太陽光発電のメリットとデメリットをわかりやすく解説!導入のポイントも紹介
最終更新日:2025.11.20 太陽光発電

近年、電気代の高騰や地球温暖化対策への社会的要請の高まりを受け、太陽光発電は企業や家庭にとって欠かせないエネルギー源となりつつあります。
「クリーンなエネルギー」として知られる一方で、「初期費用が高い」「天候に左右される」といった懸念点があることも事実です。
本記事では、太陽光発電の基本的な仕組みから、日本の普及状況、導入のメリット・デメリット、そして初期費用を抑え、発電効率を最大限に高めるための最新技術(蓄電池、V2Hなど)との連携方法までを、網羅的かつ専門的な視点から解説します。これから導入を検討する方、知識を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそも太陽光発電とは?仕組みと日本の普及状況

太陽光発電とは、太陽の光エネルギーを半導体でできた太陽光パネル(ソーラーパネル)によって直接電気に変換する発電方法です。石油や石炭などの化石燃料を燃焼させないため、発電時にCO2やPM2.5などの温室効果ガスを排出しません。
中でも出力10kW未満の太陽光発電は、「住宅用太陽光発電」と呼ばれています。
一般的には、住宅の屋根に太陽光パネルが取り付けられ、宅内のモニターやスマートフォンのアプリ、WEB画面などで発電量をチェックできる仕組みです。
初期費用は出力によって変わるものの、1kWあたり29.5万円程度で推移しています。
比較的出力の小さな4kWタイプで計算すると、120万円程度です。
8kW前後の少し出力の大きなタイプは、200万円程度となっています。
太陽光発電を導入する際は、再生可能エネルギーを対象としたFIT制度の認定を受けられます。
FIT制度は、電力会社が一定期間電力を買い取る国の支援制度です。
電力の買取単価は固定のため、売電収入の見通しを立てやすいといったメリットがあります。
出力10kW未満の住宅用太陽光発電なら、FIT認定年から10年間、固定単価で電力を買い取ってもらえます。
2025年度の固定買取価格は、1kWhにつき24円(~4年)、8.3円(5~10年)です。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー (meti.go.jp))
より詳細な仕組みや費用、FIT制度については、以下の記事も参考にしてみてください。
関連コラム:太陽光発電の仕組みや知っておくべき基本の知識 | エコでんち
関連コラム:FIP制度の移行はいつ?FIT(固定買取)制度との違いや太陽光発電への影響について解説 | エコでんち
関連コラム:【2025年最新】太陽光発電の設置費用と価格相場及び投資回収の目安を徹底解説
発電の根幹「光電効果」の仕組み
太陽光発電の核となるのは、「光電効果」と呼ばれる現象です。
太陽光パネルは、最小単位である太陽電池(セル)を多数接続して作られています。このセルは、異なる性質を持つ「n型半導体」と「p型半導体」の2種類が貼り合わさって構成されています。
1.光の吸収と電荷の発生
太陽光(光エネルギー)が太陽電池に当たると、そのエネルギーが吸収され、マイナスの電荷を持つ「電子(-)」とプラスの電荷を持つ「正孔(+)」が発生します。
2.電荷の分離
貼り合わせた半導体の境目には電界が発生しており、この電界の働きにより、電子(-)はn型半導体側へ、正孔(+)はp型半導体側へと強制的に分離・集積されます。
3.電流の取り出し
それぞれの半導体層に集まった電荷を導線で接続すると、電子が移動することで電流が発生し、電気エネルギーとして取り出せるようになります。
日本の太陽光発電の普及状況と政策動向
日本では、2009年の「余剰電力買取制度」、そして2012年の「FIT制度(固定価格買取制度)」の開始以降、太陽光発電の導入が急速に進みました。特にFIT制度は、長期にわたって安定した売電価格を保証したため、企業や個人の導入の大きな後押しとなりました。
経済産業省のデータによると、日本の再生可能エネルギー導入量(電力)の中で、太陽光発電は最も大きな割合を占めており、エネルギー自給率向上と脱炭素社会の実現に向けた中核的な電源と位置づけられています。
<主要な導入形態>
・住宅用太陽光発電
出力10kW未満のシステム。主に発電した電気を家庭で使い、余った分を売電する「余剰売電」が中心です。
・産業用太陽光発電
出力10kW以上のシステム。企業の工場や倉庫の屋根、遊休地などに設置され、大規模な自家消費または売電を目的とします。
