エネルギーミックスとは何?2030年までの目標や理想の割合、現在の課題を徹底解説
最終更新日:2025.10.02 お役立ち情報

テレビやインターネットのCMやニュースで「エネルギーミックス」という言葉を見聞きした方の中には、「エネルギーミックスって何?」、「昨今の電気代高騰などでエネルギーミックスについて気になるけど難しいしよくわからない…」と考えている方もいるのではないでしょうか?
エネルギーミックスは国の政策でもあり、私たちの生活を支える重要なものです。
そこで今回は、エネルギーミックスの基本から日本で重要視されている理由、国の目標や課題について分かりやすく紹介します。最近のニュースを見ていてエネルギーについて考えるようになった方や光熱費を抑えるためにさまざまな情報を調べ始めた方などは、参考にしてみてください。
目次
エネルギーミックスとは何?

エネルギーミックスとは、石油や石炭、天然ガスといったさまざまなエネルギーのほか、火力発電や原子力発電、太陽光発電、風力発電など、1つの発電方法に依存せず複数の発電方法を組み合わせて安定的なエネルギーの供給を行えるようにする思想です。
電源構成を一種類に依存せず、それぞれの長所を生かし、組み合わせてバランスを取ることがエネルギーミックスの大きな特徴といえます。とくに日本はエネルギーを輸入に頼っているため、電源構成の最適化を行う必要があります。
まずは、エネルギーミックスの意味と国の基本方針について1つずつ確認していきましょう。
複数の電源を組み合わせて発電および電力供給
エネルギーミックスというのは、火力発電や水力発電などといったさまざまな発電所を組み合わせて電力の安定供給を目指す考え方を指しています。
火力発電や原子力発電など1種類の発電所のみ国内に設置した場合、発電効率や発電コスト、エネルギーの調達リスクといった、さまざまなデメリットを抱えた状態で発電を継続しなければいけません。
たとえば、火力発電のみを国内に設置した場合、天然ガスや石油、石炭といった燃料を調達しなければ電力供給を継続できません。日本の場合は各エネルギーを輸入に頼っているため、国際市場の大きな変動による燃料調達費への影響や燃料確保が困難になるなど、エネルギー危機につながりやすい状況です。
このように1種類の発電方法に頼るのは私たちの生活にとってリスクの高い行動といえます。そこで、国ではエネルギーミックスという考え方をベースに、発電所の運用を行っています。
日本でエネルギーミックスが重要視されている理由
日本でエネルギーミックスが重要視されている主な理由は、エネルギーに関して脆弱な状況だからです。
1973年に発生したオイルショックでは、日本も原価価格高騰の影響を受けインフレなどの問題に直面しました。そこで国は、省エネ設備の技術開発や新エネルギーの導入などといった、現在のエネルギーミックスにつながる政策を始めています。
他にも2011年の東日本大震災によって生じた東電福島第一原発事故、気候変動対策としてのカーボンニュートラルという考え方の世界的な流れ、2022年のロシアによるウクライナ侵攻とエネルギー価格高騰、といった問題も出ています。
そのため、日本はエネルギーミックスを進める必要があります。
日本におけるエネルギーミックスの理想の割合
2021年に閣議決定された第6次エネルギー基本計画の中には、2030年度までのエネルギー目標について定められています。
2030年度のエネルギーミックスに関する目標は、再生可能エネルギーの割合を36~38%、原子力発電20~22%、天然ガス20%、石炭19%、石油など2%といった内容です。
2022年時点では、再生可能エネルギーの割合が19%程度、天然ガス39%、石炭31%、石油など6%といった割合なので、未達成となっています。そこで国は、地域脱炭素ロードマップという化石燃料依存からの脱却へ向けた、脱炭素化および再生可能エネルギー設備の増設に関する方法について定めました。
その他には、改正地球温暖化対策推進法という再生可能エネルギーの促進および化石燃料の規制強化を行い、法的な観点から脱炭素化を目指している状況です。
さらにCO2排出量の少ない水素・アンモニア発電という新技術の開発が進められていて、再生可能エネルギーと共に期待されています。
日本の場合は基本方針3E+Sに沿って電源を構築
日本では、エネルギーミックスを進めていくにあたって、3E+Sという基本方針を定めています。
3E+Sとは、エネルギー政策に関する目標のことで、4種類に分かれています。
| 項目 | 目標 |
| Energy Security(安定供給) | エネルギーの調達先を分散させて、調達困難な状況やエネルギー価格高騰リスクを抑える ・日本はエネルギーを輸入に頼っている ・海外のエネルギーに頼っていると、さまざまな要因から調達が途絶えたり価格急騰といった問題に直面したりしてしまう |
| Economic Efficiency(経済性) | 安い電気料金で国民にサービスおよび電気を提供 ・エネルギーの調達を行えても電気料金の高騰が続いてしまっては生活基盤に関わる |
| Environment(環境) | 環境への影響を考慮しながらエネルギーミックスを行う ・日本を含め各国が2050年までのカーボンニュートラルを目指している ・火力発電重視ではCO2排出量削減を達成できない |
| Safety(安全) | エネルギー関連設備の安全性を高める ・東日本大震災の福島第一原子力発電所事故による放射性物質拡散から、発電所を原因とする事故および被害想定や対策は急務 |
つまり、安全性と環境性能の高い発電所を主力電源とし、なおかつ安価な電気を安定供給していくことが、日本のエネルギーミックス政策における基本方針です。
エネルギーミックスに用いられる電源のメリットとデメリット

