V2Hとは?電気自動車との関係やメリット、価格と設置費用は?
最終更新日:2024.10.25 V2H
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『V2H』という単語を聞いたことはありますか?
V2H(Vehicle to Home:ビークルトゥーホーム)とは、電気自動車用の充電設備としてだけでなく、電気自動車のバッテリーに貯められている電気を自宅へ供給し、自家消費できるようにしたシステムのことです。
日本が抱えているエネルギー問題や、昨今被害が大きくなっている台風や自然災害による停電対策、燃料価格高騰による電気代値上げ問題、電気自動車の電気料金負担方法としてV2Hが役に立つことを聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという政府目標が掲げられているなかで、脱炭素社会に向けての取り組みの一つとしてV2Hは非常に大きな役割を果たします。
しかし、具体的な特徴や導入メリット、デメリットについてわからない方も多いかと思います。
そこでこの記事では、世界的にも注目されているV2Hについて、その基礎知識やメリット、注意点などをわかりやすくご紹介していきます。電気自動車やをプラグインハイブリッド車を購入する方、や電気自動車の電気を活用したい方などは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
V2Hとは?機能と特徴
V2Hとはビークルトゥホーム(Vehicle to Home)の略称です。
EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)に搭載されているバッテリーから電力を取り出したり住宅経由で車両へ充電したりできるのが特徴です。なお、EVやPHVに貯められている電力は、自宅の分電盤を通して照明や住宅設備、コンセントから活用できます。
まずは、V2Hの仕組みや特徴についてわかりやすく解説していきます。
家庭からEVへ充電
V2Hの大きな特徴は、自宅に流れている交流電力を直流変換した上で、電気自動車へ充電する機能です。
通常、EVを走行させるには商業施設や道の駅、高速道路のパーキングエリアなどにある充電ステーション、または家庭の電力から定期的に充電する必要があります。
電力会社から家庭内に流れている交流電力は、交流に対応している機器でしか活用できません。
なお、EVの内部には、交流電力を直流電力へ変換させる機能が搭載されているものの、その分充電時間の長時間化・電力の損失といったデメリットもあります。
V2Hには、内部に交流・直流変換機能が搭載されています。
つまり、家庭内の電力をV2Hで変換すれば、直流電力のままEVへ充電できます。すると、充電時間の短縮や効率的な充電を実現することが可能です。
さらに、電力会社から流れている電力だけでなく、太陽光発電の電力を電気自動車へ供給することができるため、電気代削減効果も期待できます。
EVのバッテリーから電力を取り出して家庭内に給電
V2Hは、EVへの充電機能だけでなく、電気自動車のバッテリーに貯められた電気を自宅へ流す給電機能も搭載されています。
前段でも触れたようにEVのバッテリーに貯められた直流電力は、そのままの状態で家庭内のコンセントや住宅設備へ供給できません。
つまり、下記図のように直流電力を交流電力へ変換しなければ、コンセントや住宅設備などで使用できない状態です。
V2Hには、直流電力を交流電力へ変換し、家庭内へ電力供給する機能があるので、EVを家庭用蓄電池のような形で自家消費に活用できるようになります。
出典:ニチコン株式会社
ちなみにEV対応の充電器には、「普通充電器」「急速充電器」「V2H」があります。
では、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
普通充電器・急速充電器・V2Hの違い
出典:ニチコン株式会社
上記の図をみると「普通充電器」と「急速充電器」・「V2H」とでは、充電および変換機能に大きな違いがあります。
急速充電器とV2Hでは充電設備側で交流・直流変換を行い、普通充電器には変換機能がありません。
また、どの設備も充電できることには変わりないですが、EV充電機はV2Hのようにバッテリーの電力を家へ流すことが出来ません。
分かりやすくまとめると、
EV充電機(普通充電機。急速充電機)
→車に充電できる機械(電気の流れが一方通行)
V2H
→車への充電と、車から家に電気を流せる機械(電気の流れが双方向)
となります。また、その他にも違いがあるので、後半の項目で詳しく解説します。
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V2Hの歴史と基礎知識
これまで電気自動車の充電方法は、自宅に設置された100V/200Vの充電コンセントから給電するという方法が一般的でした。
その後、技術開発が進んでいきスピーディに充電可能な急速充電スタンド(充電ステーション・充電スポット・チャージングステーション)も普及していきます。
さらに2024年時点では、電気自動車に蓄えてある電力を家庭で活用可能なV2Hが登場し、充電機能だけでなく直流・交流変換および給電機能の搭載により、効率よく電力を自家消費できるようになりました。
自然エネルギー財団によれば、V2Hは、2019年から27年にかけてFIT期間を終了するいわゆる「卒FIT」電源の有力な利用先として見込まれていて、およそ218万件超の潜在市場があると推定されています。
今後はV2Hの需要が急速に拡大していくことが確実ですし、V2H関連の技術向上も期待できます。
充電時間の短縮が可能
EVへの充電時間は、充電器の電力を変換する能力によって異なります。たとえば、普通充電器と比較した場合、V2Hの方が、充電時間の速い設備となっています。
具体的には200Vの普通充電器と比較すると、最大で約2倍の充電スピードによる給電を行ってくれます。※車種によって異なります。
この充電時間の改善については、V2Hならではの特徴であり強みでもあります。
特に通勤や急な用事でEVを使用する際は、運転しない時間帯に充電を完了させておきたいところです。また、EVの充電は、ガソリン車の給油と比較して時間がかかるため、EVへ切り替えた際にストレスを感じる部分といえます。
スピーディに充電できる設備が欲しい方にもV2Hは、特におすすめの設備といえます。