・PPAモデル(第三者所有モデル)
PPA事業者(専門業者)が設備を所有し、需要家に電気を供給する方式。初期費用ゼロで太陽光発電を導入できる点が最大の特長です。
太陽光発電システムを構成する主要機器とその役割
太陽光発電システムは、単に太陽光パネルを設置するだけでなく、複数の機器が連携することで初めて機能します。それぞれの機器の役割を理解することは、トラブル防止やメンテナンスの際に重要です。
太陽光パネル(モジュール)の種類と特徴
太陽光パネルは、光を電気に変える心臓部です。現在主流のパネルは「シリコン系」で、単結晶、多結晶、アモルファス(薄膜)などに分類されます。
| 種類 | 特徴 | 発電効率 | 備考 |
| 単結晶シリコン | 発電効率が最も高い。価格も比較的高め。狭い屋根でも高い出力を得やすい。 | 18~23%程度 | 住宅用で最も普及しているタイプ |
| 多結晶シリコン | 製造コストが低く、単結晶より安価。発電効率は単結晶に劣る。 | 15~18%程度 | コストを重視する場合に選択肢となる |
| アモルファス薄膜 | 薄くて軽量。曇りや影に強く、高温時の効率低下が少ない。効率は低い。 | 7~10%程度 | 複雑な屋根形状や設置場所の耐荷重制限がある場合に適する。 |
パワーコンディショナー(パワコン)の重要性
太陽光パネルで発電された電気は「直流」ですが、家庭や企業で使用されている電気機器は「交流」で動いています。この直流と交流を変換する役割を担うのがパワーコンディショナ(通称:パワコン)です。 パワコンは、システム全体の電力変換効率と安定性に直結する最も重要な機器の一つであり、一般的に太陽光パネルよりも寿命が短く(10~15年程度)、定期的な交換が必要となる高額部品です。
その他周辺機器(接続箱、架台など)の役割
・接続箱:パネルから送られてきた直流の電気を集め、パワコンに送り出すための機器。
・分電盤:家庭内に電気を分配する機器。太陽光発電と連系することで、売電・買電の制御も行います。
・架台:屋根や地面に太陽光パネルを固定するための土台。積雪や強風に耐えられる高い強度が必要です。
太陽光発電導入の13のメリットを徹底解説

太陽光発電システムの導入は、多角的なメリットをもたらします。ここでは、経済、環境、防災の3つの側面から掘り下げます。
経済的メリット(電気代削減、売電収入、費用削減)
1.電気料金を大幅に軽減
発電した電気を自社の施設や家庭で消費する「自家消費」が、最大の経済効果を生みます。特に電気料金単価が高い日中帯に消費することで、電力会社からの買電量を大幅に削減し、実質的な電気代を軽減できます。
太陽光発電の年間発電量は、太陽光発電協会(JPEA)によると、設置容量1kWあたりで年間約1,000kWhの発電量と発表されています。
たとえば、出力4.5kWの太陽光発電を設置した場合、年間4,500kWhもの発電量を確保することが可能です。
一般的な家庭の年間電力消費量は約4,300kWhなので、計算上になりますがおよそ9割もの電力を太陽光発電でまかなえることになります。
もちろん、太陽光発電単体では夜間や早朝に発電できないため、1日の消費電力に対してカバーできない場面も出てきます。それでも日中の電力を自家消費したり売電したりすることで、電気料金負担をある程度抑えられるようになります。
さらに、近年では電気料金の値上げが続いているので、太陽光発電の自家消費率を高めて買電量を削減すれば家計負担を抑えながらいつも通りに電気を使用できます。無理な節電はストレスが溜まりますし、生活に支障をきたす場合もあります。
電気を使用しながら電気料金負担を軽減できるのは太陽光発電の強みといえます。
2.売電収入の獲得と収益化
FIT制度の期間内(住宅用は10年間、産業用は20年間)は、固定価格で余剰電力を売電できます。期間終了後も、新電力会社などとの相対契約や自家消費に切り替えることで、発電した電気を無駄なく収益化・活用できます。
固定買取価格については、FIT認定を受けた年度によって変わる仕組みです。
たとえば、2024年度にFIT認定を受けた場合は、2024年度に定められた固定買取価格で10年間売電できる仕組みです。なお、2024年度の固定買取価格は、1kWhにつき16円です。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー (meti.go.jp))
固定買取価格は年々下落方向で更新されているものの、初期費用も安くなっているので利回り7%前後の状態で売電を継続できます。つまり、設置から14年前後で初期費用を回収できるということです。