エネルギーミックスで検討されている・現在使用されている電源は、7種類で構成されています。
以下に各電源のメリットやデメリットを紹介します。
| 電源 | メリットとデメリット |
| 火力発電 | 石油、石炭、天然ガスを燃焼し、蒸気でタービンを回し発電する メリット:電力の安定供給が可能で、燃料の運搬や貯蔵も簡単 デメリット:CO2排出量が高く、燃料を輸入に頼らざるを得ない |
| 原子力発電 | 核燃料の熱で蒸気を発生させ、タービンを回して発電する メリット:発電コストが安く安定的に電力供給可能、さらにCO2を排出せずに発電できる デメリット:廃炉方法および使用済み核燃料の処理方法が確立していない、事故発生時の被害が甚大かつ長期化してしまう |
| 太陽光発電 | 日光を太陽光パネルで吸収し、光を電気に変換する メリット:エネルギーの調達コスト不要で、なおかつ半永久的なエネルギーでCO2排出量を抑えながら発電可能 省スペースでも発電できるため、個人でも簡単に導入できる デメリット:夜間や日射量の少ない時間帯は発電できない、電力の安定供給が難しい |
| 風力発電 | 風の力で風車を回し、内部の発電機を回して発電する メリット:陸上や洋上に設置でき昼夜問わず発電可能、CO2の排出を抑えられる デメリット:風という不安定なエネルギーのため、安定供給が難しい 発電コストが高く、風の強い場所以外で活用できない |
| 水力発電 | 水の力で水車を回し、内部の発電機を回して発電する メリット:発電効率が高く、24時間稼働させられる CO2の排出を抑えられる デメリット:発電コストが高く、なおかつダム建設など大規模な工事になってしまう さらに集落の水没など、周辺住民の理解と同意およびサポートが必要 |
| バイオマス発電 | 木くずや間伐材、可燃性ゴミ、生ごみなどから発生されるガスを燃焼もしくは発酵によってタービンを回し、発電する メリット:生物資源の活用というサステナブルな社会を実現させる上でもメリットの多い発電方法 デメリット:資源の運搬や収集に関するコストがかかる |
| 地熱発電 | 地中深くの熱から発生される蒸気を取り出し、タービン回して発電を行う メリット:火山大国の日本に合った発電方法、他の再生可能エネルギーより安定した電力供給が可能 デメリット:設置コストが高く、なおかつ発電効率に課題もある 地熱エネルギーを得るには温泉施設などとの交渉が必要 |
このように各発電方法にはメリットとデメリットがあります。火力発電や原子力発電一択はもちろん、再生可能エネルギー一択についてもリスクのある選択です。
世界のエネルギーミックスの現状は?
エネルギーミックスは、世界各国で進められている考え方です。しかし、電源の種類や電源構成の割合については、それぞれ異なります。