家庭用蓄電池と比べて費用対効果が高い
V2Hを電気自動車と組み合わせて蓄電池のように活用する場合、1台で二役をこなせる電気自動車は、コストパフォーマンスに優れた商品といえます。
たとえば、太陽光発電と連携可能な家庭用蓄電池の価格は、1台あたり100~250万円程度で推移しています。
一方、V2H対応の電気自動車の価格は190~270万円程度、V2Hは100~150万円程度で、家庭用蓄電池とガソリン車をそれぞれ購入するより初期費用を抑えられる可能性があります。
また、ガソリン車では家庭内の電気をカバーできないため、EV+V2Hの方が電気料金に関する経済的メリットを得られます。
他にも電気料金プランの中で時間帯別プランに加入している方は、電気自動車の充電時に電力量料金単価の安い深夜電力を利用することで、充電コストを削減できます。
また、ガソリン価格の高騰している2024年時点では、ガソリン車よりも維持管理費を抑えることが可能です。
さらに、太陽光発電を導入している場合なら、自家消費しきれず余った電気を電気自動車の充電に利用することで、電気自動車への充電費用を0円に抑えられます。
このようにV2Hと電気自動車は、家庭用蓄電池のように活用できますし、ガソリン車よりコストを抑えられる家計に優しい設備といえます。
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V2Hと蓄電池やその他充電設備の違い
V2Hは、住宅経由で電気自動車へ充電するだけでなく、電気自動車から電気を取り出せるのが強みです。
続いては、V2Hと家庭用蓄電池、普通充電スタンドや急速充電スタンドとの違いについて確認していきましょう。
家庭用蓄電池との違い
V2Hと家庭用蓄電池の大きな違いは、設備本体に充放電機能が備わっているかどうかという点です。
家庭用蓄電池には、電力会社から供給された電気や太陽光発電から発電された電気を充電したり放電したりできる機能が備わっています。一方、V2Hに蓄電機能は搭載されていないため、設備本体に電気が貯まらない仕組みです。
簡単に言うと、V2Hは 電気自動車を家庭用蓄電池としても利用できるようにするためのサポートシステム です。
厳密には、直流・交流変換機能+外部電源の電気を電気自動車や家庭に送る機能を持っています。
このようにV2Hは電気自動車から家の中に電気を送る・太陽光発電や電力会社から送電された電気を電気自動車へ給電するための装置であり、電池を貯めることのできる蓄電装置ではない点に気を付けましょう。
※一部蓄電池機能を搭載したV2H充放電器も発売されています。
それでは、家庭用蓄電池と、V2Hによって家庭用蓄電池としても使えるようになった電気自動車との違いは何でしょうか?
下記の比較表を参照してください。
|
住宅用蓄電池 |
V2H+電気自動車 |
容量 |
4kWh ~ 16kWh |
40kWh ~ 116kWh |
コストパフォーマンス |
△ |
〇 |
補助金額 |
最大60万円 ※2022年度実績 |
最大115万円 ※2022年度実績 |
停電時の切替え機能 |
〇 |
△ ※機種による。傾向として |
電気自動車への充電時間 |
△ 標準 |
〇 2倍 |
車を利用した買い物や通勤が必要な場合は、電気自動車とV2Hを組み合わせるメリットもあります。また、停電対策としても電気自動車とV2Hは、家庭用蓄電池と同じく役立ちます。
一般家庭は普通充電スタンド
現在日本で一番多く存在しているのが普通充電スタンドです。
普通充電スタンドは、200Vと100V対応型の2種類にわかれているのが特徴です。30分~1時間程度の充電では、わずか10km程度の走行分しかまかなうことができません。
ただし、休日や夜間などに数時間以上充電できる時間を確保できれば、大きな問題ではありません。また、日常の買い物を行っている時や病院などといった待ち時間の多い場面で充電できれば、少しずつ充電量を増やすことが可能です。
特に自家消費などを検討していない場合は、基本的にこちらの普通充電スタンドを検討してもメリットを感じられます。
ただし、電気自動車に貯められた電気を家庭内で消費したり、停電時に蓄電池代わりとして役立てたりしたい時は、電気代削減効果を得られる可能性のあるV2Hの方がおすすめです。
急速充電スタンド
高速道路などに設置されているものは、全て急速充電スタンドというタイプです。
3相200V電源という電源方式で、普通充電スタンドよりもハイパワーという特長を持っています。一般的には、出力50KWの急速充電スタンドが提供されています。
特筆すべきポイントといえば、やはり充電スピードです。わずか5分程度の短時間でも40km程度走行できるほどの電力を確保することが可能で、ガソリン車に匹敵する待機時間といえます。そのため、至急充電しなければいけない場合やスピーディに充電したい場合に役立ちます
急速充電スタンドは、充電設備の本体価格だけで100万円以上かかります。また、工事費が高いため、個人向けではありません。
さらに大型の商業施設などでも数台しか設置されていないため、外出先で利用するのが難しいというデメリットもあります。
ご家庭でこまめに充電したい、充電時間を短縮させたい時には、V2Hの導入を検討するのがおススメです。
V2Hを導入するメリット5選
V2Hの機能や他の充電設備との違いを把握したあとは、主な導入メリットについて確認していきましょう。
動画で解説!3分でわかるV2Hの導入メリット
自宅の充電コンセントより短時間で充電できる
V2Hを活用して電気自動車の充電を行った場合、200Vコンセントによる充電時間と比較して約2分の1になります。
電気自動車でドライブや通勤しようと思った際に、十分な充電ができていなかったら…というリスクを減らすことができます。
以下にニチコンのV2Hと日産リーフの組み合わせを例にした、V2Hの活用シーンを解説します。
インテリジェントな自動充電制御 ※3※4
EVパワー・ステーションは、あらかじめ電力会社との契約アンペアを設定することで、家庭で使われている消費電力をリアルタイムにモニターし、日産リーフに充電可能な電力量を自動的に制御します。この機能によって契約電力の範囲内で充電ができるようになり、充電中のブレーカー落ち(停電)を防ぐことが可能です。