固定買取期間終了後は、新たに電力会社と電力買取の契約を交わすか、発電した電気を全て自宅で貯めて使用できる蓄電池を設置するなど、さまざまな選択肢から検討できます。なお、卒FIT後の運用方法について後半で紹介します。
3.再エネ賦課金の負担を軽減
電力会社から電気を購入する際、料金に上乗せされる「再エネ賦課金」や「燃料費調整額」の負担も、太陽光発電での自家消費によって買電量が減ることで、自動的に削減されます。
再エネ賦課金(正式名称:再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは、電力会社の再生可能エネルギー買取コストに関する費用の一部を消費者が負担するものです。
FIT制度の設立によって電力会社は、FIT認定を受けた再生可能エネルギーから売電された電力を一定期間必ず買い取らなければいけません。つまり、再生可能エネルギーの電力買取コストが発生し、負担の大きな状態です。
そこで国は、電力会社の負担を軽減するために、FIT制度に関するコストの一部を再エネ賦課金という形で電気料金に上乗せしました。
再エネ賦課金の単価は、全国一律で、毎年経済産業大臣が決定しています。また、1年ごとに更新されます。
たとえば、2024年5月~2025年4月の再エネ賦課金は、3.49円/kWhとなっています。2025年5月~2026年4月の単価は3.98円/kWhと予想されており、今年度以降も上がり続けていくと推測されています。
節電ではある程度電気料金と再エネ賦課金を削減できるものの、いつも通りに生活を送りにくく、ストレスが高まる可能性もあります。
そこで住宅用太陽光発電を導入すれば、発電した電気に電気料金はもちろん、再エネ賦課金といったコストも上乗せされないため、負担を削減することが可能です。つまり、再エネ賦課金の負担を軽減しながら、いつも通りに電気を使用することが可能になるのです。
4.燃料費調整額の負担を軽減
前段と同じく太陽光発電で自家消費を行えば、燃料費調整額の負担を軽減できるようになり、経済的メリットを得られます。
燃料費調整額は、電気料金に上乗せもしくは差し引かれている料金項目の1つで、原油や天然ガス、石炭の調達価格によって変動します。
具体的には、3か月間の貿易統計によって算出された平均燃料価格と基準燃料価格の差額をもとに燃料費調整単価が確定され、毎月の電気料金へ上乗せされたり差し引かれたりしています。
つまり、燃料価格の高騰している時期は、電気料金へ上乗せされやすいということです。特に2022年から燃料価格は値上がりし続けている傾向なので、燃料費調整額の負担も増えています。
また、電気料金プランによっては、燃料費調整額に上限の定められていないプランもあるので、節電を行っても負担を抑えきれない可能性が出てきます。
そこで住宅用太陽光発電を導入すれば、無理な節電を行わなくとも自家消費や売電によって電気料金と燃料費調整額を削減できます。
5.卒FIT後も活用し続けられる
住宅用太陽光発電の大きなメリットといえば、長期間にわたって活用し続けられるという点です。
卒FITは、FIT制度の固定買取期間が過ぎたあとの状態を指しています。固定買取期間が過ぎたあとも住宅用太陽光発電を使用し続けることは可能で、なおかつ複数の運用方法を選択できます。
引き続き売電収入を得たい場合は、電力会社から提供されている電力買取プランを契約することで、卒FIT後も発電した電気を売電できるようになります。売電単価は固定買取価格より安いものの、副収入が欲しい方にとってメリットのあるサービスです。
また、電力会社によっては、シンプルな電力買取サービスだけでなく、発電した電気を一旦預かってもらい、電力量単価の高い料金に充当してもらえるサービスなどを選べるので、固定買取期間中よりさまざまな売電方法を検討できます。
電気料金削減効果を伸ばしながら運用し続けたい場合は、全量自家消費へ切り替えるのがおすすめです。
卒FIT後に電力会社の電力買取プランを契約しなければ、発電した電気を全て自家消費に回すことが可能です。また、蓄電池を導入すれば、余った電気を貯めておいて、夜間や消費電力の多い時間に活用できます。
このように卒FIT後も太陽光発電で経済的メリットを得られるのは、嬉しいポイントです。
なお、太陽光パネルの寿命は一般的に30年程度で、架台やパワーコンディショナも定期メンテナンスや修理交換を行えば、継続的に自家消費・売電できます。
※参考1 太陽光発電協会(JPEA)|ニッポンのすべての屋根に太陽光発電を!