エネルギー・原子力政策について
それでは、日本を含む世界のエネルギーミックスに関する現状を確認していきましょう。
日本の現状
日本の場合は、1970年代に起きた第1次石油危機・第2次石油危機、通称石油ショックにより、エネルギーミックスをベースにした電源構成が進められてきました。
また、2011年の東日本大震災では地震および原発事故の影響で、全国の原子力発電が稼働停止しました。近年では、いくつかの原発について再稼働に向けた動きも見られます。
エネルギーの構成については石炭と天然ガスの割合が高く、次いで石油と水力も一定の割合を保っている状況です。
アメリカ
これまでアメリカのエネルギーミックスは、石炭(石炭火力発電)の割合が高い状況でした。しかし、エネルギーの調達コストや環境規制などの影響から徐々に減少しつつあり、天然ガスの割合が最も高くなっています。
また、天然ガス・石炭に次いで割合の高いエネルギーは原子力発電で、同設備が多数稼動しています。水力発電を含めた再生可能エネルギーも原子力発電と同程度の割合を保っており、年々普及の進んでいる電源のひとつです。
ノルウェー
ノルウェーの場合は水力発電が90%以上を占めており、日本やアメリカなどと大きく異なる電源構成です。また、その他のエネルギーも再生可能エネルギーを中心としたもので、脱炭素化の進んでいる国のひとつといえます。

1970年代からは北海での油田開発が進み、石油とガスの輸出も進められています。そのため、石炭や石油、天然ガスといった化石燃料については、自国でほとんど消費されていない状況です。
フランス
フランスは日本と同様、1970年代の石油ショックによる影響を受けており、電源構成の見直しが図られてきました。石油ショック後の主力電源は原子力発電で、全体の60%以上を占めている状況です。
また、近年では再生可能エネルギーの導入も進んでおり、2030年までに同エネルギーの割合を40%へ引き上げる目標が掲げられています。具体的には、主に陸上風力発電と太陽光発電の導入量を増加させる予定です。
中国
中国は世界最大のエネルギー消費国であり、主力電源は石炭で、全体の6割を占めています。しかし、深刻な大気汚染問題や地球温暖化対策への国際的な要請を受け、近年では再生可能エネルギーの導入を国家戦略として強力に推進しています。特に太陽光発電と風力発電への投資は世界トップクラスで、その導入量は急速に拡大しており、世界の太陽光パネルの生産量の7割は中国が占めています。
石炭への依存度は依然として高いものの、エネルギーミックスの多様化と脱炭素化に向けた取り組みを加速させている状況です。
日本のエネルギーミックス政策に関する課題

日本のエネルギーミックス政策について課題はいくつかあります。安価でなおかつ安定的な電力供給を実現するには国や企業による対策はもちろん、国民1人1人の理解も大切です。
最後は日本のエネルギーミックスに関する課題を紹介します。
再生可能エネルギーの導入量を急激に増やすことは難しい
再生可能エネルギーを主力電源とする目標を達成するには、大至急設備を増設していく必要があります。
しかし、2022年時点では再生可能エネルギー設備の数が不足していて、なおかつ発電コストという点でも課題の残っている状況です。
さらに太陽光発電や風力発電といった設備を設置するには、自治体や地元住民からの理解や同意も必要になるものの、反対意見や活動によって撤退せざるを得ないケースも出ています。
原子力発電の割合を増やすために国民の理解が必須
現状、停止状態となっている場所が多い原子力発電所の稼働率を増やすことが、2030年度のエネルギーミックス目標達成に必要な要素です。
原子力発電所の割合は、エネルギー全体に対して5.5%程度となっています。2030年度の目標である20~22%に対して、まだまだ足りていない状態です。
しかし、2011年の原子力発電事故によって原子力に対する反対意見が増えてしまい、稼働を再開できない・難しい状態となっています。
国や電力会社が個人に対して、原子力発電所の安全対策やエネルギーミックスの重要性について丁寧な説明を行う必要もあるでしょう。
外的要因によるエネルギー危機が現在進行形で発生中
2022年10月時点では、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格高騰が続いています。
エネルギーミックス政策を推し進めていくことは、このようなエネルギー危機に対して有効な手段です。しかし、リアルタイムで起きている燃料価格高騰および電気代・ガス代高騰に対して、再生可能エネルギー設備や原子力発電の増設などといった対策が追い付いていません。
そのため、エネルギーミックス政策による安価な電気・ガスの取得はまだまだ先になるといえます。
そこで、個人での対策の1つとして住宅用太陽光発電や蓄電池・V2Hに目を向けてみるのがおすすめです。
太陽光発電や蓄電池、V2Hは、それぞれ100~200万円前後の費用で設置でき、なおかつ電力会社からの買電量を減らしながらいつも通りの暮らしを維持できます。さらに、停電時の非常用電源として活用でき防災対策にも役立ちます。
エネルギーミックスを実現するために必要なこと

