できるため、太陽光発電設備の異常を早期に確認できます。
モニタのチェック以外には、パワーコンディショナーの確認作業も行えます。
パワーコンディショナーは、屋内の壁もしくは外壁に設置されています。そのため、脚立などで登らなくとも目視で確認することが可能です。ただし、パワーコンディショナー本体には触れないようにしましょう。
あくまで異音・異臭がしていないかといった点の確認に留めておくことが、事故を防ぐ上でも重要です。
なお、上記以外の点検やメンテナンスについては、専門業者へ依頼する必要があります。
専門業者に依頼すべき点検項目
専門業者に依頼すべき点検項目は、電気点検と機械点検、目視点検の3つです。
また、主に以下の部分を点検してもらいます。
● 太陽光パネル
● パワーコンディショナー
● 接続箱
● 配線ケーブル
● 電力量計
● 架台
● ブレーカー
目視点検では、太陽光パネルや配線ケーブル、パワーコンディショナー、架台など各部品や機器類について、破損や異常などないかチェックしてもらいます。一方、機械点検は、架台とパネルの接続部分に関するゆるみチェックや締め直しをはじめとした、各部品の状態を点検してもらう作業のことです。
電気点検は、電圧や電気抵抗などを測定してもらい、発電量などに異常がないか確認してもらいます。
このような各点検には、感電や怪我の危険性などもあります。たとえば、屋根に設置された太陽光パネルを目視点検するためには、登らなくてはいけません。また、太陽光パネルの電気点検を実施するためには、通電している部分へ測定機器をあてなければいけません。このような作業を素人が行ってしまうと、感電や転落事故を招く危険性もあります。
そのため、専門知識や技術の必要な電気点検・機械点検・目視点検については、専門業者へ依頼しましょう。
DIY点検の注意点と安全対策
太陽光発電の日常点検を行う際は、まず自主点検可能な範囲を把握しておきましょう。
前段でも触れたように電気点検と機械点検については、専門業者へ依頼する必要があります。目視点検については、モニタリングやパワーコンディショナーの異音チェックなど一部を除き、専門業者へ依頼すべきです。
また、太陽光パネルの目視点検や洗浄については、個人で行わないようにしましょう。パネル洗浄や目視点検では屋根に登って作業を行わなければならないため、転落事故の危険性があります。
そこで日常点検を行う際は、太陽光発電モニタのチェック、パワーコンディショナーのフィルター交換、異音や異臭の確認のみにとどめておくことが大切です。
一般的なパワーコンディショナーにはフィルターが搭載されています。目詰まりを起こしてしまうと、発熱や変換効率の低下を招いてしまいます。そのため、定期的にパワーコンディショナーのフィルター交換を実施し、発熱や異音、異臭など起きていないか確認しましょう。
自己点検のチェックリスト
住宅用太陽光発電の自主点検では、前述のとおり以下の作業のみにとどめておきましょう。
● 太陽光発電モニタを日々チェック
● パワーコンディショナーの異音、異臭の有無に関するチェック
● パワーコンディショナーのフィルター交換
モニタのチェックについては、毎日行うのが大切です。毎日発電量などを確認しておけば、早期に発電量低下やエラーコードを発見できます。
一般的なパワーコンディショナーにはフィルターが搭載されています。目詰まりを起こしてしまうと、発熱や変換効率の低下を招いてしまいます。そのため、定期的にパワーコンディショナーのフィルター交換を実施し、発熱や異音、異臭など起きていないか確認しましょう。半年もしくは1年に1回の頻度で行っていきましょう。
また、地上設置型太陽光発電を運用していく場合は、発電量や売電量のチェックだけでなく、敷地内の清掃や除草作業なども必要です。
2024年最新!太陽光発電メンテナンスの動向

太陽光発電の点検・メンテナンスに関する必要性は、さまざまな理由から年々高まっています。
まず、太陽光発電の保険料や免責金額が高騰しており、太陽光発電事業者、所有している方の負担も増えています。保険で損害を補填しにくく、故障による影響が大きいといえます。そこで点検やメンテナンスの頻度を高めれば、故障リスクを抑えられる可能性もあります。
そして、気候変動による自然災害リスクは高く、太陽光発電の故障・破損リスクも高い状況です。そのため、点検やメンテナンスを通じて災害対策を行っておくことが重要です。
地上設置型太陽光発電の場合は、上記に加えてケーブルの盗難リスク、気候変動による雑草の増加といったデメリットも存在します。このようなデメリットについては、点検やメンテナンスによって抑えられる可能性もあります。