※参考2 太陽光発電協会(JPEA)|太陽光発電システム保守点検ガイドライン【住宅用】
※参考3 経済産業省|買取価格・期間等
6.メンテナンスの負担が少ない
太陽光発電のメンテナンスや修理交換は、専門業者でなければ対応できないため設置後にご自身で何かをする必要はありません。
また、他の発電方法と異なりエンジンやタービンなどはありませんし、部品点数が少なく、メンテナンスしやすい構造となっています。日々の稼働状況については、住宅内に設置したモニタから発電量や異常を確認できます。
最近では、防汚性に高い太陽光パネルも増えてきたので、O&M業者や施工販売業者へ頻繁に洗浄を依頼しなくても発電効率を維持しやすくなっています。
なお、出力50kW未満の太陽光発電も保守点検の義務対象設備なので、施工販売業者やO&M業者と契約し、定期的な保守点検を行ってもらいましょう。
O&M業者は保守管理を専門とする事業者で、定期点検や急なトラブル発生時の駆けつけサービス、防災対策、修理交換といったサービスが提供されています。
※10kW未満の太陽光発電設備も資源エネルギー庁発表の事業計画策定ガイドラインにより努力義務が課せられています
エコでんちでは、住宅用太陽光発電設置後のアフターフォローにも対応しているので、ぜひお気軽にご相談ください。
環境への貢献と企業価値の向上
7.地球温暖化対策への直接的な貢献
再生可能エネルギーという点も、住宅用太陽光発電の大きなメリットです。特に個人で環境へ配慮した生活へシフトしたい方や次世代の暮らしを目指したい方には、おすすめの設備といえます。
太陽光発電はCO2排出量ゼロで発電するため、企業や家庭が直接的に「カーボンニュートラル」やSDGs(持続可能な開発目標)の目標達成に貢献できます。
気候変動問題や環境汚染問題が深刻化しているため、今後は個人でも省エネや創エネ、再生可能エネルギーについて理解を深めたり取り入れたりすることが大切です。
8.再生可能エネルギーなので環境に優しい
再生可能エネルギーという点も、住宅用太陽光発電の大きなメリットです。特に個人で環境へ配慮した生活へシフトしたい方や次世代の暮らしを目指したい方には、おすすめの設備といえます。
太陽光発電のように自然エネルギー由来の発電設備は「再生可能エネルギー」と呼ばれていて、世界各国でも注目されています。なぜなら、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出しない、資源枯渇のリスクが低いといった強みを持っているためです。
太陽光発電の場合は、日光さえ出ていれば自動で発電してくれますし、発電時にCO2を排出しません。
また、発電に必要なエネルギーは日光なので、化石燃料枯渇によるエネルギーリスクの心配もありませんし、脱炭素という点で環境負荷を軽減できます。
気候変動問題や環境汚染問題が深刻化しているため、今後は個人でも省エネや創エネ、再生可能エネルギーについて理解を深めたり取り入れたりすることが大切です。
また、企業にとっては、太陽光発電の導入は「環境(Environment)」への配慮を示す重要な施策となり、投資家からの評価(ESG投資)やステークホルダーからの信頼向上につながります。
9.化石燃料と異なり半永久的に取り出せる
太陽光発電の大きなメリットは、半永久的に取り出せる日光で発電できるという点です。
火力発電の場合は、石油やLNG、石炭といった化石燃料を燃焼させてタービンを回し、発電する仕組みです。しかし、化石燃料は有限なのでいずれ枯渇します。さらに、日本は資源を輸入しているので国際的な燃料価格の変動・資源国の有事といった影響を受けやすい環境です。
そのため、火力発電に頼っているとインフラや生活に大きな影響を受ける可能性があります。
太陽光発電の発電に必要なエネルギーは太陽なので、化石燃料と異なり半永久的に取り出せます。
エネルギーの枯渇しにくさという点は、電気の自給自足を目指す上で重要なポイントで太陽光発電の強みでもあります。
災害対策・BCP(事業継続計画)の強化
10.災害時・停電時の非常用電源として機能
太陽光発電を自宅に取り付けていれば、万が一災害などの有事で停電が起きてしまったときも自宅で電気を使用しながら避難生活を継続できます。
特に防災対策を重視しているご家庭には、メリットの大きなポイントです。
