FIP制度の移行はいつ?FIT(固定買取)制度との違いや太陽光発電への影響について解説
最終更新日:2023.06.23 お役立ち情報
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2022年4月から新たな再生可能エネルギー支援制度、FIP制度という制度がスタートしました。新制度へ移行される発電設備の中には、太陽光発電が含まれています。
これから住宅用太陽光発電を設置する方や太陽光発電投資を検討している方の中には、FIT制度から移行しなければいけないのか分からず、悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、FIP制度から移行される設備の種類や制度の概要、FIT制度との違いや太陽光発電への影響について詳しくご紹介していきます。
初めて太陽光発電を設置するため制度についてよく分からない方やFIP制度について調べているものの難しいという方などは、参考にしてみてください。
FIP制度への移行は2022年4月からスタート
FIP制度は、再生可能エネルギー設備に関する支援制度の1つで、2022年4月から始まりました。FIT制度と電気の買取方法やその他ルールについて、大きく異なるのが特徴です。
まずは、FIP制度の概要や仕組みについて確認していきましょう。
市場に連動した変動制の買取制度
FIP制度はフィードインプレミアム(Feed-in Premium)の略称で、再生可能エネルギー由来の電気および取引に関する支援制度です。
具体的には、電力の買取価格に関する新しいルールが定められた制度で、太陽光発電を含む再生可能エネルギー事業を行う多くの方に関係しています。
太陽光発電事業者がFIT制度からFIP制度へ移行した場合、電力の卸市場に連動した買取価格で売電を行う必要があります。卸市場の買取価格は、電力需要や供給量によって変化しているのが特徴です。そのため、買取価格は、売電を行うタイミングによって高くなったり安くなったりします。
「FIP制度=変動価格による売電」という点が、大きなポイントです。まずは、買取価格が市場に沿って変動するというところを覚えておきましょう。
国の目的は電力の自立
国は、FIP制度を通じて再生可能エネルギーの自立を目指しています。
火力発電などの主力電源は、卸電力取引市場で取引されていて、常に買取価格が変わります。また、FIT制度のように補助収入や支援制度はありません。
一方、再生可能エネルギー由来の発電設備は、固定買取価格のFIT制度を通じて稼働および取引されていて、他の発電設備より優遇されています。FIT制度を支えるための予算は国民の電気料金から捻出されていて、自立した発電設備とはいえない状況です。
一言で説明すると、太陽光発電など再生可能エネルギーは、現状国民にとって負担の大きい設備ということです。
これから主力電源として運用していくには、市場価格をベースとした取引でなければいけません。そこで国はFIT制度からの自立を促すため、FIP制度を創設しました。
売電収入に上乗せされるプレミアム価格
FIP制度への移行によって得られる売電収入は、市場価格によって定められた収益にプレミアム価格というものが上乗せされています。
FIP制度の買取価格=市場価格+プレミアム価格
プレミアム価格は、FIP制度における補助収入のような役割を持っています。そのため、FIP制度の買取価格は、市場取引の買取価格より高い価格です。
なおプレミアム価格は市場価格に連動しているため、一定ではありません。プレミアム価格の詳細については、後半で解説します。
発電した電気はさまざまな方法で売電可能
今後FIP制度へ移行した場合は、再生可能エネルギーで発電した電気をさまざまな方法で売電することが可能です。
1つは電力の卸市場へ参入、もう1つは小売電気事業者との相対取引という方法です。
市場取引を行うには、JEPX(日本卸電力取引所)で提供されている市場へ参入する必要があります。JEPXは、日本で唯一の電力取引市場で、電気の売却・購入に関する取引が日々交わされています。
一方、相対取引は、大手電力会社や新電力など電力の契約やサービスを提供している事業者と個別に取引を行うのが特徴です。
柔軟に取引・売電を行っていきたい方にとっては、メリットの多い仕組みといえます。
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FITからFIP制度へ移行と新規認定について(※2022年度情報)
続いては、FIT制度からFIP制度へ移行と新規認定についての情報です。
新規認定について
50KW以上の出力がある太陽光発電システムについては「FIP制度」のみになっています。
これに関しましては、年度毎に変わる可能性があるので最新情報については経済産業省新エネルギー課様までお問い合わせ頂くのが確実だと思います。
FIT制度からFIP制度への移行について
既設の太陽光発電システムに関しましては、出力に限らず「任意」の移行になります。
※経済産業省 新エネルギー課様に確認
必須ではありませんのでFIP制度に興味がある方のみ移行を検討してみてはいかがでしょうか?
