エネルギーミックスとは?重要視されている理由や課題についてわかりやすく解説!
最終更新日:2023.06.22 お役立ち情報
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テレビやインターネットのCMやニュースで「エネルギーミックス」という言葉を見聞きした方の中には、「エネルギーミックスって何?」、「昨今の電気代高騰などでエネルギーミックスについて気になるけど難しいしよくわからない…」と考えている方もいるのではないでしょうか?
エネルギーミックスは国の政策でもあり、私たちの生活を支える重要なものです。
そこで今回は、エネルギーミックスの基本から日本で重要視されている理由、国の目標や課題について分かりやすく紹介します。最近のニュースを見ていてエネルギーについて考えるようになった方や光熱費を抑えるためにさまざまな情報を調べ始めた方などは、参考にしてみてください。
目次
エネルギーミックスとは何?
まずは、エネルギーミックスの意味と国の基本方針について1つずつ確認していきましょう。
複数の電源を組み合わせて発電および電力供給
エネルギーミックスというのは、火力発電や水力発電などといったさまざまな発電所を組み合わせて電力の安定供給を目指す考え方を指しています。
火力発電や原子力発電など1種類の発電所のみ国内に設置した場合、発電効率や発電コスト、エネルギーの調達リスクといった、さまざまなデメリットを抱えた状態で発電を継続しなければいけません。
たとえば、火力発電のみを国内に設置した場合、天然ガスや石油、石炭といった燃料を調達しなければ電力供給を継続できません。さらに日本の場合は各エネルギーを輸入に頼っているため、国際市場の大きな変動によるエネルギー危機につながりやすい状況です。
このように1種類の発電所に頼るのは、私たちの生活にとってリスクの高い行動といえます。そこで国ではエネルギーミックスという考え方をベースに、発電所の運用を行っています。
日本の場合は基本方針3E+Sに沿って電源を構築
日本では、エネルギーミックスを進めていくにあたって、3E+Sという基本方針を定めています。
3E+Sとは、エネルギー政策に関する目標のことで、4種類に分かれています。
項目 |
目標 |
Energy Security(安定供給) |
エネルギーの調達先を分散させて、調達困難な状況やエネルギー価格高騰リスクを抑える
・日本はエネルギーを輸入に頼っている ・海外のエネルギーに頼っていると、さまざまな要因から調達が途絶えたり価格急騰といった問題に直面したりしてしまう |
Economic Efficiency(経済性) |
安い電気料金で国民にサービスおよび電気を提供
・エネルギーの調達を行えても電気料金の高騰が続いてしまっては生活基盤に関わる |
Environment(環境) |
環境への影響を考慮しながらエネルギーミックスを行う
・日本を含め各国が2050年までのカーボンニュートラルを目指している ・火力発電重視ではCO2排出量削減を達成できない |
Safety(安全) |
エネルギー関連設備の安全性を高める
・東日本大震災の福島第一原子力発電所事故による放射性物質拡散から、発電所を原因とする事故および被害想定や対策は急務 |
つまり、安全性と環境性能の高い発電所を主力電源とし、なおかつ安価な電気を安定供給していくことが、日本のエネルギーミックス政策における基本方針です。
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エネルギーミックスに用いられる電源のメリットとデメリット
エネルギーミックスで検討されている・現在使用されている電源は、7種類で構成されています。
以下に各電源のメリットやデメリットを紹介します。
電源 |
メリットとデメリット |
火力発電 |
石油、石炭、天然ガスを燃焼し、蒸気でタービンを回し発電する
メリット:電力の安定供給が可能で、燃料の運搬や貯蔵も簡単
デメリット:CO2排出量が高く、燃料を輸入に頼らざるを得ない |
原子力発電 |
核燃料の熱で蒸気を発生させ、タービンを回して発電する
メリット:発電コストが安く安定的に電力供給可能、さらにCO2を排出せずに発電できる
デメリット:廃炉方法および使用済み核燃料の処理方法が確立していない、事故発生時の被害が甚大かつ長期化してしまう |
太陽光発電 |
日光を太陽光パネルで吸収し、光を電気に変換する
メリット:エネルギーの調達コスト不要で、なおかつ半永久的なエネルギーでCO2排出量を抑えながら発電可能 省スペースでも発電できるため、個人でも簡単に導入できる
デメリット:夜間や日射量の少ない時間帯は発電できない、電力の安定供給が難しい |
風力発電 |
風の力で風車を回し、内部の発電機を回して発電する
メリット:陸上や洋上に設置でき昼夜問わず発電可能、CO2の排出を抑えられる
デメリット:風という不安定なエネルギーのため、安定供給が難しい 発電コストが高く、風の強い場所以外で活用できない |
水力発電 |
水の力で水車を回し、内部の発電機を回して発電する
メリット:発電効率が高く、24時間稼働させられる CO2の排出を抑えられる
デメリット:発電コストが高く、なおかつダム建設など大規模な工事になってしまう さらに集落の水没など、周辺住民の理解と同意およびサポートが必要 |
バイオマス発電 |
木くずや間伐材、可燃性ゴミ、生ごみなどから発生されるガスを燃焼もしくは発酵によってタービンを回し、発電する
メリット:生物資源の活用というサステナブルな社会を実現させる上でもメリットの多い発電方法
