太陽光発電は10年後どうなる?卒FIT後の対策や自家消費すべきか徹底解説
最終更新日:2025.03.31 太陽光発電

固定買取期間10年間の住宅用太陽光発電は、11年目よりFIT制度を利用できなくなります。また、FIT制度の適用期間が終了することを卒FITと呼びます。
太陽光発電を購入する際、卒FIT後の運用方法や方針について考えておくのが大切です。また、FIT制度の売電価格についても把握しておくことで導入メリットがあるのかどうか判断できます。
そこでこの記事では太陽光発電の設置から卒FIT後の運用方法、自家消費や他の方法へ切り替えるべきか、大切なポイントについて詳しくご紹介します。
住宅用太陽光発電を検討していて売電価格が気になっている方や、卒FIT後の運用方法について気になる方は参考にしてみてください。
目次
太陽光発電のFIT制度とは?

FIT制度(固定買取価格制度)は、認定を受けた年から一定期間、固定の買取単価で売電を進められる国の支援制度です。
再生可能エネルギー設備が支援対象で住宅用太陽光発電も含まれています。住宅用太陽光発電で認定を受ける場合は以下のようなルールが適用されます。
FIT制度で適用されるルール
●固定買取の期間は認定年から10年
●家庭内で自家消費した電力のうち余った電力のみ売電可能(余剰電力の買取)
また、2017年4月1日の改正FIT法によって住宅用太陽光発電もメンテナンス義務化(努力義務)の対象設備とされたため、専門業者へ定期的に保守点検を実施してもらわなければいけません。
卒FITはFIT制度の固定買取期間が終了した状態を指しています。たとえば、住宅用太陽光発電のFIT認定を2015年に受けた場合は、2025年に卒FIT(固定買取期間終了)を迎えます。
卒FIT後は電力会社から提供されている卒FITプランへ加入し余剰売電を継続するか、完全自家消費(発電した電気を全て自家消費すること)もしくは設備の撤去を検討することが可能です。
FIT制度で売電を始めるには

FIT制度を活用して売電を行うには事業計画認定の申請手続きを進める必要があります。
事業計画認定申請は太陽光発電オーナー自身で行う、もしくは施工販売店などで代行してもらうかのいずれかで進められます。
また、事業計画認定申請までの流れは以下の通りです。
施工販売店と契約
↓
電力会社へ売電するための接続契約締結に関する手続き
↓
接続契約締結
↓
事業計画認定申請手続き
↓
申請が通過すればFIT制度を活用した売電が可能
申請書類については、登記事項証明書や配線図などいくつかの書類を用意する必要があります。なお、申請手続きに関しては経済産業省の電子申請サイトからオンラインで進められるので、ログインID取得後に各種必要事項の入力を行いましょう。
今後太陽光発電の売電価格は上がる?
続いては、太陽光発電の売電価格が今後上がる可能性はあるのかという点について解説していきます。
FIT制度の売電価格は下がるもしくは据え置きの可能性
2025年時点で太陽光発電の売電価格については据え置きもしくは下がる可能性があります。
以下に主な理由を紹介します。
●太陽光発電の初期費用が安くなっている
●再エネ賦課金の負担増加につながる
FIT制度の固定買取価格は太陽光発電の普及を進めるための支援制度です。
そもそも太陽光発電の初期費用は高い傾向にあり費用回収の難しい設備でした。ただし、FIT制度による高い売電価格が提供されたことで初期費用の回収を行いやすくなりました。さらに、投資家や企業、一般消費者が導入し始めたため量産体制の確立と技術開発により高性能化と低価格化が実現しました。
それに伴い国では、太陽光発電の初期費用に合わせて売電価格を調整し、結果的に下落傾向で推移しています。また、FIT制度における電力買取コストの一部は再エネ賦課金で負担されているため売電単価の値上げは難しい状況です。
そのため、FIT制度の売電価格は今後も下がる、もしくは据え置きで推移すると予想されます。
卒FIT後の売電価格は据え置きの可能性
電力会社が提供している卒FIT向けの電力買取プランについては、今後も据え置きで推移していく可能性があります。
太陽光発電が普及すればするほど、技術開発も進み更に発電効率の高い太陽光パネルも出てきます。しかし、太陽光発電の設置数が増え続ければ電力会社の電力買取コストも増えていきます。
そのため、卒FIT向けの電力買取プランで設定されている売電価格はFIT制度の売電価格より安い水準です。また、太陽光発電の電力供給量より需要が高くならなければ、売電価格の値上げも検討されにくいといえます。
太陽光発電は10年後にどうなる?