今後は徐々に移行対象の範囲が広がる
FIP制度へ移行しなければいけない太陽光発電の範囲は、今後少しずつ拡大していく予定になっています。
以下に2024年度までに拡大される範囲を紹介します。
年度 |
FIP移行可能な太陽光発電 |
FIPへ移行しなければいけない太陽光発電 |
2022年度 |
出力50kW以上1MW未満 |
出力1MW以上 |
2023年度 |
出力50kW以上500kW未満 |
出力500kW以上 |
2024年度 |
出力50kW以上250kW未満 |
出力250kW以上 |
経済産業省 資源エネルギー庁「再エネの大量導入に向けて」(FIT/FIP・入札の対象(太陽光・風力)のイメージ)
出力250kW以上の太陽光発電でFIT認定を受けている場合は、早ければ2023年度、遅くとも2024年度にFIP制度への移行手続きを進める必要があります。
住宅用太陽光発電や小規模な太陽光発電投資を設置している方も、FIP制度へいつでも移行できるよう、制度概要や認定申請の方法を確認しておくことをおすすめします。
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FIP制度で重要な収益の内訳
FIP制度で得られる収益には、市場収入とプレミアム価格が含まれています。また、バランシングコストという費用が発生するため、FIT制度より複雑な内容となっています。
今後、FIP制度へ移行するもしくは移行しなければいけない場合は、収益の内訳について確認しておくのも大切です。
それでは、FIP制度の収益に関する内訳や注意点を1つずつ確認していきましょう。
市場収
FIP制度における市場収入とは、太陽光発電を含む再生可能エネルギーで発電した電気を売電した際に得られる収入のことです。
市場収入は2種類に分かれていて、FIT制度の固定買取価格と異なる仕組みです。
以下に2種類の収入について紹介します。
名称 |
内容 |
売電収入 |
太陽光発電で発電した電気をJEPXや相対取引を通じて売却した際の収入 |
環境価値の売却によって得た収入 |
太陽光発電で発電した電気に付帯される環境価値を非化石価値取引市場で売却した際に得られる収入 |
太陽光発電を含む再生可能エネルギーは、発電の過程でCO2の排出量が抑えられています。そのため、CO2削減という環境価値が生まれます。
企業や個人が環境価値を購入した場合は、CO2削減へ貢献したことをアピールできますし、間接的にCO2削減を行ったとみなされます。
発電事業者側は環境価値を販売できるため、売電とおなじく収益を得られるのが強みです。
プレミアム価格
市場価格に上乗せされるプレミアム価格は、基準価格と参照価格という価格で構成されています。
具体的には、「プレミアム価格=基準価格ー参照価格」という計算式で求められます。
基準価格とは、国で定めている買取価格のことです。FIT制度と同じく、20年間固定価格で定められるのが特徴です。2022年度の基準価格は、1kWhあたり10円となっています。
つまり、2022年度のFIP制度へ移行もしくは新規で認定を受けた場合は、1kWhあたり10円の基準価格で20年間補助収入の計算を行ってもらえます。
一方、参照価格とは、昨年や当月の市場収入から算出される金額のことで、変動するのが主な特徴です。
基準価格10円、参照価格9円の場合は、10円―9円=プレミアム価格1円という仕組みです。プレミアム価格1円(1kWh)が、市場収入に上乗せされます。
市場収入が増えれば増えるほど参照価格も値上がりしていくため、補助収入は抑えられていきます。反対の場合は、補助収入が増えていきます。
バランシングコスト
バランシングコストは、支出に該当する項目です。
FIP制度における収支は、「(市場収入+プレミアム価格)―バランシングコスト」という計算式で定められます。
中でもバランシングコストとは、事前に提出した発電計画に沿って発電できなかった場合のペナルティ料金、ペナルティ料金の削減に必要な運用コストのことです。
通常、さまざまな発電設備で売電を行う際、電力の需要と供給バランスを乱さないよう、事前に計画値(想定される発電量)を提出しなければいけません。