※1EVパワー・ステーションの倍速充電機能を十分にお使いいただくためには、EVパワー・ステーション用に200V 30Aが必要になります。契約電力の範囲内で家電機器を動作させながら充電するため、使用する家電機器の負荷が大きくなると、充電にまわす電力が減少し、充電時間が延びる可能性があります。
※2バッテリー残量警告灯の点灯から満充電まで。
※3V2H非対応の車両には対応していません。
※4日産リーフへの充電中に基準値以上の過電流負荷が投入された場合などにおいて、ごく稀にブレーカーが遮断される場合があります。
また、ニチコンのEVパワー・ステーションは、49.8万円~(別途工事費が必要です)と低価格ながら充放電に関する制御機能も優れています。倍速充電機能は、自宅の契約アンペア数を設定しておくことで、消費電力量を自動で測定し、なおかつ電気自動車へ給電可能な電力を見極めながら急速充電を行ってくれる優れたシステムです。そのため、200Vコンセントより2分の1の時間で充電可能なだけでなく、急速充電によるブレーカ落ちリスクを抑えられます。
余剰電力やと深夜電力の活用で電気代料金を削減
電気自動車とV2Hのあるご家庭の中で時間帯別プランに加入しているご家庭は、夜間の安い電力を活用することで、電気料金負担の軽減を目指せます。
時間帯別プランは、夜間など特定の時間帯のみ電力量料金単価を安くしてもらえるプランで、主に夜間帯の料金が安くなっています。(電力量料金単価:消費電力に対する電気料金、1kWhにつき○○円といった仕組みで設定されている。)
そのため、夜間など電力量金単価の安い時間帯にV2Hで電気自動車の充電を行っておけば、電気料金負担を削減できます。
なお、時間帯別プランに加入していない方やより大幅な電気料金削減効果を目指している方は、太陽光発電との併用がおすすめです。
出力10kW未満の住宅用太陽光発電は、自宅の屋根やカーポートなどに設置可能な再生可能エネルギー設備です。発電した電気を使用しても電気料金はかからないため、V2Hへ活用すれば充電コストを0円に抑えられます。
また、FIT制度を利用すれば、自家消費したのちに余った電力を固定単価で売電できます。自家消費すればするほど、電力会社から供給される電力を使用せずに過ごせるため、電気料金の削減効果を得られます。
※FIT制度:太陽光発電を含む再生可能エネルギー由来の電力を10年間もしくは20年間電力会社に買い取ってもらえる制度。また、買取単価は固定価格なので、収支の見通しを立てやすいのがメリット。
では、太陽光発電由来の電力をV2H経由で給電すると、どのようなメリットを得られるでしょうか。
住宅用太陽光発電で発電した電気を全て使いきれなかった場合、売電もしくはV2H経由で電気自動車へ充電することが可能になります。また、発電できない夜間や消費電力の多い時間帯は、電気自動車に貯めておいた電力をV2H経由で自家消費できるため、太陽光発電のデメリットである発電不足をカバーしながら効率的に電気料金を削減することが可能です。
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ガソリン車と比較して毎月の家計負担を抑えやすい
電気自動車を使い始めると、ガソリン代はかからないため、ガソリン価格の高騰している2024年時点において大きなメリットといえます。
太陽光発電と連携しなければ充電の際に電気料金がかかるものの、ガソリン車と比較するとコストの低い特長を持っています。
以下に、自動車の走行距離を年間1万kmで考えた場合にいくら電気料金が増えるのか紹介します。
【電気料金のシミュレーション】
1.電気自動車の走行距離1kWhにつき6km *1
2.電力量料金単価を40.49円/kWhと仮定 *2
3.年間の電気料金負担は約5万円程度増加
*1 出典:環境省「グリーンボンドガイドライン2020年版」
*2 2024年4月1日以降の東京電力EP「スタンダードS」電力量料金(301kWh~)
一方、ガソリン車で年間1万km走行する場合、ガソリン代は年間約113,000円 になります。
つまり、ガソリン価格1Lあたり80円台まで下落もしくは、電気料金の急激な高騰といった事態にならない場合は、電気自動車の方が経済的メリットのある車両といえます。
*3 1Lあたりの走行可能距離を15km、ガソリン代を170円/Lで試算
このように電気自動車を導入するだけでも経済的メリットはあるのですが、V2H+太陽光発電を導入すると、さらに電気代を抑えられます。
太陽光発電とV2Hを連携させた場合、電気自動車からV2Hおよび太陽光発電の電気を自家消費することが可能です。どちらか一方ではなく、各設備を同時に制御・使用できるのは、V2Hの大きなメリットです。(※系統連系型の場合)
さらに太陽光発電で発電した電気を電気自動車の充電に使用すれば、充電にかかる電気料金を0円にできます。
電気自動車とガソリン車との費用対効果をシミュレーションすると、下記のようになります。
※ 一ヶ月1,000km走行した場合の費用を比較
【 ガソリン車のガソリン代 】
・燃費:15km/リットル
・ガソリン代:170円/リットル
・1,000kmのガソリン代:11,333円
= 1,000km ÷ 15km/リットル × 170円/リットル
【 電気自動車の充電費用 】
・電費:6km/kWh
・電気代:42.60円/kWh(昼間)・ 31.64円/kwh(深夜電力)※2024年4月1日以降の東京電力EP「夜トク8」電力量料金
・1,000kmの充電費用:7,100円(昼間)・5,273円(深夜電力)
= 1,000km ÷ 6km/kWh × 31.64~42.60円/kWh
【 太陽光発電の充電費用 】
・燃費:6km/kWh
・電気代:0円/kWh(自家消費)
・1,000kmの充電費用:0円
= 発電電力 –(1,000km ÷ 6km/kWh × 0円/kWh)
太陽光発電の「発電電力を使って電気自動車に充電できる」ので充電費用はかかりません。
◆ 10万km走行した場合の費用
ガソリン車:約113万円電気自動車:35万~55万円太陽光発電:0円
費用対効果については、太陽光発電システムとV2Hの導入費用次第ですが、自宅の電気料金を大幅に節約したり売電収入を得たりできるため、経済的なメリットはさらに高まります。
2022年から続く急激な物価高や燃料費の高騰、光熱費の値上げは、2024年時点でも多くの家庭に大きな影響を与えています。また、2024年4月以降もさまざまな商品や原材料の値上げは予定されています。
節約や節電だけでは負担を抑えきれないため、V2Hや太陽光発電による創エネ・省エネを目指してみてはいかがでしょうか。