デメリット:資源の運搬や収集に関するコストがかかる |
地熱発電 |
地中深くの熱から発生される蒸気を取り出し、タービン回して発電を行う
メリット:火山大国の日本に合った発電方法、他の再生可能エネルギーより安定した電力供給が可能
デメリット:設置コストが高く、なおかつ発電効率に課題もある 地熱エネルギーを得るには温泉施設などとの交渉が必要 |
このように各エネルギーには、メリットとデメリットがあります。火力発電や原子力発電一択はもちろん、再生可能エネルギー一択についてもリスクのある選択です。
日本でエネルギーミックスが重要視されている理由
日本でエネルギーミックスが重要視されている主な理由は、エネルギーに関して脆弱な状況だからです。
1973年に発生したオイルショックでは、日本も原価価格高騰の影響を受け、インフレなどの問題に直面しました。そこで国は、省エネ設備の技術開発や新エネルギーの導入などといった、現在のエネルギーミックスにつながる政策を始めています。
他にも2011年の東日本大震災によって生じた東電福島第一原発事故、気候変動対策としてのカーボンニュートラル世界的な流れ、ロシアによるウクライナ侵攻とエネルギー価格高騰といった問題も出ています。
そのため、日本はエネルギーミックスを進める必要があります。
日本のエネルギーミックスに関する目標
2021年に閣議決定された第6次エネルギー基本計画の中には、2030年度までのエネルギー目標について定められています。
2030年度のエネルギーミックスに関する目標は、再生可能エネルギーの割合を36~38%、原子力発電20~22%、天然ガス20%、石炭19%、石油など2%といった内容です。
2022年時点では、再生可能エネルギーの割合が19%程度、天然ガス39%、石炭31%、石油など6%といった割合なので、未達成となっています。そこで国は、地域脱炭素ロードマップという化石燃料依存からの脱却へ向けた、脱炭素化および再生可能エネルギー設備の増設に関する方法について定めました。
その他には、改正地球温暖化対策推進法という再生可能エネルギーの促進および化石燃料の規制強化を行い、法的な観点から脱炭素化を目指している状況です。
さらにCO2排出量の少ない水素・アンモニア発電という新技術の開発が進められていて、再生可能エネルギーと共に期待されています。
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日本のエネルギーミックス政策に関する課題
日本のエネルギーミックス政策については、課題もいくつかあります。安価でなおかつ安定的な電力供給を実現するには、国や企業による対策および国民1人1人の理解も大切です。
最後は、日本のエネルギーミックスに関する課題を紹介します。
再生可能エネルギーの導入量を急激に増やすことは難しい
再生可能エネルギーを主力電源とする目標を達成するには、大至急設備を増設していく必要があります。
しかし、2022年時点では再生可能エネルギー設備の数が不足していて、なおかつ発電コストという点でも課題の残っている状況です。
さらに太陽光発電や風力発電といった設備を設置するには、自治体や地元住民からの理解や同意も必要になるものの、反対意見や活動によって撤退せざるを得ないケースも出ています。
原子力発電の割合を増やすために国民の理解が必須
多くの設備が停止状態となっている原子力発電所の稼働率を増やすことが、2030年度のエネルギーミックス目標達成に必要な要素です。
原子力発電所の割合は、エネルギー全体に対して3.9%程度となっています。2030年度の目標は20~22%なので、非常に足りない状態です。
しかし、2011年の原子力発電事故によって原子力に対する反対意見が増えてしまい、稼働を再開できない・難しい状態となっています。
国や電力会社が、個人に対して原子力発電所の安全対策やエネルギーミックスの重要性について丁寧な説明を行う必要もあるでしょう。
外的要因によるエネルギー危機が現在進行形で発生中
2022年10月時点では、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー価格高騰が続いています。
エネルギーミックス政策を推し進めていくことは、このようなエネルギー危機に対して有効な手段です。しかし、リアルタイムで起きている燃料価格高騰および電気代・ガス代高騰に対して、再生可能エネルギー設備や原子力発電の増設などといった対策が追い付いていません。
そのため、エネルギーミックス政策による安価な電気・ガスの取得は、まだまだ先になるといえます。
そこで個人は、住宅用太陽光や蓄電池、V2Hに目を向けてみるのがおすすめです。
太陽光発電や蓄電池、V2Hは、それぞれ100万円前後の費用で設置でき、なおかつ電力会社からの買電量を減らしながら、いつも通りの暮らしを維持できます。さらに停電時の非常用電源として活用でき、防災対策にも役立ちます。
エネルギーミックスは家庭にも密接にかかわる重要政策!
エネルギーミックスという国の政策および目標は、安価な電気を購入する上で重要です。しかし、2022年時点では課題が多く、国の政策に頼っていてもすぐに安価な電気を安定的に購入できない状況といえます。
エネルギー価格高騰と家計負担について関心を強く持ち始めた方やエネルギーミックス問題から個人でできることがないか考えている方は、今回の記事を参考にしながら太陽光発電と蓄電池、電気自動車やV2Hを検討してみてはいかがでしょうか。
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