東日本大震災や熊本地震、台風被害など日本は、災害の多い環境です。また、大規模災害の場合は救助や復旧作業に時間がかかるため、停電が数日以上におよんでしまう場合もあります。
ガソリン式発電機などの導入も重要ですが、燃料を備蓄するための費用負担やスペース確保といった手間もかかります。また、安全に燃料を保管管理するための工夫が必要です。
さらに、燃料がなくなれば発電できなくなってしまうため、長期停電に対応しきれない可能性もあります。
一方、太陽光発電の場合は、太陽が出ていればすぐに発電できるため、電力会社からの電力供給がストップされても、冷暖房の稼働や冷蔵庫の稼働による食品保存といった生活費に必要な機器を稼働できます。また、長期停電時でも晴れの日なら発電できるため、電気を使用しながら在宅避難を続けられます。
停電時に稼働可能な自立運転モードは、手動による操作の他、自動で切り替わるケースもあります。
太陽光発電で出力可能な最大電力については、1,500Wです。つまり、合計の消費電力1,500Wまでなら、複数の家電製品や電子機器を同時に使用し続けられます。
また、比較的消費電力の少ないテレビやスマートフォンへ充電もしくは電力供給することで、災害情報の収集も可能になります。
コスト面では燃料の備蓄や購入費用の負担がないので、ガソリン式やガス式の非常用発電機より維持管理しやすい設備といえます。
さらに、別途蓄電池を設置しておけば、日中に発電した電気を貯めて、夜間や早朝でも電気を使用できます。また、家庭用蓄電池の中には、停電時の出力3,000W以上の蓄電池もあるので、太陽光発電単体より同時に使用可能な製品が増えます。
在宅避難であれば、いつも過ごしている場所で暮らすことができるので、食料品の備蓄などに加えて太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
11.BCP強化による早朝の事業再開
工場や病院、データセンターなどの重要施設にとって、停電は事業停止に直結します。太陽光発電は、電力復旧までの間、最低限の事業活動を維持するためのBCP(事業継続計画)の中核的な役割を担います。
12.エネルギー自給率の向上
太陽光という国産エネルギーを活用することで、海外の情勢に左右される化石燃料への依存度を下げ、国や地域のエネルギー自給率向上に貢献します。
13.建物への断熱効果
太陽光発電を設置した場合、断熱効果を期待できます。 屋根に太陽光パネルを設置することで、屋根材が直射日光に晒されるのを防ぎ、夏場の室温上昇を抑える効果が期待できます。これにより冷房負荷が軽減され、間接的な省エネ効果を生み出します。
一方、冬の季節は家の中の暖かい空気が外へ逃げ出すのを防ぐため、暖かく過ごせるという効果を得られます。
断熱効果を高めることができれば、冷房や暖房の温度設定を調整したり使用頻度を抑えたりしても快適に過ごせますし、無理なく光熱費を削減することが可能です。
このように暮らしやすさの向上、電気使用量削減という点でも太陽光発電は、メリットの多い設備です。
導入前に知るべき6つのデメリットと具体的な対策

太陽光発電導入を成功させるためには、メリットだけでなくデメリットも正しく理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。
費用に関するデメリットと資金調達
1.高額な初期費用負担
住宅用太陽光発電の設置費用は、1kWあたり29.5万円程度です。
出典:経済産業省 「令和7年度以降の調達価格等に関する意見」
当社では、4~7kW程度の太陽光発電システムを設置させていただく事が多いため、初期費用は118~206.5万円ほどかかる可能性があります。
太陽光発電が普及したての頃に比べ初期費用はかなり安くなりましたが、それでも気軽に購入できる価格帯とは言えません。
対策
PPAモデルの活用:初期費用・メンテナンス費用がゼロになるため、自己資金を用意する必要がなくなります。
住宅ローン一体型ソーラーローン:低金利の専用ローンを利用して初期費用を分割払いできます。
補助金制度の活用:国や自治体の補助金を積極的に活用し、実質的な費用負担を軽減します。
また、太陽光発電の初期費用を抑えるには、いくつかの相見積をとり、内容を含めて比較検討をするのが有効です。