このようにさまざまな理由から、太陽光発電の必要性は高まっている状況です。
それでは、太陽光発電の点検・メンテナンスに関する動向を解説します。
改正FIT法によるメンテナンス義務化の影響
太陽光発電の点検・メンテナンスに関する状況は、改正FIT法によっても変化しています。
まず、FIT法は、2012年7月に施行されました。主な内容は、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの電力を一定期間買い取っていくというものです。また、FIT認定を受けた太陽光発電については、出力50kW以上のみ点検・メンテナンスが義務化されています。
しかし、点検管理の行われていない太陽光発電も増えてきたため、2017年4月に改正FIT法が施行されました。改正FIT法では、出力50kW未満のFIT型太陽光発電についても点検が義務化されています。
つまり、FIT認定を受けて住宅用太陽光発電を導入する方は、点検業者を調べたり定期点検に対応している業者へ依頼したりしなければいけません。
最新のメンテナンス技術とコスト削減方法
近年、太陽光発電の点検・メンテナンスにおいて、さまざまな最新技術が使用されています。
たとえば、地上設置型太陽光発電をはじめとする事業用太陽光発電の点検には、ドローンが活用されているケースもあります。
太陽光パネルの異常を見つけるためには、目視もしくは専用機器を用いて各パネルの状態を調べる必要がありました。しかし、従来の方法では時間がかかるため、作業コストや時間という点でも課題の多い状況です。
そこで専門業者では、本体に赤外線カメラなどが搭載されたドローンでパネル全体を空撮、さらに測定しています。まとめて複数の太陽光パネルを点検できるため、効率的に測定できるのが大きなメリットです。
また、太陽光パネルの異常を早期に見つける手段として、AIが用いられているケースもあります。最新のAI解析システムでは、あらかじめ取り込んでいた太陽光パネルの画像・映像を自動で解析し、従来の方法では発見できなかった小さな汚れ、傷なども発見してくれます。
そして、太陽光パネルの洗浄作業は、通常人の手で行われています。しかし、メガソーラーなど大規模な設備では、洗浄作業だけでも長時間かかってしまいます。
そこで近年開発されたのが自動洗浄システムです。自動洗浄システムの場合は、本体を太陽光パネルの表面に設置するだけで、自動走行しながら洗浄を行ってくれます。人の手で洗浄せずにするため、作業コストの削減につながります。
このように太陽光発電の点検・メンテナンスは日々進化しており、コスト面でもメリットの多い内容です。
とくに大規模な事業用太陽光発電を検討している方は、AIやドローンなどを活用した点検方法について検討してみてはいかがでしょうか。
AI・IoTを活用した遠隔監視システムの普及
産業用太陽光発電の運用管理には、遠隔システムが欠かせません。近年、遠隔監視システムの技術についても進化してきています。
産業用太陽光発電向けの遠隔監視ステムとは、太陽光発電所から離れた事務所から遠隔監視装置を通じて発電量、その他設備の状態をチェックできるシステムのことです。
産業用太陽光発電は、都市部から離れた山林などに設置されることも多いです。そのため、管理スタッフを常駐させるのが難しいといえます。遠隔監視システムは、スタッフを配置しなくとも発電量などを常時チェックできるため、コスト面でもメリットの大きな仕組みです。
そして、近年の遠隔監視システムには、AIを用いたシステムも出てきています。
AI搭載型の遠隔監視システムは、独自のアルゴリズムで太陽光発電所の異常を早期に発見・通知してくれます。そのため、従来のシステムは難しかったケースでも、スピーディに発見、対応することが可能です。
住宅用太陽光発電向けには、IoTにつながるシステムも普及しています。たとえば、いくつかのメーカーから販売されている太陽光発電+HEMSは、HEMSによって家庭内の消費エネルギーを見える化し、かつ太陽光発電の電力を効率的に活用できるよう電気の使用パターンに合わせて調整してくれます。
自動で太陽光発電の電気を効率的に活用してくれるため、電気料金削減効果を伸ばすことが可能です。
とくに住宅用太陽光発電の導入を検討している方は、太陽光パネルやパワーコンディショナーだけでなくHEMSについても比較してみるのがおすすめです。
太陽光発電で生じる不具合とは?