太陽光発電の設置およびFIT認定を受けてから10年後、出力10kW未満の住宅用太陽光発電と10kW以上の産業用太陽光発電で買取状況などに違いがあります。
まずは、太陽光発電は10年後にどうなるのか確認していきます。
11年目にFIT制度の適用が終了
出力10kW未満の住宅用太陽光発電を稼働させている場合、設置から11年目に固定買取期間終了となります。
住宅用太陽光発電の固定買取期間は前段で触れたように、FIT認定を受けた年から10年間と定められています。11年目以降は固定買取価格で売電できないため、10年目もしくはFIT制度の適用期間中に卒FIT後の運用管理を考えておくのが大切です。
11年目以降も売電収入を得たい時は、大手電力会社や買取プランを提供している新電力との契約で引き続き売電できます。契約手続きについては電力会社HPから申し込めるので比較的簡単に進められる傾向です。
なお、売電価格の単価については各プランによって異なります。
産業用太陽光発電は20年後までFIT制度の適用
出力10kW以上の産業用太陽光発電を設置およびFIT認定を受けた場合、20年間固定買取価格で売電を行うことができます。
FIT認定から10年後は住宅用太陽光発電と異なり、通常通りの自家消費や売電し続けられます。ただし、太陽光パネルやパワーコンディショナの経年劣化による故障のリスクもあるため、定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
なお、FIT制度の適用期間が終了する21年目以降は、住宅用太陽光発電と同じく変動価格での売電や自家消費などの検討が必要です。
10年後に太陽光発電の自家消費へ切り替えるメリット

住宅用太陽光発電を所有している方はFIT認定から10年後に運用管理について見直す必要があります。たとえば、自家消費へシフトするなど電気料金の削減でいくつかのメリットを得ながら稼働し続けることが可能です。
そこでここからは、住宅用太陽光発電の設置から10年後に自家消費へ切り替えるメリットを紹介します。
買取価格の変動に左右されずに済む
卒FITに合わせて自家消費へシフトすることでFIT制度の影響を受けることなく稼働できます。
FIT制度の適用期間終了後は固定の売電価格で売電することはできません。
売電を継続したい場合、電力会社の卒FIT向け電力買取プランに沿って売電することができます。プランの多くは固定買取価格より安かったり、電力市場の状況によって変動したりします。
そこで、できる限り自家消費へ切り替えることで上記のような影響を受けることなく運用できますし、制度変更に関する確認の手間から解放されます。
電気代削減効果を見込める
自家消費への切り替えは電気料金を少しでも抑えたいと考える方にとってメリットがあります。
太陽光発電で発電した電気を自宅内で自家消費した時は、電力会社からの電力購入量を直接減らすことができます。また、電気料金に含まれる再エネ賦課金や燃料費調整額を削減できるため、電気料金に関するさまざまな負担を抑えられます。
電気料金の削減率については、日中の電気使用量や太陽光発電の発電量によって変わるものの20%前後の電気代削減が見込めます。
2022年から続く電気料金やガス代の値上げ、物価高の中で節約のみでは家計負担を抑えきれません。そこで太陽光発電をできるだけ自家消費することで電気料金を大幅に削減できますし、オール電化住宅なら光熱費全体の削減につながります。
電気料金の値上がりや再エネ賦課金の負担増加などといった状況に悩んでいる時は、早めに自家消費型太陽光発電へ切り替えたり新規設置を検討したりしてみてはいかがでしょうか。
非常用電源として活用できる
太陽光発電を売電型から自家消費型へ切り替えた場合、引き続き非常用電源として活用できます。
太陽光発電には自立運転機能があります。自立運転モードでは、発電した電気を自宅で使用することができます。
※通常は予め指定した特定のコンセントや、パワコンから直接コンセント伝いに電気が供給されます
日本は地震や台風などの災害リスクがあるので、日ごろから停電対策について考えておくのも重要です。自家消費型太陽光発電を持っていれば、万が一の停電時にも電気を使用して簡単な調理やラジオ・スマートフォンへの充電などといった行動を起こすことが可能です。
特に大規模災害などで長期停電になってしまった場合、ガソリンやガス式の非常用発電機では燃料が枯渇してしまう可能性もあります。太陽光発電なら燃料の調達や保管管理も不要ですし、長期停電でも晴れの日が続けば電気を使い続けられます。
このように太陽光発電は収入源としての役割だけでなく、災害対策としても役に立ちます。
太陽光発電を自家消費へ切り替えるデメリット

続いては、住宅用太陽光発電の設置から10年後に自家消費へ切り替えるデメリットについて紹介します。
売電による収入が激減する
自家消費型太陽光発電へ切り替わると売電収入が大きく低下します。
下記はFIT制度における売電単価の推移のグラフです。

例えば、2024年にFITの認定を取得した方ですと1kWh/16円の単価で売電が可能です。
卒FIT後は1kWh/8~10円ほどで売電できますがFIT単価に比べると約半分になってしまいます。。
また、蓄電池を所有していない時は効率的な自家消費のために追加設置するのも大切です。
蓄電池の設置時にはそれなりに費用がかかります。家庭用蓄電池の設置費用は一般的に100万円~300万円となっています。
住宅用太陽光発電の卒FITが近づいている方は、自家消費による経済的メリットと蓄電池設置にかかる費用負担について計算し家計負担につながらないか整理しておくのが大切です。
蓄電池設置による維持費用負担の増加
自家消費型太陽光発電へ切り替える際に蓄電池を導入する場合は、太陽光発電設備だけでなく蓄電池の維持管理費用を負担しなければいけません。
家庭用蓄電池のメンテナンス費用はメーカーの保証期間内であれば無料の場合もあります。ただし、保証期間終了後の故障や、経年劣化で交換しなければいけない場合は新規設置時と同じく100万円前後の購入および設置工事費用がかかる可能性があります。
自家消費型太陽光発電を検討している時は、電気代削減効果を期待できる運用方法であると同時に費用負担にも気を付ける必要があります。
10年後に自家消費へ切り替えない場合はどうする?