その他、パネルメーカーによって価格帯も異なるため、どのメーカーの製品がコストパフォーマンスが優れているか販売店に聞いてみると良いでしょう。
2.経年劣化による修理交換費用がかかる
住宅用太陽光発電は経年劣化していくため、状況に応じて部材や機器の修理や交換が必要になることがあります。
そのため、定期点検や突発的な修理交換費用が発生してしまうのは、デメリットの1つです。
他にも、災害などで故障した場合、その間は太陽光発電による電気代削減効果が得られません。
突発的なトラブルによる金銭的な負担の他、災害による設備の故障リスクを想定しておく必要があります。
対策
故障リスクを抑えるには、定期点検を欠かさないことが大切です。
そのほか、きちんと事前にご自身のお住まいのエリアにあった製品を設置する必要があります。
風速基準や積雪など、安全面についても考慮された提案がされているかどうか、しっかりと販売店に確認してもらいましょう。
発電効率・環境に関するデメリット
3.発電量が天候・季節に大きく左右される
太陽光発電の発電量は天候に大きく影響されてしまうため、常時安定した量の電力を発電できるわけではありません。
パネルに影がかかれば発電量は低下しますし、雨天や積雪時は全く発電しない日などもあります。
他にも、太陽光パネルは高温に弱い性質があります。
夏場など気温の高い日は、晴れていてもパネルの表面温度上昇によって発電効率が低下していきます。
下記の画像は、季節ごとの発電量をグラフ化したシミュレーション資料です。

気温が高い真夏よりも、5月頃が1番発電量が多く、発電量の少ない12月頃に比べ2倍近くの差があります。
このように、太陽光発電の発電量が0、もしくは少ない場合は発電した電気で自宅の消費電力をカバーしきれず、電気料金負担を削減しにくい日もあります。
ただし、一年を通して見た場合、雨の日数や日射量の少ない時期は限られます。
また、年間の日照時間も毎年大きくは変動しないため、年間の発電量が大きく減るリスクは低いといえます。
対策
年間を通じてのシミュレーションを綿密に行うことと、後述する蓄電池を併用し、発電量が不安定な分を補うことが有効です。
4.太陽光発電単体では夜間や早朝に発電できない
夜間や早朝は日光が出ていないため、太陽光発電で発電できません。また、太陽光発電システム単体には電気を貯める機能がないため、日中に発電した電気を他の時間に使用することも難しいといえます。
発電した電気を使用しない場合、系統連系(電気を買い取ってもらうために送配電網と接続した状態)していれば売電できます。しかし、売電を行わない全量自家消費の状態にしている場合は、損失してしまいます。
対策
太陽光発電に加えて家庭用蓄電池を同時設置もしくはあとから設置する
家庭用蓄電池は太陽光発電と連携可能な定置型蓄電池で、発電した電気や電力会社から供給された電気を貯められます。また、蓄電池に貯めておいた電気は、住宅設備やコンセントへ供給されるので、好きな時に電気を活用できるようになっています。
たとえば、日中に発電した電気を蓄電池の貯めておけば、夜間に使用することが可能です。また、太陽光発電の自家消費でカバーしきれないほどの消費電力量となった場合、蓄電池と併用すれば買電量を抑えられるので電気料金削減効果を伸ばせます。
また、太陽光発電と蓄電池を同時設置するなら、単機能よりハイブリッド型がおすすめです。
単機能型蓄電池は、太陽光発電のパワーコンディショナと蓄電池のパワーコンディショナをそれぞれ運用および連携させて運用させます。費用は安いものの、少なからず電力損失があるため効率的な運用という点で課題もあります。
一方、ハイブリッド型蓄電池は、1台のパワーコンディショナで太陽光発電と蓄電池を制御可能なパワーコンディショナを搭載しているのが特長です。単機能型蓄電池より費用は高いものの効率よく電力を制御できるため、発電した電気の多くを自家消費・売電できます。
設置条件・外部リスクに関するデメリット
5.設置場所の制限と住宅の耐荷重リスク
太陽光パネルの重量は1枚あたり15kg程度、取付架台を含めると1kWあたり100kg程度です。
住宅の屋根に設置する太陽光発電の容量は4~7kW程度が多いため、平均で400~700kgほどの重量がかかることになります。