災害時に非常用電源として活用可能
電気自動車+V2Hの組み合わせは、停電時に非常用電源として役立ちます。
たとえば、台風や落雷、地震などといった災害で長期停電した場合、電気自動車に蓄えた電気をV2Hで経由しながら自家消費することが可能です。
電気自動車のバッテリーは車種によって変わるものの、約10kWh~60kWhと一般的な家庭用蓄電池に比べて大容量なタイプも数多く存在します。
通常時の電気使用量は、3人暮らしなら1日あたり12kWh前後です。在宅で避難生活を送る場合は、少なくとも通常時より電気使用量が少なくなるので、60kWhの蓄電容量なら5日前後自家消費できる可能性もあります。
また、家庭用蓄電池単体では、蓄電容量の関係から長期停電に対応できないものの、家庭用蓄電池とV2H+電気自動車を併用すれば、1週間程度の停電でも電気を使用しながら避難生活を送れます。
※家庭用蓄電池は消防法により17.76kWhまでに規制されていますが、電気自動車にはその規制が適用されません。
蓄電池に消防法が関係あるって本当?適用される9つのルールを紹介|エコでんち
なお、1週間を超える長期停電に備えたい場合は、電気自動車+V2H+住宅用太陽光発電の併用がおすすめです。
住宅用太陽光発電には自立運転モードという停電時に稼働するための機能があるので、停電時に同モードへ手動・自動で切り替えれば発電を継続できます。また、日中に発電した電気のうち余った電気をV2H経由で電気自動車へ充電しておけば、停電中でも夜間に照明やスマホの充電、IHクッキングヒーターなどを利用することが可能です。
在宅避難生活中では、情報収集や生活のために電気も重要です。すぐに電気を利用できるほか、電気自動車を蓄電池として活用できるのは、V2Hならではのメリットといえます。
また、電気自動車は移動手段としても役立つので、太陽光発電の電気で充電しておけば、他の場所へ避難しなければいけない状況へ変わった場合、遠方への飲料水補給・物資の調達といった場合でも迅速に移動できます。
特に小さなお子様や体の不自由なご家族がいる家庭の場合、長期停電は命に係わる可能性もあります。V2H+電気自動車+住宅用太陽光発電で停電時でも、電気のある生活を送れます。
※なお、V2Hによって太陽光発電の電気を電気自動車へ充電する方法や条件は異なります。また、ニチコンのEVパワー・ステーションを活用する場合は、「EVパワーステーションプレミアムモデル」の利用が必要です。
環境に配慮した生活を始められる
気候変動問題への関心が高い方にとってV2H+電気自動車は、導入メリットのある設備です。
現在、温室効果ガスの二酸化炭素は、気候変動および温暖化の原因とされています。そのため、日本政府では、2050年のカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量実質0)目標を掲げ、さまざまな政策を進めています。
もし、気候変動を改善できなければ、社会を保つことができませんし、台風などの災害リスク増加につながります。
そのため、二酸化炭素の排出量削減は、私たちの生活にとっても重要な課題です。
電気自動車およびV2Hは電気で稼働するため、化石燃料不使用です。また、住宅用太陽光発電と連携させれば、二酸化炭素を排出せずに発電した電気を使用できるようになります。
持続可能な社会や脱炭素社会に関心を持っている方は、この機会にV2Hや電気自動車、住宅用太陽光発電について検討してみてはいかがでしょうか。
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V2Hに対応した電気自動車の車種
ここからは、V2Hに対応した主要な電気自動車のメーカーと車種についてご紹介していきます。
日産のV2H対応車種
ここでは、日産のV2Hに対応した電気自動車をご紹介していきます。
日産のV2Hに対応した電気自動車には、「リーフ」と「サクラ」「アリア」があります。
日産「リーフ」の総電力量は40kWhと60kWhの2種類
引用:日産「NISSAN LEAF」
日産のV2H対応の電気自動車「リーフ」シリーズでは、総電力量(電池容量)「40kWh」と「60kWh」の2種類が販売されています。
日産「リーフ」の車名と価格、総電力量(電池容量)、一充電走行距離(WLTCモード)は以下の通りです。(WLTCモードとは、市街地、郊外、高速度の各走行モードを、それぞれの平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードのことを指します。)出典:国土交通省ウェブサイト (燃費チラシ.indd (mlit.go.jp))
日産リーフX:定価4,081,000円(税込)/総電力量40kWh/一充電走行距離322km日産リーフG:定価4,448,400円(税込)/総電力量40kWh/一充電走行距離322km日産リーフX(Vセレクション):定価4,318,600円(税込)/総電力量40kWh/一充電走行距離322km
NISMO:定価4,642,000円(税込)/総電力量40kWh/一充電走行距離281 km
AUTECH:定価4,444,000円(税込)/総電力量40kWh/一充電走行距離314 km
日産リーフe+ X:定価5,253,600円(税込)/総電力量60kWh/一充電走行距離450km日産リーフe+ G:定価5,834,400円(税込)/総電力量60kWh/一充電走行距離450km
e+ AUTECH:定価5,616,600円 (税込)/総電力量40kWh/一充電走行距離443 km
e+ X 90周年記念車:定価5,584,700円 (税込)/総電力量60kWh/一充電走行距離450 km
※価格は税込みです。
※2024年3月4日時点での情報です。
日産「サクラ」
リーフの半分の20kWhバッテリーを備えた、日常使い用の電気自動車です。バッテリー容量は20kWhと比較的コンパクトですが、その分価格も抑えられています。費用を抑えながら電気自動車へ乗り換えたい方などには、メリットの多い車種です。
引用:日産HP
サクラX:定価2,548,700円(税込)/総電力量20kWh/一充電走行距離180km(WLTCモード)
サクラG:定価3,040,400円(税込)/総電力量20kWh/一充電走行距離180km( WLTCモード)
X 90周年記念車:定価2,658,700円(税込)/総電力量20kWh/一充電走行距離180km( WLTCモード)
