新築で太陽光発電は設置するべき?補助金や義務化についても解説!
最終更新日:2023.07.21太陽光発電
地球温暖化対策として、家庭にも太陽光発電設備を中心とした再生可能エネルギーの導入が推奨されるようになり20年ほどが経過しました。
その間に固定価格買取制度(FIT)の単価は年々下がり続けていますが、その分太陽光発電設備の導入コストも大幅に下がっています。
住宅を新築する際に同時に太陽光発電を設置すると、光熱費の削減や大規模災害時の停電対策など、多くのメリットがあります。
今回は住宅の新築時に太陽光発電を設置するメリットについて解説します。後悔しないための注意点や、お得な補助金制度についても分かりやすく説明します。
また、今話題の東京都の設置義務化についても触れますので、新築で太陽光発電設備の設置を検討している方には非常に役立つ情報ですので、ぜひ最後までお読みください。
目次
新築で太陽光発電を設置するメリットは?
まずは、住宅の新築と同時に太陽光発電を設置することのメリットについて解説します。
FITによる売電収入
太陽光発電は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)により普及促進が図られてきました。
一般家庭においては、自宅に設置した太陽光発電で得た電力から家庭内での電力消費を引いた余剰発電分を売電する仕組みです。
(買取りの原資は「再エネ賦課金」として、毎月の電気料金と共に全国民に等しく課されています。)
家庭用で想定される10kW未満の太陽光発電設備の買取価格の2012年からの推移は下記のとおりです。
(太陽光発電の固定価格買取制度)
年度 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
調達価格 | 42 | 38 | 37 | 33 | 31 | 28 | 26 | 24 | 21 | 19 | 17 | 16 |
調達期間 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 |
参考:資源エネルギー庁 固定価格買取制
太陽光発電の普及およびコストダウンとともに、年々買取価格は下がっています。
そのため、売電せずに余剰発電分を蓄電池に貯めてき、家庭の夜間需要に回すという完全自家消費スタイルでの太陽光発電の導入事例が増えています。
また、価格固定での買取期間は10年とされており、その後は売電の停止、もしくは地域電力会社との交渉による任意での買取りとなります。
(任意買取りは極端な安価となることがほとんどです。)
そのため、FIT期間終了後に完全自家消費に切り替えるために蓄電池を導入するケースも増えています。
自家消費で電気代削減
ウクライナ情勢による資源価格の高騰や円安の影響を受けて発電コストが急激に上昇しており、一般家庭でも電気料金が高騰しています。
太陽光発電による電力は価格上昇の影響を受けず、再エネ賦課金も掛かりません。
現在の電気料金の状況が続くと、売電よりも自家消費に回したほうが経済的なメリットが大きくなります。
停電時の非常電源
大規模災害などで停電が発生した時にも、太陽光発電は非常電源として活躍します。
最低限の家電製品を動かしたり、ライフラインとして重要な携帯電話の充電をしたりすることが可能になります。
昼間の発電時間帯には直接電気を取り出して使用することが可能です。
昼間の発電分を蓄電池やV2Hで電気自動車のバッテリーに貯めておけば、夜間にも電気を使えるようになります。
設置工事費用の削減
太陽光発電を新築時に設置すると、新築住宅の付属設備として低金利の住宅ローンが利用できることが大きなメリットと言えます。
また、設置工事に必要な仮設費用などの経費を建築本体の工事と共通にできますので、後付けよりも設置工事費が安価になる傾向があります。
再生可能エネルギーの導入
太陽光発電から得られる電力は、発電のために温室効果ガス(主にCO2)を発生しないクリーンで環境にやさしいエネルギーです。
国際合意に基づき、日本ではCO2排出量を2030年に2013年と比較して46%削減、2050年に実質排出量ゼロを達成する目標を掲げています。
目標達成に向けてさらなるCO2削減対策が求められているため、今後も太陽光発電や蓄電池の普及にはさまざまな優遇政策が取られることが予想されています。
後悔しない太陽光発電とは?
新築住宅に太陽光発電を設置して後悔しないために押さえておくポイントについて説明します。
発電量が最大限になるように配置する
注文住宅の場合は、建物の配置や形状をある程度コントロールできます。
ハウスメーカーや工務店に、いくつかのパターンでパネルを設置する屋根の方角や角度をシミュレーションしてもらい、発電量が最大となる配置を選ぶようにしましょう。
ランニングコストの確認
太陽光パネルは20~25年のメーカー出力保証が付きますが、パワーコンディショナーや蓄電池は一般的に約10年で交換時期を迎えます。
空調や給湯器など、建物のさまざまな設備が10年で更新時期を迎えますので、そのときに慌てないように建物の維持管理コストを太陽光発電設備の分もきちんと見込んでおく必要があります。
メンテナンス体制の確認
新築時にハウスメーカーや工務店に依頼して太陽光発電設備を設置すると、その後の定期点検や自然災害時の確認なども、建物とまとめてお願いできるメリットがあります。
ただし、瑕疵担保責任の10年を過ぎると定期点検が無くなる(もしくは有償となる)住宅会社が多いため、その後の管理がおろそかになるケースがあります。
太陽光パネルの寿命は20~30年と長いため、安全面も考えて定期点検やメンテナンスを継続していく仕組みを構築しておく必要があります。
新築で太陽光発電を設置する場合に活用できる補助金は何がある?
