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2022年4月1日に施行された改正再エネ特措法によって、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの運用方法や系統に関する新たなルールが定められました。本記事では改正のポイントを整理するとともに、住宅用太陽光発電のオーナーが押さえておくべき最新の売電価格制度についても解説します。
目次

再エネ特措法は、2011年8月に成立した法律で、翌年の2012年7月に施行されました。主な内容は、再生可能エネルギーで発電された電力を一定期間電力会社で買い取ることを義務付ける「FIT制度」の詳細についてです。
一方、再エネ特措法の改正版「改正再エネ特措法」では、FIT制度に関する内容だけでなく、新制度や新ルールなども盛り込まれています。
改正再エネ特措法では、FIP制度という再生可能エネルギーの買取制度が創設されました。
FIP制度はFIT制度と異なり、固定買取価格ではありません。そのため、常に一定の価格で電力買い取ってもらえないのが特徴です。
電力の買取価格は、電力市場と連動しながら変化していきます。また、買取価格に一定の補助額(補助収入のようなもの)が上乗せされているので、一般の電力市場より売電収入を得やすい側面もあります。
補助額は、基準価格―参照価格(市場取引で見込まれる収入)という計算で求められています。市場価格が値上がりすれば補助額が減少しますし、反対に値下がりすれば手厚い補助を受けられるという仕組みです。また、基準価格は毎年見直されるもので、1kWh当たりの固定単価で定められます。
その他、FIP制度の大きな特徴は、インバランスリスクが生じている点です。簡単に説明すると再エネ発電事業者は、再生可能エネルギー発電設備で発電を行う前に予想発電量の計画を作成し、実際の発電量との差分をコストとして支払います。
FIP制度で利益を得るには、発電設備だけでなく電力の需給予測や細かな電力制御を行うための技術や人材が必要といえます。
FIT制度には、地域活用要件という要件が追加されました。
地域活用要件は、出力10kW以上50kW未満の太陽光発電、1,000kW未満の地熱発電と中小水力発電、10,000kW未満の地熱発電の電力買取や運用法に関する規制を中心とした内容です。
以下に主な要件を紹介します。
| 対象設備 | 要件 |
| 出力10kW以上50kW未満の太陽光発電 | ■自家消費要件(要件を満たすと余剰買取でFIT制度の認定を受けられる) ・発電した電気のうち30%以上を自家消費すること ・災害発生時には自立運転に切り替えて、一般の設備などに電力供給できるよう整備すること |
| 1,000kW未満の地熱発電と中小水力発電 10,000kW未満の地熱発電 | ■地域一体型要件(いずれかの要件を満たすとFIT制度の認定を受けられる) ・自治体の防災計画に対象設備を非常用電源として位置づけられる ・災害発生時、発電設備から得られる熱を活用することについて自治体の防災計画に盛り込む ・自治体自ら発電設備への投資・運用を行う |
特に注目すべきポイントは、低圧太陽光発電の電力買取方法に関する部分です。
改正前は、出力10kW以上の太陽光発電で発電した電気を全て売電できました。しかし、法改正後は、発電した電気のうち最大70%しか売電できません。
売電収入という点では、大きなデメリットといえる部分です。
なお、ソーラーシェアリング(農地で農業を行いながら太陽光発電を行う方式)に関しては、出力10kW以上50kW未満でも全量買取が認められています。
出力10kW以上の産業用太陽光発電を検討している場合は、自家消費による経済的メリットと売電収入を計算し、総合的にメリットがあるのか確認してみましょう。
改正再エネ特措法には、太陽光発電の廃棄費用に関する積立を義務化する「廃棄費用積立制度」も盛り込まれました。この制度は2022年7月から実際の積立が始まっており、現在ではすでに施行から4年以上が経過し、対象となる多くの事業者が積立を行っている段階に入っています。
FIT・FIP認定を受けた出力10kW以上の太陽光発電は、売電収入から一定の廃棄費用を差し引かれるようになります。FIT認定を受けた場合は、FIT終了年から10年前に始まります。また、FIP認定を受けた場合は、早い時期に始まります。(※具体的な時期は明記なし)
たとえば、2040年にFIT終了年となる場合は、2030年から廃棄費用の積立が行われます。
廃棄費用の単価は、FIT制度なら固定買取価格を基準に定められますし、FIP制度な基準価格を基準に計算されます。
固定買取価格の下落が続くFIT制度で売電収入を伸ばしたい方にとっては、特にデメリットといえるポイントです。ただし、廃棄費用をあらかじめ積み立てておくことで、事業の撤退・縮小時の費用負担を軽減できるというメリットもあります。
再生可能エネルギーをさらに活用するため、国では改正再エネ特措法に系統整備関連の内容も定めました。
再生可能エネルギーの系統整備とは、「電力の安定的な供給を実現するための設備投資」のことです。
