インターナルカーボンプライシングとは?目的や仕組みについてわかりやすく解説
最終更新日:2024.10.28 お役立ち情報
近年、さまざまな企業が、環境対策を打ち出したりさまざまな制度を利用したりしながら脱炭素経営を行っています。インターナルカーボンプライシングは、炭素排出量に関する新しい制度で、脱炭素経営を行う上でメリットの多い内容です。
そこで今回は、インターナルカーボンプライシングの目的や仕組み、導入事例について分かりやすく紹介します。環境関連の制度に関心を持ち始めた方やさまざまな環境対策を知った上で個人にできる取り組みを考えたい方などは、参考にしてみてください。
目次
インターナルカーボンプライシングとは?
インターナルカーボンプライシングとは、事業活動によって排出される炭素の価格を自社で独自に設定し、事業戦略などに活かす手法のことです。
環境省がインターナルカーボンプライシングのガイドラインなどを作成、および公開しています。
たとえば、自社の設備で排出されているCO2にコストを設定し、なるべく省エネの設備を導入していく促す戦略は、インターナルカーボンプライシングを活用した取り組みの1つです。
目に見えない炭素を削減していくためには、社内のスタッフに炭素=コストという意識を持たせることも重要といえます。
インターナルカーボンプライシングの目的や意義
インターナルカーボンプライシングの考え方を把握したあとは、目的や意義について確認していきましょう。
インターナルカーボンプライシングの目的は、主に低炭素投資、対策推進が軸になっています。
脱炭素経営を目指す企業は、特に理解しておく必要があります。
社内の情報開示を推し進めていく
環境省作成のインターナルカーボンプライシングのガイドラインでは、投資家や脱炭素関連の評価機関へアピールおよび情報開示を進めるという目標も定められています。
投資家は、ESG(環境・社会・ガバナンス)という3点を軸にしながら投資先の判断、企業価値の分析を行っています。また、脱炭素関連の評価機関は、炭素削減量や吸収量、その他環境活動の内容から企業価値を判断しています。
企業価値をアップさせていくためには、投資家や評価機関からの評価を高めていくのも必要です。そこでインターナルカーボンプライシングを導入すれば、炭素価格の設定から脱炭素経営に進められる可能性があります。
企業に対して低炭素目標の設定および対応してもらいやすくなる
インターナルカーボンプライシングという手法が広まれば、企業の低炭素に関する取り組みも推進されていく可能性はあります。
カーボンニュートラルという国の目標に沿ってメガソーラーを建設している企業や環境に配慮された製品の製造ライン開発など、さまざまな企業が取り組みを始めています。
一方、事業の内容や予算、脱炭素に関する意識やノウハウ不足から企業によっては、低炭素に関する取り組みを始めていないケースもあります。
インターナルカーボンプライシングを多くの企業で導入してもらえれば、炭素の削減=コスト削減、事業成長につながるという意識に変わっていくことも予想されます。
低炭素規制への対応に役立つ
インターナルカーボンプライシングの理解および導入は、低炭素規制による影響に対応しやすくなります。
近年、世界や日本は脱炭素・低炭素に関する規制を次々と作り上げていて、企業も規制に対応しなければ事業活動を継続できない状況になりつつあります。
しかし、いきなり低炭素への対応を自社の社員へ求めたとしても、何を始めればわからず困らせてしまいます。インターナルカーボンプライシングを導入し、炭素の価格に関する概念を理解してもらうことで、CO2削減へ向けた企画会議も進みやすくなりますし、自社のCO2削減目標を設定しやすいといえます。
このように低炭素規制の増えている現代では、炭素削減・吸収に関する手法を取り入れるのも重要です。
インターナルカーボンプライシングの運用方法
インターナルカーボンプライシングを社内に導入する場合、3段階に分けて運用方法を決めていく必要があります。
まずは、自社の担当部署で炭素の価格を設定していきます。炭素の価格設定は、1tにつき何円として設定していくのが基本です。なお、価格は社会や自社の状況に応じて変化させられるので、柔軟に脱炭素経営策を打ち出していけます。
価格を決定させたあとは、社内で低炭素関連の投資を推進させていく方法を検討していきます。また、低炭素投資の投資基準や指標の策定などを行っていくのが、インターナルカーボンプライシングで大切です。