住宅用太陽光発電の固定買取期間終了となる11年目以降は、自家消費で売電に頼らない運用を行っても問題ありませんし、その他の選択肢を検討してもいいでしょう。
ここでは、自家消費以外の選択肢についてご紹介していきます。
太陽光発電を撤去
太陽光発電設備の経済的メリットより維持管理費用が大きい場合や太陽光発電に対してメリットを感じにくくなった場合は、解体撤去を検討してみるのも大切です。
太陽光発電設備の撤去費用は、設備規模や解体業者によって変わります。住宅用太陽光発電の場合は、足場設置や設備撤去作業、廃棄物の運搬処理費用などを含めて数10万円単位となります。
なお、出力10kW以上の産業用太陽光発電を所有している時は、2022年7月から始まった廃棄費用積み立て義務化によって、固定買取期間中の積み立て資金を撤去費用へ活用できます。
太陽光発電の解体撤去に関する主なメリットは、維持管理費用や破損時の被害リスクを避けられる点が挙げられます。一方で非常用電源を手放すことにつながります。
非常用電源を重視しているもののコストに悩んでいる時は、蓄電池の導入や小型ソーラーなどで対策を立ててみるのも大切です。
引き続き電力会社へ売電を行う
卒FIT後の住宅用太陽光発電を所有している時は、電力会社から提示されるプランで売電を続けることが可能です。
たとえば、東京電力の再エネ買取標準プランを契約した場合は、1kWhにつき8.5円(税込)の単価で売電できます。FIT制度の適用期間中に東京電力で売電していた場合は、自動で切り替えてもらえます。
出力10kW未満の売電価格は1kWhにつき16円(2024年度)なので、卒FIT後のプランとFIT制度の売電価格を比較すると2倍程度異なります。ただし、売電収入を毎月の生活費へ充てたり非常用電源としても活用したりしたい時は、僅かながらもメリットのある選択肢です。
買取価格が高い電力会社と契約して売電
卒FIT後も売電収入を伸ばしたい場合は、買取単価の高い新電力会社から比較検討してみるのもおすすめです。
卒FIT向けプランを提供している電力会社によっては、FIT制度の固定買取単価に近い水準でサービスを展開しているケースもあります。
たとえば、丸紅新電力の卒FIT向けプランでは、1kWhあたり11円と10円を超える価格帯です。ほかにも以下の新電力で提供されているプランの多くは、1kWhあたり10円以上の買取価格となっています。
電力会社 | プラン |
idemitsuでんき | でんきセット買取プラン(idemitsuでんきの電気料金プランと同時契約) 北海道、東北、東京電力エリア:1kWhあたり11.5円 中部、北陸、関西、中国、四国電力エリア:1kWhあたり10.5円 九州電力エリア:1kWhあたり9.5円 |
ダイワハウスでんき | ダイワハウスでんきの電気料金プランもセットで加入した方を対象にしたプラン ダイワハウスオーナーさまPREMIUMプラン:1kWhあたり11.5円 ダイワハウスオーナーさまPREMIUM蓄電池プラン:1kWhあたり22円(2年間)(大和ハウスグループで太陽光発電と連携可能な蓄電池を導入した方を対象にしたプラン) 他社オーナーさまGENERALプラン:1kWhあたり10円(他社の電気料金プランに加入している場合) |
積水ハウス | 積水ハウスオーナーでんき:1kWhあたり11円 |
買取単価の高い卒FIT向けプランを探す際は、条件や適用期間などを確認しておきましょう。プランによっては、指定の電気料金プランへの加入や蓄電池の導入などといった条件が加えられていることもあるため要注意です。
また、各プランの内容や買取単価は、時期によって変更・更新されることもあるため、最新の情報を確認した上で、早めに検討を進めていくことが大切です。
住宅用太陽光発電は10年後に自家消費へ切り替えるのもあり!
住宅用太陽光発電で発電した電気を固定買取価格で売電できるのは、FIT認定年から10年間です。卒FIT後の11年目からは、自家消費もしくは電力会社指定の価格で売電を行うことが可能です。
また、売電収入を重視している方は1kWhあたり10円以上といった買取単価の高い卒FIT向けプランを探してみるのがおすすめです。
住宅用太陽光発電を検討している方や卒FIT後の運用方法について悩んでいる方は、今回の記事を参考に太陽光発電の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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