エネルギーミックスの目標達成には、政府による政策推進と私たち一人ひとりの意識・行動変革が不可欠です。
国や政府ができること
政府は、再生可能エネルギー導入を促す法制度見直しや支援強化を進め、洋上風力や地熱発電など日本の条件に合うエネルギー活用を推進しています。また送電網などのインフラ強化も行っており、加えてCO2フリーな水素・アンモニア発電、CO2回収・利用技術(CCUS)など、次世代エネルギーの研究開発も支援しています。
また、原子力発電は安全を最優先に再稼働を進めています。次世代炉開発も検討し、国民への丁寧な説明と対話を通じて理解を求めています。
安定したエネルギー調達のための国際協力・省エネ推進・建築物の断熱性向上も重要になります。
私たちにできること
目標達成には、私たち一人ひとりの日々の貢献も不可欠です。
最も身近なのは「毎日の節電・省エネ」です。エアコン設定の見直し、不要な消灯、省エネ家電への買い替えなど、小さな心がけで消費電力を大きく減らすことができます。
また、自宅に太陽光発電や蓄電池を導入し、自分で電気を作り貯めれば、買電量を減らすことができます。EVの電気を家庭で使うV2Hシステムも有効です。エコマーク製品の選択・公共交通機関の利用・カーシェアリングなど、環境負荷の低いライフスタイルへの移行も大切です。
国のエネルギー政策に関心を持ち、理解を深めることがとても重要です。できることから始めていきましょう。
エネルギーミックスは家庭にも密接にかかわる重要政策!
エネルギーミックスという国の政策および目標は、安価な電気を購入する上で重要です。しかし課題が多く、国の政策に頼っていても、すぐに安価な電気を安定的に購入できない状況といえます。
エコでんちでは、環境省認定の公的資格「うちエコ診断士」の資格を取得した専門アドバイザーが、多数の蓄電池からお客様に合った製品をご提案しますし、太陽光発電やV2Hシステムも選定します。
さらに設置工事の際は、各種メーカー施工IDを所有し、かつ施工内容や部材にもこだわった実績のある施工店のみと提携しているので、一般のよりも厳しい基準で施工を実現しています。
エネルギー危機などに関心があり、家庭のエネルギーや家計負担を少しでも抑えたい時は、ぜひエコでんちへお電話やメール、公式LINEでご相談ください。
まとめ
エネルギーミックスは、石炭や石油・天然ガス火力発電、原子力発電、再生可能エネルギーといったエネルギー・電源の構成をバランスよく保つ考え方を指しています。また、日本の場合は、エネルギーミックスを進めていくにあたって3E+Sという基本方針が定められています。
ただし、国際情勢の変化によるエネルギー価格の高騰、再生可能エネルギーの設備不足などさまざまな課題があるため、電気代やガス代の負担は大きい状況です。
光熱費負担に悩んでいる方やエネルギーミックス問題に対して、個人でできることがないか考えている方は、節電だけでなく太陽光発電や蓄電池などを活用した電気代削減についても検討してみてはいかがでしょうか?
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