また、実測値(実際の発電量)と計画値と異なる場合は、インバランス料金というペナルティ料金を支払うという仕組みです。
このような仕組みがFIP制度にも導入されているため、常にバランシングコストを考慮しながら運用していくことも求められています。電力事業における自立という点でFIP制度は、より市場取引のルールに近い形式です。
バランシングコストを抑えるには、電力の需給調整を担うアグリゲーターへ発電事業のサポートを行ってもらうなどの対策が重要です。
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FIT制度との主な違い
今後、太陽光発電投資を始める方の中でFIP制度への移行も検討している方は、FIT制度との違いについて把握しておくのも大切です。
最後は、FIP制度とFIT制度の主な違いについて分かりやすく紹介していきます。
買取価格が変動制
FIP制度へ移行する際にFIT制度の違いを感じる部分は、買取価格のルールです。
FIT制度の認定を受けた場合は、10年間もしくは20年間固定価格で売電を継続することが可能です。
FIP制度の買取価格は、市場価格やプレミアム価格、バランシングコストの状況によって常に変化します。そのため、FIT制度よりも年間の収支を予測するのが難しい反面、高い売電収入を得られる可能性もあります。
バランシングコストの調整が発生する
FIT制度異なりFIP制度には、バランシングコストという仕組みが含まれています。
FIT制度は、FITインバランス特例制度という制度によって、インバランスコストが免除されています。FIP制度とは異なり、事前の計画値作成と提出、ペナルティ料金などの負担もありません。
これまでFIT制度に慣れてきた方にとっては、特にネックといえる仕組みです。
そこで今後、FIP制度へ移行する場合は、電力の需給調整を担うアグリゲーターへ依頼するのが大切です。インバランスコスト調整はもちろん、市場価格の変動に対応しながら電力の買取や抑制を進めてもらえます。
より蓄電池との併用が重要になる
FIP制度へ移行する場合は、より蓄電池との併用が重要になります。
FIT制度の場合は、電力の需給状況にかかわらず売電を継続してもペナルティは課されません。また、買取価格は固定なので、いつ買電しても収支に大きな変動はありません。
FIP制度へ移行した場合は、バランシングコストを考慮しながら発電量を調整していく必要があります。さらに買取価格は電力の需給状況によって変わるため、市場価格の高い時間帯に合わせて売電していくなど、調整も必要になります。
蓄電池を併用すれば、太陽光発電で発電した電気を貯めておき、電力需要の高い時間帯にまとめて売電することが可能です。また、バランシングコストの状況に合わせて電気を貯めたり売電したりしやすくなるため、コスト削減という点でも重要な設備といえます。
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まとめ
FIP制度への移行は、2022年4月から始まっています。移行対象の太陽光発電は、1MW以上のメガソーラーと50kW以上の太陽光発電です。中でも1MW以上のメガソーラーはFIT制度から外れるため、FIP制度へ移行する必要があります。50kW以上の太陽光発電を設置する場合は、FIT制度とFIP制度どちらも選択できますし、FIT認定を受けたあとにFIP制度へ移行することも可能です。
FIP制度に関心を持っている方やFITとFIPの違いを理解した上で太陽光発電を導入したい方は、今回の記事を参考に太陽光発電や蓄電池を検討してみてはいかがでしょうか?
エコでんちでは、環境省認定の公的資格「うちエコ診断士」と「うちエコ相談員」の資格を取得した専門アドバイザーが、蓄電池の選定と提案、光熱費削減のアドバイスを行っております。さらに蓄電池の価格は業界最安値なので、コスト面でもメリットを得られます。
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