最後は、炭素の価格と投資基準や方法をまとめ、インターナルカーボンプライシングに関する組織づくりや適用範囲、いつまで取り組みを継続させるのか、目標設定などを決定していき、実際に取り組みを進めていきます。
インターナルカーボンプライシングで炭素の価格を設定する方法
炭素価格は2種類、設定方法に関しては4種類にわかれています。
ここからは、インターナルカーボンプライシングの炭素価格に関する種類と設定方法についてわかりやすく紹介していきます。
2種類の炭素価格
インターナルカーボンプライシングのガイドラインでは、シャドープライスとインプリシットプライスという2種類の炭素価格が用意されています。
シャドープライスとは、さまざまな資料から想定された炭素価格です。たとえば、Jクレジットやグリーン電力証書、海外の炭素価格などをもとに設定されたものは、シャドープライスとして分類されます。
一方、インプリシットプライスは、過去の実績などをもとに設定された炭素価格を指しています。既に脱炭素経営を始めている企業の場合は、インプリシットプライスによって炭素価格を設定することが可能です。
4種類の設定方法
インターナルカーボンプライシングの炭素価格には、4種類の方法から検討していきます。
以下に4種類の設定方法を紹介します。
種類 |
概要 |
外部価格の活用 |
Jクレジット、電力証書など、外部の炭素価格をもとに設定 |
同業他社価格のベンチマーク |
同業他社の指標や炭素価格などを参考にしながら自社の炭素価格を設定 |
低炭素投資を促す価格に向けた社内協議 |
低炭素につながる設備に炭素価格を上乗せし、既存の設備との価格差をなくし、設備投資を促す |
CO2削減目標による数理的な分析 |
自社のCO2削減目標から炭素価格を策定 |
また、炭素価格を設定したのち環境対策へ取り組む際は、コストのかかる対策でも環境重視の方向性で進むか、コストと環境のバランスをとりながら対策を進めていくか調整していくのも大切です。
インターナルカーボンプライシングの導入事例
インターナルカーボンプライシングの概要を把握した方の中には、まだ具体的な導入方法や効果についてわからない方も多いかと思います。
そこでここでは、インターナルカーボンプライシングの導入事例をいくつか確認していきましょう。
日立
日立の場合は、インターナルカーボンプライシングを活用しながら、低炭素設備の資産価値を高めていく行動を進めています。
従来の設備投資では、設備のエネルギー削減効果を資産価値として定めていたため、CO2削減効果について考慮されない状況でした。
しかし、インターナルカーボンプライシング導入後は、設備投資に省エネやCO2削減効果を金額で算定し、積極的に導入されるようになりました。また、自動制御システムなども導入しやすくなったことで、消費電力量の削減効果も高まっています。
アステラス製薬
アステラス製薬の場合は、1tあたり10,000円という金額で炭素価格を設定し、投資の判断基準として活用しているのが特徴です。設定金額未満のコストなら、投資の候補に組み入れられます。一方、設定金額以上のコストがかかる場合は、投資判断から外されます。
たとえば、太陽光発電システムの炭素価格が、1tあたり9,000円なら投資候補として検討されるということです。このように炭素価格は、投資先のコストを判断する際に用いられる場合もあります。
帝人
帝人は、アステラス製薬と同様に炭素価格を投資の判断基準に用いて、自社の環境目標達成に活用しています。炭素価格は1tあたり6,000円で、CO2排出量の増減に関わる設備への投資に活用されています。
帝人の環境目標は、2018年度のCO2排出量を基準としていて、2030年度までに20%削減、2050年度までにCO2排出量実質0という内容です。また、インターナルカーボンプライシングを導入することで、炭素価格の上昇に備えているのが、帝人の特徴です。
インターナルカーボンプライシングは炭素の削減にかかるコストのこと!
インターナルカーボンプライシングは、企業の脱炭素化、CO2削減量・吸収量増加に関わる手法の1つです。炭素に価格が設定されると、低炭素製品への需要は高まりますし、CO2排出量増加による費用負担を避ける動きも活発になると予測されます。
気候変動による影響が気になる方や今から脱炭素につながる行動を起こしたい方は、今回の記事を参考にしながら環境対策に取り組んでみてはいかがでしょうか?
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