※詳細な価格等は日産自動車のWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
日産「アリア」
リーフよりも大きなバッテリーを搭載したSUVモデルです。
引用:日産HP
アリア:定価5,390,000円(税込)~/総電力量66kWh/一充電走行距離470km(WLTCモード)
※詳細な価格等は日産自動車のWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
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三菱自動車のV2H対応車種
三菱自動車からは、V2Hに対応した電気自動車(EV)と、プラグインハイブリッド(PHEV)が販売されています。
三菱自動車のV2H対応EV(電気自動車)
引用:三菱自動車「MINICAB-MiEV」
三菱自動車のV2H対応EV(電気自動車)は以下の通りです。
MINICAB-MiEV(2シーター):定価2,431,000円(税込)~/総電力量(電池容量)16kWh
MINICAB-MiEV(4シーター):定価2,453,000円(税込)~/総電力量(電池容量)16kWh
※価格は三菱自動車のWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
三菱自動車のV2H対応PHEV(プラグインハイブリッド)
アウトランダーPHEVとエクリプスクロスPHEVの二種類がラインナップされています。
引用:三菱自動車「エクリプスクロス」
エクリプスクロス(PHEVモデル):定価4,094,200円(税込)~/総電力量(電池容量)13.8kWh
アウトランダーPHEV:定価4,995,100円(税込)~/総電力量(電池容量)20kWh
※価格は三菱自動車のWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
トヨタのV2H対応車種
トヨタからは、V2Hに対応したプラグインハイブリッド(PHEV)として、新型の「プリウスPHEV」が2023年3月より販売されています。
なお、V2Hに対応しているのは、19年5月改良版以降の「プリウスPHV」のみとなります。(放電不可、充電のみ)また、購入時に、車両メーカーオプションの「急速充電インレット(外部給電機能付き)」を注文する必要があります。
V2Hに対応したトヨタの「プリウスPHV」
引用:トヨタHP
V2Hに対応したトヨタ「プリウスPHEV Zグレード」の、車名と価格、総電力量(電池容量)、EV走行距離(WLTCモード)は以下の通りです。(WLTCモードとは、市街地、郊外、高速度の各走行モードを、それぞれの平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードのことを指します。)
プリウスPHEV(Zグレード):定価3,200,000~4,600,000円/総電力量13.6kWh/EV走行距離87km
※価格は税込みです。
※2024年3月4日時点での情報です。
リース専用車「bZ4X」
リース専用車としてのラインナップですが、新発売の「bZ4X」はトヨタ初の本格EV車です。
引用:トヨタHP
bZ4X:総電力量71.4kWh/一充電走行距離FWD:559km 4WD:540(WLTCモード)
※詳細な価格等はトヨタ自動車のWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
※取扱い停止中
水素自動車の「MIRAI」もV2H対応
意外なところでは、水素自動車の「MIRAI」もV2Hに対応しています。停電時のみ対応という限定的な機能ではありますが、非常用電源としても役立ちます。
引用:トヨタHP
※詳細な価格等はトヨタ自動車のWEBサイト等をご覧ください。
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ホンダの対応車種
ホンダ(本田技研工業株式会社)からは、V2Hに対応した電気自動車(EV)として、「Honda e Advance」が販売されていました。しかし、2024年1月をもって新規生産を終了したため、生産分が売り切れてしまうと今後新規購入はできません。
V2Hに対応したホンダの「Honda e」
引用:日産「HONDA-e」
それぞれの車名と価格、総電力量(電池容量)、一充電走行距離(WLTCモード)は以下の通りです。(WLTCモードとは、市街地、郊外、高速度の各走行モードを、それぞれの平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードのことを指します。)
Honda e Advance:定価4,950,000円/総電力量35.5kWh/一充電走行距離259km
※価格は税込みです。
※2024年3月4日時点での情報です。
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マツダの対応車種
マツダからはSUVタイプで2車種のラインナップがあります。
マツダMX-30 EV MODEL
引用:マツダHP
MX-30 EV MODEL:定価4,510,000円~/総電力量35.5kWh/一充電走行距離256km(WLTCモード)(上位グレードにEV Basic Set、EV Highest Set)
※詳細な価格等はマツダのWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
マツダCX-60(PHEV)
引用:マツダHP
CX-60(PHEV):定価6,099,500円~
※詳細な価格等はマツダのWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
スバルの対応車種
スバルからも待望のEVが発売されています。トヨタとプラットフォームを共同開発しており、トヨタbZ4Xとの共通部品が多く採用されています。
スバル「ソルテラ」
引用:スバルHP
ソルテラ:定価6,270,000円〜/総電力量71.4kWh/一充電走行距離567km(WLTCモード)
※詳細な価格等はスバルのWEBサイト等をご覧ください。
※2024年3月4日時点での情報です。
V2H対応できる外車はある?テスラは?