また、屋根の形状、方角、強度などにより、設置容量や場所が制限される場合があります。築年数の古い住宅では、屋根の補強工事が必要になるケースもあります。
住宅の屋根の耐荷重は建築基準法第85条で定められており、一般的な居室床の積載荷重は1平方メートルあたり1,800N(約180kg)とされています。
そのため、基本的には太陽光発電の負荷で住宅が損壊するということはありませんが、築年数が経過しているケースや、屋根に破損が見られる場合はパネル設置を控えた方が良いでしょう。
対策
設置前には、必ず専門業者による屋根の耐荷重検査や、入念な現場調査(日当たり、影の影響)を実施してもらいましょう。
6.近隣トラブル(反射、騒音)のリスク
太陽光パネルの反射光(グレア)が近隣住民の生活に影響を与えたり、パワーコンディショナの稼働時にわずかな低周波音や騒音が発生したりして、近隣トラブルに発展するリスクがあります。
対策
設置角度や方角を慎重に設計し、パワコンの設置場所を隣家から離すなど、事前の対策と近隣への丁寧な説明が重要です。
FIT制度の仕組みと卒FIT後の選択肢
FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)は、太陽光発電普及の牽引役でしたが、その制度の内容と期間終了後の対応について理解しておくことは重要です。
FIT制度の概要と買取価格の推移
FIT制度は、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた固定価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務付ける制度です。
買取期間:住宅用(10kW未満)は10年間、産業用(10kW以上)は20年間。
買取価格:制度開始当初(2012年度)は高額に設定されていましたが、太陽光発電の導入コストが低下したことに伴い、買取価格は年々下落しています(例:住宅用は2012年度42円/kWh→2024年度16円/kWh)。
この買取価格の下落傾向から、現在の太陽光発電の経済的メリットは「売電で稼ぐ」から「自家消費で守る」へとシフトしています。
卒FIT後の余剰電力活用法
FITの買取期間が満了したシステムは「卒FIT」と呼ばれ、余剰電力の使い道を選択する必要があります。
1.自家消費を優先:発電した電気は売電せず、すべて家庭内で消費します。これが現在の最も経済的な選択肢です。
2.電力会社との相対契約:FIT期間終了後、各電力会社や新電力会社が提示する独自の買取プランと契約し、余剰電力を売電します。買取価格は7円~10円/kWh程度と、FIT期間中よりも大幅に安価になります。
太陽光発電のメリットを最大限に活かす方法(蓄電池・V2H連携)
太陽光発電のデメリットである「夜間に発電できない」という問題を解決し、自家消費率を最大限に高めるために、蓄電池やV2H(Vehicle to Home)との連携は不可欠な成功要因です。
蓄電池の併用による自家消費率の最大化
家庭用蓄電池は、日中に太陽光発電で生み出された電気や、夜間に割安な電力会社からの電気を貯めておくことができます。
・経済効果:日中の余剰電力を夜間に使用することで、夜間の買電量をゼロに近づけ、電気料金削減効果を最大化します。
・防災効果:停電時も、蓄電池に貯めておいた電気を使用できるため、太陽光発電の自立運転機能と合わせ、より長時間安定した電力供給が可能になります。
蓄電池の種類と選択のポイント
蓄電池には大きく分けて「単機能型」と「ハイブリッド型」の2種類があります。
| 種類 | 特徴 | 効率 | 導入費用 |
| 単機能 | 太陽光発電と蓄電池がそれぞれ独立したパワコンを持つ。 | 電力変換ロスがやや大きい。 | 比較的安価。 |
| ハイブリッド型 | 太陽光発電と蓄電池を1台のパワコンで制御。 | 電力変換ロスが少なく高効率。 | 高機能なため費用は高め。 |
現在は、効率性に優れ、システムがシンプルで省スペース化が図れるハイブリッド型蓄電池が主流となっています。
次世代技術「V2H」による更なる電気代削減
V2Hとは、「Vehicle to Home」の略で、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載された大容量バッテリーと住宅間で双方向の電力融通を可能にするシステムです。