太陽光発電における点検の必要性や個人で対応できない理由を把握した方の中には、具体的にどのような不具合が発生するのかわからない方も多いかと思います。
ここからは、太陽光発電で生じる主な不具合について紹介します。
経年劣化
太陽光パネルを含む各機器の経年劣化が進むと、発電量の低下やエラーによる発電停止といった不具合を引き起こします。
そのため、定期点検で劣化状況などを確認してもらい、早めに修理・交換工事を進める必要があります。特にパワーコンディショナーの寿命は10年~15年程度と他の機器より短いため、より早めの点検・対応が重要です。
製造・施工不良による故障や漏電
太陽光パネルやパワーコンディショナー、ケーブルなどに製造不良が発生した状態で設置してしまうと、運用後に故障などの不具合を招く場合があります。
一般的に太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの製造時における不良は、確率の極めて低い事象です。しかし、まれに起こるため、定期点検で早めに異常を発見してもらい、大きな故障や破損を招く前に交換するのが大切です。
太陽光パネルのクラック
太陽光パネルのクラックとは、カバーガラス(表面のガラス)や内部に発生したひび割れのことです。
台風や暴風といった場面では、石などの飛来物が直撃しやすく、クラックを発生させやすいといえます。また、平時でもカラスなどが小石などを落とし、太陽光パネルに直撃してしまう場合もあります。
外部要因以外には、製造時の不良や経年劣化などでクラックが発生してしまうケースもあり、発電量に影響を与えます。
太陽光パネルの発熱
一部の太陽光パネルが、影や故障などで発電を停止していると部分的な発熱を引き起こし、発電量低下につながります。
太陽光パネルの発熱は、パワーコンディショナーなど周辺機器の故障やパネル内部の不具合、パネル同士の接続不良などさまざまな原因で起こります。そのため、定期点検で不具合を未然に防ぎ、太陽光パネルへの損傷や発電量低下を防止するのが大切です。
パワーコンディショナの故障
パワーコンディショナーの故障は、前段でも軽く触れたように経年劣化によるものだけでなく、落雷や冷却ファンの目詰まり、塩害による腐食など、さまざまな事象によって起こります。
また、精密機器なので、地震の大きな揺れによって故障してしまう場合もあります。そのため、大きな揺れが発生した場合は、なるべく早めに点検を依頼し、パワーコンディショナーの回路に異常が起きていないか確認してもらいましょう。
断線
太陽光パネルやパワーコンディショナー、接続箱、分電盤などを接続しているケーブルが、自然災害や経年劣化によって断線したり内部で部分的に破損したりしてしまうケースもあり得ます。
ケーブルの断線は発電停止を招く重大な不具合であることはもちろん、漏電による感電や火災事故の危険性も出てきます。断線を見つけた場合は、早期に施工業者へ連絡しましょう。
最新の太陽光発電トラブル事例
太陽光発電は、さまざまな事象によって破損してしまうことがあります。
たとえば、2018年に発生した豪雨では、兵庫県の太陽光発電所が土台ごと崩落しました。同ケースの場合は、豪雨による土砂災害で架台や太陽光パネル、パワーコンディショナーなどが崩落および破損しています。
土砂災害のリスクがある場所では、あらかじめ点検・メンテナンスの際に災害対策を施し、少しでも被害を抑えられるようにするのも大切です。
出典:「今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について」(経済産業省)(014_01_00.pdf)
また、同年に起きた台風の際、暴風によって太陽光パネルと架台が引きちぎられるケースもあります。設計風速を大幅に超える風が、主な原因です。また、被害発生後は、風圧対策を行った上で設備の取り換え工事が行われています。
とくに台風被害の発生しやすい地域で太陽光発電を運用する際は、点検・メンテナンスの際に架台の緩みチェックをはじめ、暴風対策についても強化してみるのが重要です。
災害以外のトラブルとして、ホットスポットによる発電量低下なども挙げられます。ホットスポットとは、太陽光パネルの一部が長期間発電できず、発熱を引き起こす不具合のことです。ホットスポットを放置してしまうと、発熱している太陽電池の破損、発電量低下といった事象につながってしまいます。