ここ最近になって、海外メーカーも日本市場向けにV2H対応EV車を続々と投入しています。
メルセデスベンツ(ドイツ)、ヒョンデ(韓国)、BYD(中国)などです。ちなみに電気自動車として有名な「テスラ(米国)」は、現在のところV2Hは未対応です。また、同社の新型EVサイバートラックは外部給電に対応しているもののV2Hと異なる規格のため、V2Hとの連携はできません。
V2Hは日本独自のシステムおよび機能なので、海外製の中にはV2H非対応のケースもあります。そのため、V2Hの活用を前提にする場合は、国産の電気自動車やPHEVなどから比較検討するのがおすすめです。
V2Hの注意点とデメリット
さまざまな特徴やメリットのあるV2Hですが、デメリットや注意すべきポイントもあります。
ここからは、V2Hの注意点やデメリットについてわかりやすく解説していきます。
対応車種が決まっている
前段でも解説したようにV2H対応車種は、2024年時点でも限定されています。また、時期によって販売されている車種に違いが出るため、最新の情報をベースに比較検討する必要もあります。
これからEV車やPHEV車などの購入を検討する方は、まずV2H対応車種かどうか確認し、なおかつ車両も生産されているか調べておく必要があります。
なお、弊社で特に人気の高いV2Hスタンドに関して、下記記事より対応可能な車種をまとめています。
ご自身のEV車が対応可能か、今後購入予定の車が対応しているか確認してみてください。
V2Hのコストパフォーマンスは使用環境によって変わる
電気自動車とV2H、更に太陽光発電を導入すれば、太陽光発電から発電された電気を車に貯めておき、夜間などの発電量や少ない時間帯に使うことで、電気料金の削減効果を伸ばせます。
ただし、V2H自体には電気を貯める機能がないため、電気自動車を自宅に置いていなければ蓄電池として使用できません。
セカンドカーとしての電気自動車導入や、そもそもちょい乗りぐらいにしか使わない…など、日中に車が自宅にあるご家庭ならメリットを得やすいものの、車通勤の方や、よく車でお出かけする方などは十分に太陽光の電気を車に貯めることが出来ず、メリットが出にくいです。
ライフスタイルと電気自動車の使い方は、一度ご家族で相談されると良いかもしれません。
日中に車をよく使われる方は、V2Hだけでなく家庭用蓄電池を一緒に導入されるのがおススメです。
昼間、余った電気は蓄電池にいったん貯めておき、夜車が戻ってきたら蓄電池に貯めておいた電気で充電をする…こういった具合に、任意のタイミングで太陽光発電の電気を活用できるのでより効率的です。
また、トライブリッド型蓄電システム、という「太陽光・蓄電池・V2H」の機能が一台で備わったような製品も発売されています。
詳しくは以下画像のリンク先で解説しますのでぜひ最後までご覧ください。
バッテリーは年々劣化してゆく
家庭用蓄電池と同じく電気自動車のバッテリーには、寿命の問題もあります。
正確には寿命ではなく交換目安の年数となりますが、メーカーによって保証内容は異なります。
一般的な保証は5年もしくは10万kmという内容で、
EVメーカーのテスラなどは「8年の走行無制限」の保証付きです。
また、BMWも「8年または10万kmでバッテリーの交換が必要な場合は無償で対応」といった保証をうたっています。
他にも日産のリーフなら有償(65万円から)で新品にバッテリー交換をおこなうプログラムも開始しました。
通勤や旅行などで電気自動車を利用する方や長期保証のある蓄電設備を求めている方は、特に注意の必要なポイントといえます。また、蓄電機能を重視する場合は、まず家庭用蓄電池から比較検討するのがおすすめです。
家庭用蓄電池には10年~15年の保証があるので、電気自動車と比較して保証期間の長いサービスです。また、総サイクル数という目安があるため、購入前に交換時期の目安を確認できるようになっています。
蓄電池・V2H検索
「価格」「機能」「容量」「メーカー」で絞り込み検索ができます。
瞬間的な停電が起こることもある
V2Hの仕様によっては、電気自動車から給電している状況で電力会社からの電気を使用できないケースもあります。つまり、電気自動車と電力会社から供給されている電気を同時使用できないため、自宅で瞬間的な停電リスクが生じます。
具体的には、自宅で使用している電力量がEV車からの給電量を上回ると給電が停止します。給電停止後は、電力会社から電気が供給されるので、長期停電にはつながりません。ただし、供給される電気が切り替わる際、瞬間的な停電につながり、パソコンをはじめとした精密機器に影響を与えます。
特に電気自動車の電気で積極的に自家消費している場合は、消費電力量や電気自動車の残量に注意する必要があります。
中でもテレワークでパソコンを使用している方は、突然の瞬停でデータ消失や破損につながるため、注意が必要です。
また、災害などによる停電時、機種によってはシガーソケットからV2H本体に繋ぎ、一度V2H本体に電気を送らないと家に給電できないこともあります。自動的に車からの電気供給に切り替わってはくれないため、夜中に地域一体が停電してしまうと暗い中車に向かい、本体と車を操作する必要がでてきます。
瞬停対策としては、UPS(無停電電源装置)を活用することでデータ損失などのリスクに備えられます。(UPS:瞬停や停電の際、UPSに貯められた電気で瞬時に電力供給を行う。)