新築住宅で太陽光発電設備を設置する場合に適用できる補助金について解説します。
国の補助金
2022年度は、国による住宅用太陽光発電システム単体の購入や設置、関連機器類の補助金制度はありませんでした。
ただし、蓄電池に関しては、一般社団法人環境共創イニシアチブ(Sii)による令和4年度DER(VPP)補助金があります。(※予算上限に達したため今年度の募集は終了しています。)
自治体の補助金
自治体によっては、太陽光発電設備や蓄電池の導入を支援する制度を用意しています。
例えば東京都は、電気自動車(EV)やビークル・トゥ・ホーム(V2H)などの導入を強力に支援しており、V2Hとの組み合わせで得られる補助金制度があります。
補助対象 | 補助率・上限額 | 主な要件 | |
太陽光発電システム | 新築の場合 | 3キロワットから3.6キロワット:36万円 | 発電出力が3キロワット以上50キロワット未満であること、V2Hと併せて導入すること 等 |
3.6キロワット超:10万円/キロワット | |||
既存の場合 | 3キロワットから3.75キロワット:45万円 | ||
3.75キロワット超:12万円/キロワット | |||
V2H | 通常 | 機器費及び工事費の2分の1 | CEV補助金の交付対象の機器であること 等 |
上限額:50万円 | |||
太陽光発電システム及び
|
機器費及び工事費(10分の10) | 太陽光発電システムの発電出力が3キロワット以上50キロワット未満であること、EV又はPHVの自動車検査証に記載の使用の本拠の位置に設置すること 等 | |
上限額:100万円 |
補助対象 |
通常 |
再エネ100%電力メニュー契約の場合 |
太陽光発電システム導入の場合 |
|
EV |
個人 |
45万円 |
60万円 |
75万円 |
事業者 |
37万5千円 |
50万円 |
62万5千円 |
|
PHV |
個人 |
45万円 |
60万円 |
60万円 |
事業者 |
30万円 |
40万円 |
40万円 |
参考:東京都HP 令和4年度電気自動車等の補助を拡充!「走る蓄電池」としてEVを活用
国や自治体の補助金制度については下記にまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。
2023年(令和5年)オトクに導入!家庭用蓄電池・太陽光発電・V2Hの補助金ってどうすればもらえる?地域ごとの需給条件や金額を徹底解説
ZEH(ゼッチ)補助金:一般社団法人環境共創イニシアチブ(Sii)
ZEH(ゼッチ)とは、断熱の強化や省エネ設備の導入で電気やガスなどのエネルギー消費量を抑えつつ、太陽光パネルなどの自家発電設備でエネルギーを生み出し、差し引きでのエネルギー消費をゼロに近づける住宅です。
一般社団法人環境共創イニシアチブ(Sii)により認証され、一戸当たり55万円(上位仕様のZEH+の場合は100万円)の補助金が受けられます。
また、蓄電池やV2H充放電設備の導入をすると補助金が増額になるケースもあります。
ZEH住宅の認定には太陽光発電設備の設置が必須となりますので、新築住宅の購入と同時に太陽光発電設備の導入を検討されている方は、ご自宅がZEH住宅の補助金対象になるか、ハウスメーカーや工務店にお問い合わせください。
参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ 経済産業省および環境省による戸建ZEH補助事業
東京都の太陽光発電設置義務化とは?
東京都が2025年の4月から、都内の新築一戸建て住宅に太陽光パネルの設置を義務化する基本方針を発表したことが大きなニュースになりました。
これは、購入者ではなく大手の住宅メーカーや工務店が設置義務化の対象となるものです。
設置義務の対象となるのは、年間2万平方メートル以上の建物を建築する事業者で、都内で50社程度になります。
これは、都内の年間新築棟数の半分程度の規模となる見込みです。
住宅の購入者は、太陽光発電設備が導入された住宅を選択するかどうかという判断により義務化に関わることになり、現在のところ直接的な影響はありませんが、今後さらに太陽光発電設備の導入が促進されることは間違いありません。
参考:東京都HP 太陽光発電設置 「解体新書」・よくあるご質問
新築住宅への太陽光発電設置義務化は促進される方向
ここまで、新築住宅に太陽光発電設備を設置するメリットと、後悔しないためのポイントについて解説してきました。
東京都の設置義務化の動きもあり、今後ますます太陽光発電設備の設置は促進されていきます。
電気料金の高騰もあり、蓄電池やV2Hの導入で余剰発電分を活用する動きも活発になるでしょう。
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