・大容量蓄電:EVは一般的な家庭用蓄電池の数倍の容量を持つため、災害時の電力源として非常に強力です。
・経済効果:日中に太陽光発電で発電した電気をEVに充電し、夜間にEVの電気を家庭に供給して使用することで、自家消費率がさらに高まり、大幅な電気代削減が期待できます。
太陽光発電を有効活用していくには、その他住宅設備の導入を検討してみるのがおすすめです。
また、給湯設備の交換を検討している場合は、エコキュートを併用してみてはいかがでしょうか。
エコキュートは、ヒートポンプ式(空気中の熱でお湯を沸かす)の給湯器で、従来の電気式給湯器やガス式給湯器などと比較してエネルギー効率が高く、光熱費を削減できます。また、太陽光発電の電気で稼働させれば、電気料金をさらに削減でき、家計負担の軽減を見込めます。
このように太陽光発電のメリットを引き出すには、家庭用蓄電池V2H、エコキュートの併用がおすすめです。
太陽光発電がおすすめな人・おすすめではない人の特徴

以下に太陽光発電がおすすめな人・おすすめではない人の特徴を紹介します。
| 太陽光発電がおすすめの人 | 太陽光発電がおすすめではない人 |
| ・平均より消費電力量が高く電気料金負担の大きい状態も続いている ・再生可能エネルギーに関心がある ・災害対策として電源設備が欲しい | ・在宅の時間が少なく消費電力量も少ない ・FIT制度の売電収入を頼りにしている |
まず、電気料金負担の大きいご家庭は、太陽光発電がおすすめです。太陽光発電の大きなメリットは自家消費による電気料金削減効果なので、消費電力量の多いご家庭にとって役立つ住宅設備です。
また、災害対策用の電源設備が欲しい方にとっても太陽光発電は、おすすめできる設備といえます。太陽光発電は、停電時に稼働するための自立運転モードが搭載されています。そのため、停電時でも晴れていれば発電を継続できるほか、自宅のコンセントや照明、住宅設備などへ電力を供給できます。
他には、再生可能エネルギー・クリーンなエネルギーに関心を持っている方も、発電時にCO2を排出しない太陽光発電がおすすめといえます。
一方、電気料金負担が平均より少ない・在宅の時間が少ないといった場合は、太陽光発電を導入しても経済的メリットを伸ばしにくいです。また、FIT制度および売電収入を頼りにしている方には、太陽光発電をおすすめできません。太陽光発電で経済的メリットを伸ばせるのは、あくまで自家消費です。また、売電収入を初期費用へ充てる必要があるため、収入源として考えないようにしましょう。
太陽光発電・蓄電池のことなら、エコでんち
太陽光発電は、環境意識の高まりや電気代の高騰という外部環境の変化により、「売電で稼ぐ」時代から「自家消費で守る」時代へと移行しています。 初期費用が高額というデメリットは残りますが、PPAモデルや補助金制度、そして蓄電池・V2Hとの連携という最新技術を活用することで、そのデメリットを解消しつつ、経済的、環境的、防災的メリットを最大限に享受することが可能です。
弊社エコでんちでは、環境省認定の公的資格「うちエコ診断士」を取得した専門アドバイザーが、多数の家庭用蓄電池からお客様のご要望や予算に合った蓄電池をご提案いたします。また、住宅用太陽光発電やV2Hも取り扱っているので、同時設置を希望している方も各設備を比較いただけます。
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太陽光発電のメリット・デメリットを理解してお得に導入しよう!
住宅用太陽光発電は、電気料金を削減できたり環境負荷の少ない方法で発電ができたりと、メリットの豊富な再生可能エネルギー設備です。
導入時には初期費用がかかるため、補助金制度の活用や施工実績豊富な施工販売業者への相見積もりといった点を重視するのも大切です。また、発電状況が天候に左右される点など、デメリットもあるものの家庭用蓄電池の併用によってカバーできます。
電気料金負担を抑えたい方や災害対策として太陽光発電を設置したい方は、今回の記事を参考にしながら住宅用太陽光発電と家庭用蓄電池の比較検討を進めてみてはいかがでしょうか?

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