※EV車から給電中に、同時に電力会社からの電気は使用できません。
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使い方によっては劣化しやすくなる可能性も
電気自動車およびV2Hの使い方によっては、劣化しやすくなってしまう可能性もあります。たとえば、充電スタンドによる急速充電を毎回するよりも、数回に1回は充電コンセントからの満充電を推奨されている車種もあります。
以下は、三菱アウトランダーPHEVのページから抜粋
『コンセントから充電される場合は、満充電付近※でのつぎ足しを続けると性能低下が早まりますので、出来るだけ避けて下さい。性能を長持ちさせる為には、残量目盛りが半分以下になってから充電するようにしてください。
また、急速充電のみを繰り返し行うと、駆動用バッテリーの寿命が短くなることがあります。
駆動用バッテリーの性能を維持するため、2週間に1回程度は普通充電を行い、満充電することをお勧めします。』
※駆動用バッテリー残量計の目盛りが全て表示されている状態
つまり、100%に近い充電量で何度も充電を行うと充電容量などに影響がおよび、経年劣化してしまう可能性もあります。また、急速充電は、バッテリーに負荷のかかる充電方法です。
なぜならバッテリーであるリチウムが、熱に対して弱いという点が影響しているためです。
急速充電は充電コンセントによる充電に比べ素早く充電できますが、負荷がかかります。充電方法を工夫することでバッテリーへの負担を少なくできるので、電気自動車をより長持ちさせることができます。
V2Hで急速充電を行う時は、車種ごとの特性を把握し、なおかつ充電方法と劣化に関する注意点について確認しておくのが大切です。
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V2Hを選ぶ際のポイント
V2Hを検討する際は、選び方に関するポイントおよび注意点について把握しておく必要があります。
続いては、V2Hを選ぶ際のポイントについてわかりやすく解説していきます。
価格と予算のバランス
V2Hおよび施工販売店を検討する際は、本体価格と施工費用を確認しておきましょう。
V2Hの本体価格は、メーカーおよび製品によって40万円台~100万円台と幅広い傾向です。そこで製品を選ぶ時は、まず予算の範囲内で負担できるのか計算した上で、検討しましょう。
また、設置工事にかかる費用は、施工販売店と設置場所の環境によっても変わります。
そのため、施工販売店を選ぶ際は、相見積もりを行ったり項目ごとの費用を丁寧に記載したりしている販売店を候補に入れるのが大切です。
相見積もりを行えば、V2Hの平均的な施工費用を算出できますし、どこが安いのかわかります。見積もり内容が丁寧に記載されているケースなら、どの作業や部材調達にいくらかかるのか一目で把握できるため、信頼できるポイントの1つです。
サイズ
V2Hを選ぶ際は、サイズと設置予定場所のスペースに注意が必要です。
万が一、自宅の駐車場に設置スペースがなければ、V2Hを設置できませんし、設置できたとしても自動車の駐車時にぶつけてしまうリスクもあります。
また、V2Hによって充電ケーブルの長さは異なりますし、車種によって充電口がどこにあるかも異なります。
そのため、製品の種類と設置場所を間違えてしまうと、いざ活用しようとしても充電しにくくなってしまい、故障させてしまう可能性もあります。
設置スペースが狭い場合は、省スペース設計のV2Hを探しましょう。
V2Hによっては本体部分と、充電するポッドが分かれている製品もあります。また、カーポートの柱部分に括り付けるように設置できるタイプがあるので、省スペース設計を求めている方におすすめです。
連係方式
V2Hを選ぶ際は、連係方式を把握した上で検討する必要があります。
連系方式の違いによって、給電中でも太陽光発電や電力会社からの電気を同時に使用できるかどうか変わります。
また、V2Hは、以下の様に非系統連係と系統連系の2種類にわかれているのが特徴です。
項目 |
特徴 |
非系統連系 |
・電気自動車からV2H経由で自宅へ給電している時は、電力会社からの電気や太陽光発電から発電された電気を家庭内で使用できない ・電気の供給方法は1種類のみに限定される |
系統連係 |
・電気自動車からV2H経由で自宅へ給電している時も、電力会社から流れている電気や太陽光発電から発電された電気を使用できる ・複数の給電を同時に稼働できる |
非系統連系型は、太陽光発電で発電した電気を自家消費しながらV2H経由で自家消費できません。そのため、電気料金削減効果は限定される可能性があります。
また、電気自動車+V2Hで自家消費もしくは電力会社からの給電に切り替わる際、瞬停してしまうのも注意すべきポイントです。(※瞬停:瞬間的な停電のことで、照明が一瞬切れたり電子機器の電源が落ちたりする)
一方、系統連系型は、電力会社から流れてくる電気を使用しながら電気自動車+V2Hで自家消費できますし、太陽光発電も併用することが可能です。つまり、複数の設備を同時に使用できる他、瞬停のリスクを避けられるようになっています。
使いやすさや瞬停による電子機器への負担を考慮すると、系統連系型の方がおすすめです。