FIT制度とFIP制度が運用されていくことになったことで、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及もさらに進んでいきます。再生可能エネルギーが増えれば、脱炭素化といった環境問題の解決にもつながります。
しかし、急激に発電設備のみ増えてしまっても送電設備は増加・強化されていないため、発電した電力を全て活用できなかったり停電といったトラブルに発展したりする可能性が出てきます。
そこで国では、送配電網(送電設備)の増強を法律に盛り込み、設備投資・強化をスピーディに進められる環境づくりを行いました。また、送配電網の整備に必要な資金の一部は、再エネ賦課金からまかなわれます。
そのため、個人にとっては、電気料金の値上げという負担増加につながってしまいます。
改正再エネ特措法の施行によってFIT認定後に稼働していない再生可能エネルギー設備は、認定の失効対象としてみなされます。
再生可能エネルギー設備の中には、FIT認定を受けたあとに稼働されていない設備も存在します。
未稼働の再生可能エネルギー設備が増えると、稼働していない無駄な設備だけが残り、再生可能エネルギーの用地を探している個人や企業にとって不利益になります。また、系統接続(電力会社の送配電網との接続)は先着順であるため、系統接続の権利のある未稼働設備があると、未稼働案件の後に申し込んでも権利を獲得できなくなってしまいます。
そこで改正再エネ特措法では、運転開始期限日から1年後に稼働させないとFIT認定が失効されるようになりました。

改正再エネ特措法の主な内容を確認した方の中には、「住宅用太陽光発電を所有している個人は何か影響あるの?」という疑問を抱いているかと思います。
ここでは、改正再エネ特措法と住宅用太陽光発電の影響について確認していきましょう。
住宅用太陽光発電に関しては、改正再エネ特措法施行によって大きな影響はありません。
廃棄費用の積立制度や地域活用要件は、出力10kW以上の産業用太陽光発電向けにつくられた制度であり、系統強化は電力会社や送配電関連会社に関係のある内容です。
ただし住宅用太陽光発電所有者も、未稼働によるFIT認定失効に気を付けましょう。FIT認定を受けてから1年以内に設備を稼働できるよう、販売施工業者へ相談し、日程を管理することが大切です。
住宅用太陽光発電を所有もしくはこれから購入する方は、改正再エネ特措法ではなく、FIT制度の固定買取価格に注目すべきです。
FIT制度の固定買取価格は1年に1回改定される仕組みで、この数年は次のように推移してきました。
| 年度 | 10kW未満(住宅用)の買取価格 |
| 2022年度 | 17円/kWh |
| 2023年度 | 16円/kWh |
| 2024年度 | 16円/kWh |
| 2025年度(~2025年9月末) | 15円/kWh |
| 2025年度(2025年10月~) | 初期投資支援スキームへ移行 24円/kWh(~4年) 8.3円/kWh※(5~10年) |
| 2026年度 | 同上 |
大きな変化として、2025年10月以降は、住宅用太陽光発電(10kW未満)の買取制度そのものが、単純な固定価格から「初期投資支援スキーム」という二段階方式に切り替わりました。
具体的には、稼働開始から最初の4年間は24円/kWh、その後6年間は8.3円/kWhという価格設定になっており、初期投資の早期回収を後押しする内容です。
買取価格の水準としては2022〜2025年度と比べて引き上げられていますが、価格の仕組み自体が変わっているため、これから設置を検討する方は「単純な1kWhあたりの単価」ではなく、期間ごとの単価と回収期間で試算することが重要です。
いずれにせよ、長期的には固定価格に頼った売電収入だけでなく、発電した電気を自家消費でどう活用するかが重要になる点は変わりません。
特におすすめの方法は家庭用蓄電池との併用です。
家庭用蓄電池は、太陽光発電単体では行えない電気を貯める・貯めた電気を好きなタイミングで使うという機能が備わっています。
また太陽光発電と連携できるため、発電した電気を家庭用蓄電池へスムーズに貯められるほか、蓄電池の機能を調整することで売電を優先した稼働も可能です。
改正再エネ特措法は、2022年4月1日に施行された再生可能エネルギーの廃棄費用積立制度やFIP制度、地域活用要件といった新制度が盛り込まれた法律です。廃棄費用積立制度はすでに運用開始から4年以上が経過し、対象事業者の一部では実際の積立段階に入っています。
住宅用太陽光発電への影響は引き続き少ないものの、FIT買取価格は年々見直されており、2026年度からは「初期投資支援スキーム」という新しい価格体系に移行しました。
住宅用太陽光発電のオーナーは、こうした買取制度の変化を踏まえつつ、売電収入の変動に左右されにくい運用方法を考えていくことが大切です。
これから住宅用太陽光発電を設置する方や住宅用太陽光発電の効率をアップさせたい方は、今回の記事を参考にしながら家庭用蓄電池を検討してみてはいかがでしょうか?
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