なお、定期点検を行っていれば、ホットスポットの発生している箇所を発見できるため、早期に対処することが可能です。このように点検・メンテナンスは、災害対策を行ったり不具合を早期に発見したりする上で欠かせない作業といえます。
太陽光発電の点検の種類と費用

実際に太陽光発電の点検を行ってもらうときは、どのような方法で点検を進めてもらえるのでしょうか。
ここからは、太陽光発電のメンテナンスや費用について詳しく解説していきます。
太陽光発電の点検に関する最低限の頻度
太陽光発電の最適な点検頻度は地域や天候、使用しているパーツなどによって大きく異なってきます。
ゆえに最適な頻度を一概に言うことはできませんが、基本的には設置後1年で初期不良点検の点検を行い、それ以降は4年おきに行うのが推奨できる最低限の点検頻度です。
太陽光発電の部品の保証は一般的に10年で切れることが多いため、9年目の点検は絶対に行っておきましょう。
また、出力保証も20年前後で切れるケースが多いので、その前にしっかりと劣化具合や故障箇所がないかを確認しておきます。
潮風のせいで塩害が起きやすい沿岸部や落雷・積雪の多き地域では、もう少し点検の頻度を高めておくと安心です。
4年に1度はあくまで目安で、ご自分の地域に合った頻度で点検することが重要です。
太陽光発電に必要なメンテナンスの種類
太陽光発電に必要なメンテナンスには、いくつか種類があります。
ここでは、主に行われることが多いメンテナンスの内容について解説します。
太陽光パネル表面の洗浄・清掃
太陽光発電の施工・点検業者は、太陽光パネルの表面についた汚れや鳥のフンを取り除き、部品についた砂埃などを清掃してくれます。場合によっては、高圧洗浄機を使うこともありますが、パネルメーカーによっては使用が推奨されていないこともあるため要注意です。
高圧洗浄機の水圧に対応できないタイプの太陽光パネルでは、洗浄時にカバーガラスが割れてしまう可能性もあります。また、太陽光パネルを水道水で洗浄してしまうと水垢が付着するため、専用の洗剤で洗浄しなければいけません。点検業者を探す場合は、このようなパネル洗浄に関するノウハウの豊富な業者へ相談しましょう。
目視点検
太陽光発電の目視点検とは、太陽光パネルやパワーコンディショナー、接続箱といった機器類とケーブル・架台などの部材を目視で確認する作業のことです。
以下に目視点検で確認できることを紹介します。
架台や接続部分の汚れ、サビボルトなどの緩み太陽光パネルの割れや破損パワーコンディショナーの破損その他周辺機器、ケーブルの破損
外観に異常があれば、修理や部品・製品の交換工事を進めてもらえます。
電気点検
電気点検では、実際に電流や発熱などを測定する「測定機器による数値測定」を行いながら設備の状態を確認していきます。
太陽光発電の点検作業の内容については、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)がガイドラインを定めています。※2
安全な運用のためにも、ガイドラインの内容を遵守してくれる業者を選ぶようにしましょう。
※2一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」
赤外線カメラによる異常検知
太陽光発電の点検には、赤外線カメラを用いた方法もあります。
前段で少し触れたように太陽光パネルの一部に影が長期間かかってしまうと、ホットスポットを引き起こしてしまいます。ホットスポットは影のかかっているセルの発熱につながるほか、セルの故障や発電量低下を招くため、注意の必要な事象です。
赤外線カメラを用いれば、太陽光パネル表面の温度を瞬時に計測することが可能です。そのため、発熱している箇所を早期に発見でき、ホットスポットの発生状況についても調べやすいといえます。
さらに近年では、赤外線カメラ付きドローンによる点検サービスも出てきています。1枚ずつ計測していく方法と比較して、空中から複数枚の太陽光パネルを計測できるため、短時間で点検を完了させられるのが強みです。
ホットスポットは、太陽光発電の発電量を大きく変動させる重大な問題です。点検業者を調べる際は、赤外線カメラによる点検に対応しているかどうか確認してみましょう。