施工販売店は、V2Hの連系方式についても把握しているので、見積りの前に調べてもらいましょう。
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停電時の運転方式
災害時の非常用電源として電気自動車を活用したい場合は、V2Hの停電時に関する運転方式を確認しておくのが大切です。
V2Hには、停電時の運転方式に種類があります。
特定負荷型のV2Hは、設置前に給電先の場所(部屋)を指定しておく必要があります。設置後は、停電が起きた際にあらかじめV2Hと接続した部屋や住宅設備でのみ電気を使用できるようになります。
一方、全負荷型は、あらかじめ全部屋のコンセントや住宅設備と接続しておくタイプなので、停電時発生時にどのコンセントや住宅設備から電気を使用することが可能です。
停電時に必要最低限の電気を使用し、なるべく電気自動車に貯めておいた電気を消費しないよう気を付けたい場合は、特定負荷型の方が合っているといえます。
オール電化住宅に住んでいる方や停電時でもさまざまな部屋から電気を使用したい方は、全負荷型の方が合っています。
太陽光発電や蓄電池を導入する際は互換性を確認する
V2H単体だけでなく住宅用太陽光発電や家庭用蓄電池の導入も検討している場合は、各製品の互換性を施工販売店に確認してもらったり、トライブリッドパワコンを購入したりしてみるのがおすすめです。
ニチコンのトライブリッド蓄電システムは、トライブリッドパワコンにプラスして、蓄電池とV2Hを組み合わせられるシステムです。トライブリッドパワコンとは、1台のパワーコンディショナで太陽光発電と蓄電池、V2Hを制御し、効率的な自家消費および電力供給を行ってもらえる設備のことです。
特に3種類の住宅設備を導入するご家庭にはメリットが多く、電気料金削減効果という点でも注目の設備といえます。
そして、停電時に太陽光発電の電気を充電ができるような機種になると、既設の太陽光発電に付帯されているパワーコンディショナーとの相性確認が必須になります。
中には停電時に太陽光の電気を電気自動車へ充電できない場合もあるため、各設備の互換性や規格、接続後のエラーリスクなどを確認してもらいましょう。
太陽光×蓄電池×V2Hでさらに電気代削減
前述のとおり、V2Hにプラスして太陽光や蓄電池があると、本来V2Hが持つ急速充電や、停電時のバックアップなどの利便性に追加してさらなる電気代削減が期待できます。
①太陽光×V2Hの組み合わせ
太陽光発電システムで発電した電気をV2H経由で電気自動車に貯めておき、必要に応じて自宅で自家消費できれば、太陽光発電の電気をより効率的に活用できるようになります。
つまり、太陽光発電単体よりも「電気を買わなくてよくなる」ので、電気代削減効果は高いといえます。また、従来かかっていたガソリン代or電気代もかからずに無料で充電できるため、エコでなおかつ経済的にドライブができますね。
「家の屋根に太陽光パネルを乗せられない… orのせたくない…」というお悩みの方は、「ソーラーカーポート」のご検討もオススメです。
カーポートの屋根上に太陽光パネルをのせることができるタイプ、またはカーポートの屋根と一体型のパネルがあります。紫外線などから電気自動車を守れますし、電気代削減でオサイフにも優しいです。
太陽光発電と電気自動車の組み合わせができる家庭は、V2Hによって増えた負担を和らげることが出来るため、有効的と言えるでしょう。
②太陽光×蓄電池×V2Hの組み合わせ
太陽光×V2Hのデメリットは、昼間に車が無いとその恩恵を受けられないことです。
充電コスト0円で充電したり、太陽光発電の電気をいったん貯めて夜間に放電したりしやすいのは、太陽光と組み合わせた時の大きな強みです。ただし、あくまでも「昼間に車があること」を前提としたメリットになります。
車通勤の方や、よくお出かけをされる方はといった日中に電気自動車を使用する方は、その恩恵を十分に受けることが出来ません。
そこに家庭用蓄電池があれば、太陽光発電で発電した電気を一度貯めておき、夜間や消費電力量の多い時間帯に放電することによって、ライフスタイルに縛られることなく、ムダなく電気代削減をすることができます。
また、太陽光発電の電気を家庭用蓄電池に貯めておき、電気自動車を使用していない時間帯に充電しておけば、充電コスト0円で運用することが可能です。
まとめ
V2H+EVは、家庭用蓄電池と同様に生活をより豊かにしてくれる住宅設備の1つです。
電気自動車に貯めた電気を直流へ変換しながら自宅へ給電できますし、太陽光発電や家庭用蓄電などの電気を電気自動車へ充電することも可能です。また、太陽光発電や家庭用蓄電池と併用すれば、効率よく電気料金を削減できるようになります。
電気自動車をセカンドカーとして利用している方や電気自動車と太陽光発電の連携に関心を持っている方などは、今回の記事を参考にしながらV2Hを比較検討してみてはいかがでしょうか。
エコでんちでは、家庭用蓄電と住宅用太陽光発電、V2Hを多数取り扱っています。また、環境省公的資格「うちエコ診断士」を取得した専任のアドバイザーが、お客様のご予算や要望などに合った製品をご提案いたしますので、比較の手間や時間をかけずに検討いただけます。
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