太陽光発電のメンテナンス費用
太陽光発電のメンテナンス費用は作業内容によって異なりますが、以下の金額を目安に予算を用意しておきましょう。
● 清掃費用:3万~6万円
● 目視・電気点検費用:1万~2万円
点検の際に故障箇所が見つかった場合、この費用に修理費が加算されることもあります。そのため、太陽光発電を運用する場合は、売電収入や自家消費で浮いた生活費を一部でも点検・修理交換用の予算として確保しておくのが大切です。
住宅用と産業用の点検費用の違い
住宅用太陽光発電の点検費用は、経済産業省の「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」によると1回あたり4.1万円程度(出力5kW)とされています。1kWあたりでは、約8,000円程度です。
出力50kW未満の産業用太陽光発電に関する点検費用は、年間で10万円~15万円前後とされています。また、出力50kW以上の中規模・大規模設備では、年間100万円以上の点検費用がかかります。ただし、具体的な費用については、年間に何回点検を実施するかによっても大きく変わります。
たとえば、出力50kW未満の産業用太陽光発電、住宅用太陽光発電については、4年に1回以上の定期点検が推奨されています。また、出力50kW以上の太陽光発電に関しては、受変電設備の点検を4ヶ月前後に1回、太陽光パネルなどの点検を半年に1回程度行うべきとされています。
点検内容については、住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電で大きな違いなどありません。ただし、産業用太陽光発電の中でも地上設置型太陽光発電の場合は、目視点検や電気点検のほか、敷地内の清掃、除草作業なども含まれます。
出典:「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」(経済産業省)(20250203_1.pdf)
点検プランの選び方と費用対効果
太陽光発電の点検プランを選ぶ際は、点検内容や費用のバランスを見極めることが大切です。
点検サービスの費用や点検作業の内容、頻度などは、各業者によって異なります。そのため、経験の少ない業者へ依頼してしまうと、点検不備などによるトラブルのリスクが発生してしまうこともあります。また、相場より高いプランを選んでしまうと、費用対効果という点でもデメリットが大きいです。
そのため、太陽光発電の点検プランを選ぶ際は、複数社に見積もりを依頼し、それぞれの作業内容から費用を比較した上で判断しましょう。また、連絡の取れやすさ、丁寧な説明をしてもらえるかといった点も、比較する際に注目してみるのが大切です。
連絡のとれない業者へ依頼してしまうと、問い合わせてもすぐに対応してもらえず、緊急点検などについて相談できません。また、丁寧に説明してくれない状況では、各点検項目の意味や必要性などを理解・納得できないまま契約してしまう可能性があります。
そのため、点検プランを選ぶ際は、サービス対応についても重要視する必要があります。
なお、太陽光発電の点検プランは、一般的に定期点検契約です。スポット点検とは異なり、1年に1回など定期的に点検・メンテナンスを実施してもらえるため、点検し忘れといった事態を防げます。
メンテナンス業者の選び方と評価ポイント
点検・メンテナンス業者を選ぶ際は、以下のようなポイントを重視してみましょう。
業者を選ぶポイント
● 点検の実績
● 所有している資格
● 点検項目
● 対応エリア
● 料金体系
● アフターサービスの内容
まず、太陽光発電の点検に必要な資格を所有しているかどうかは、早期に確認しておくべき項目のひとつです。たとえば、電気工事士や電気主任技術者などの国家資格は、太陽光発電設備を扱う上で必要な資格とされています。
資格の有無を確認したあとは、点検の実績や点検プラン・項目について見ておきましょう。太陽光発電の点検技術については、経験によって左右される部分もあります。そのため、業者を選定する際は、なるべく実績の多い業者から検討していくことが大切です。
また、点検項目が少なすぎるプランでは、十分とはいえません。少なくとも太陽光パネルの電気点検や周辺機器を含む目視点検、機械点検などは必須です。
その他、対応エリアについても調べておく必要があります。また、料金体系がわかりやすいかどうかという点も、比較検討時に注目すべきポイントのひとつです。たとえば、月○○円で○○から○○までの点検をサポートといったように、料金体系のシンプルなサービスであればいくら負担すべきか一目でわかります。
とくに料金体系のわかりやすさを重視している方は、提示されるプランの内容をよく確認しておきましょう。
アフターサービスについては、緊急時でも駆けつけてくれるか、24時間対応してくれるかなど、スピーディに対応してくれるかどうかという点にも注目です。
太陽光発電の点検以外に発生する費用
太陽光発電の維持・運用をするために必要な費用は、決してメンテナンス費用だけではありません。
最後に、メンテナンス費用以外に発生する費用について紹介します。
1.点検やメンテナンス時の足場費用
太陽光発電の設備が勾配の急な屋根にある場合、点検のために使用する足場を組む必要があります。
その際、点検費用に加えて足場代を追加で支払う必要があるため、余分に予算を用意しておくようにしましょう。
回数や業者によって異なりますが、足場代の相場は5万~10万円程度になることが多いです。
事故を防いで安全にメンテナンスを行うために絶対に必要となる費用ですが、やや高額になることが多いため注意しましょう。
2.故障や修理箇所の修理費
点検を行っている際に部品の故障が見つかった場合、修理や交換が必要になることがあります。
多くの部品の中でも修理が必要になることが多いのは、以下の部品です。
パワーコンディショナ:20万~30万円
太陽光パネルで発電した電力を、家庭で使用できるように変換する機器がパワーコンディショナーです。パワーコンディショナーは電子機器(精密機器)なため寿命が他の機器より短く、購入から10年を目安に交換する必要があります。点検の際はパワーコンディショナーも必ずチェックしてもらい、必要に応じて交換しましょう。
太陽光パネル:1枚あたり10万~15万円
点検の際、太陽光パネルが劣化していないかどうかも確認していきます。また、もしも異常や劣化が見つかった場合、修理や交換をして対応してもらう必要があります。太陽光パネルの寿命は20年前後と言われていますが、しっかり点検・管理しておけば30年使用できるケースも少なくはありません。
交換の場合は、1枚あたり10~15万円程度の費用がかかる傾向です。交換枚数が多ければその分費用負担も大きいので、こまめな点検および設置環境に合った仕様の太陽光パネルを導入しましょう。
その他部品の修理:部品によって異なる
配線の劣化や売電メーターなど、太陽光発電にはさまざまな電子機器が多く含まれています。こういった部品を点検確認し、必要に応じて修理するのも発電停止や事故を防ぐ上で重要です。
ただし、保証期間内の場合はメーカー保証で修理可能ですし、火災保険の対象になって費用が安く抑えられる可能性もあります。
太陽光発電のメンテナンスや修理は費用が高くなりがちなので、保障や保険などを活用してお得に運用していきましょう。
3.パネル洗浄にかかる追加費用
太陽光発電の点検サービスを検討する際は、太陽光パネルの洗浄費用についても考慮しておく必要があります。
太陽光パネルの洗浄費用は、一般的に基本料金とパネル枚数分の料金で構成されています。また、基本料金は、1回あたり5万円前後とされています。太陽光パネルの洗浄費用については、1枚あたり500~1,000円前後です。たとえば、100枚分のパネル洗浄を依頼する場合は、10万円~15万円程度の洗浄費用がかかります。
このように太陽光パネルの洗浄には一定の費用がかかるため、「洗浄の頻度を低くしよう」と考えている方もいるのではないでしょうか。
太陽光パネルは屋外に設置されているため、ホコリや砂、落ち葉、鳥のフンなど、さまざまな汚れが付着しやすいです。そのため、汚れの蓄積を放置してしまうと、発電量が徐々に低下してしまう場合もあります。
また、特定の箇所に落ち葉などが付着した場合、ホットスポットを引き起こしてしまうこともあり危険です。
太陽光パネルの洗浄費用は、設備を運用していく上で必要なコストと捉えておきましょう。
4.経年劣化による部品交換費用
太陽光発電を運用していく場合は、経年劣化による部品交換費用の負担についても考慮しておくことが大切です。
太陽光発電はメンテナンスフリーではないため、徐々に経年劣化していきます。そのため、状況に応じて部品や機器類の修理、交換を依頼する必要があります。
以下に主要な機器の寿命、交換費用を紹介します。
機器 | 交換費用 | 寿命 |
太陽光パネル | 1枚あたり10~15万円程度 | 20~30年程度 |
パワーコンディショナー | 1台あたり30~40万円程度 | 10~15年程度 |
接続箱 | 1台あたり5万円~ | 10~15年程度 |
売電メーター | 1台あたり1~6万円前後 | 要問合せ |
このように一定の費用がかかるため、あらかじめ交換費用分の予算を確保しておくことも重要です。とくにパワーコンディショナーや接続箱は、FIT認定を受けている間に故障してしまう場合もあるため、それぞれの費用を捻出しておきましょう。
なお、太陽光パネルやパワーコンディショナー、接続箱、売電メーター、その他ケーブル、架台などの劣化状況については、一般の方が見てもわからないといえます。そのため、劣化しているかどうか気になるときは、点検業者へ点検・メンテナンスしてもらうのがおすすめです。
点検業者であれば、太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの劣化状況も確認してもらえるほか、必要に応じて修理・交換まで対応してもらえます。
5.保険でカバーできる範囲と費用
太陽光発電の損害については、保険でカバーできる場合もあります。そのため、点検費用だけでなく、保険料についてもあらかじめ調べておくことが大切です。
また、太陽光発電に必要・加入できる保険は、事業用太陽光発電と住宅用太陽光発電で異なります。
住宅用太陽光発電の場合は、住宅総合保険や火災保険の対象とされています。たとえば、火災や落雷などで故障してしまった場合は、住宅総合保険や火災保険で補償してもらえるということです。
また、太陽光パネルが飛散してしまい、第三者や第三者の建物に直撃してしまった場合は、個人賠償責任保険で賠償金を補償してもらえます。
事業太陽光発電の場合は、動産総合保険などでカバーできます。動産総合保険や企業向け包括保険などは、火災や落雷、盗難といった被害を受けた際に損害を補償してもらえる保険です。
また、第三者へ被害を与えてしまった場合は、施設所有者賠償責任保険で備えることが可能です。
ほかにも災害などで太陽光発電が停止し、かつ売電収入を得られなくなってしまった場合は、休業損害補償で損失をカバーできます。
保険料の目安については、以下の通りです。
● 火災保険は太陽光発電の初期費用に対して3%前後
● 施設賠償責任保険は太陽光発電の初期費用に対して0.5%前後
● 休業損害保険は太陽光発電の初期費用に対して1%前後
ただし、実際の保険料については、各保険会社の保険プラン、太陽光発電の規模などによって異なるため、見積もりをとってみるのが大切です。
保険金を請求したい場合は、まず保険会社へ連絡します。その後、太陽光発電の施工販売店に見積もりを依頼したのち、保険会社による調査が進められます。また、調査の際には、事故内容の報告書をはじめとしたさまざまな書類の提出が求められます。調査後、支払額に関する内容を確認し、保険金を受け取る流れです。
保険を選ぶ際には、複数社の見積もり内容から補償額や内容、保険料を比較した上で判断しましょう。また、保険会社の実績なども確認し、信頼性について調べておくことも大切です。
太陽光発電は、自然災害や盗難などの被害を受けてしまう可能性があります。このような被害に備えるためには、火災保険などの保険を検討していきましょう。
定期的な点検で安全な太陽光発電の運用を
太陽光発電は雨風にさらされている電子機器で、温度や湿度の影響なども受けています。そのため、定期的な点検を専門業者へ依頼する必要があります。
地域や機器によっても異なりますが、4年に1回を目安に専門業者に点検を依頼しましょう。
なお、点検の際は、足場代や部品の修理費用などがかかることもあります。
余裕を持って予算を用意し、万が一の場合は保障や火災保険なども活用しながら費用を抑えたメンテナンスをしていきましょう。
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