災害時に蓄電池は役に立つ?メリットや導入時のポイントを解説
最終更新日:2024.02.28 蓄電池
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日本では地震や台風などの自然災害が毎年発生しています。災害時には停電を伴うことも多く、復旧までに時間がかかるほど生活に大きな影響を及ぼすでしょう。
蓄電池は、災害時における在宅避難生活を支える住宅設備で、食事や生活の他、情報収集の手段を確保する上でもメリットがあります。
しかし、蓄電池が災害時にどう役立つのかわからない方も多いかと思います。
そこで今回の記事では、災害時に蓄電池がどのように役立つのか、メリットや導入時のポイントについて詳しくご紹介していきます。
災害対策を進めている方や防災として蓄電池を検討し始めた方はぜひ参考にしてください。
目次
災害時に蓄電池が役立つ理由
冒頭でも触れたように、日本は落雷・台風・地震などの自然災害が多く発生し、毎年のようにどこかの地域で停電が起こっています。
数分で電気が復旧する場合もあれば、復旧に数週間かかる恐れもあります。
2019年の台風15号の影響で起こった大規模停電では、最大約93万戸が停電し、千葉の一部地域では復旧までに約2週間という長い期間がかかりました。
現在の私たちの生活には電気が非常に重要で、夜間の電灯・食べ物を保存する冷蔵庫・夏場や冬場の冷暖房・スマートフォンやテレビを通した情報収集など、これらの家電製品は全て電気がないと使用ができません。
災害が起こり不安な中、停電が続けば通常通りに生活できない不便さを感じ、心身ともに大きな負担がかかることでしょう。
家庭用蓄電池を導入していた場合には、停電発生時でも自宅で家電製品を利用することができ、安心して生活することができるでしょう。
停電時に活用できる発電機や蓄電池
停電発生時の対策として、家庭で事前に準備できる発電機や蓄電池についてご紹介します。
小型のモバイルバッテリー
携帯型充電器ともいわれるモバイルバッテリーは、スマートフォンやタブレットなどの充電に使用ができます。
コンセントやPCにつないで充電しておけば、停電時などに充電式ラジオや照明にも利用することが可能です。値段も数1,000円単位なので、家計負担を抑えながら災害対策を進めたいご家庭にもおすすめです。
接続できるポートが、USB Type-AやUSB Type-Cなど限られているため使用の用途は限定的となります。
ポータブル電源
モバイルバッテリーより少し容量の大きいポータブル電源は、キャンプなどアウトドアで主に利用されている、持ち運びができる小型の蓄電池です。
モバイルバッテリーと比べると容量が多く、さらにコンセントがついているため、コンセントで使用する家電製品も使用できます。
サイズ感は炊飯器に近く、数万円から10万円以上の価格帯となっています。事前に充電しておけば災害時にスマートフォンや扇風機、炊飯器などの家電製品へ電力供給することが可能です。
しかし容量は少ないため、消費電力の少ない家電製品にしか使用ができません。
エンジン発電機
エンジン発電機は、ガソリンやディーゼルなどの燃料を使用し電気を発電させる装置です。
小型のエンジン発電機は移動もしやすく、災害時などに迅速に電気を使用することができます。
稼働にはガソリンなどの燃料が必要なため、災害時など燃料の確保が難しい場合には使用ができなくなります。また、稼働時には排気ガスを排出することや、音が大きいため使用には周りへの配慮が必要となります。
定置型の家庭用蓄電池
定置型蓄電池とは、自宅の基礎部分に蓄電池ユニットを固定させ使用される蓄電池のことです。電力を貯蔵し、必要に応じて供給することができます。
住宅向けに作られた家庭用蓄電池は、蓄電容量4kWhなどの小規模なタイプから17.76kWhまでの比較的容量の大きなタイプまで製造されています。
冷蔵庫や電気ポット、電子レンジなど複数の家電製品を同時に使用したい方やオール電化住宅に住んでいる方、住宅設備も使用したい方は、定置型蓄電池がおすすめです。
定置型の家庭用蓄電池はポータブル電源より容量が大きく、家電製品・住宅設備にも給電できるため、災害時に最も便利に活用できるでしょう。
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災害時に備えて家庭用蓄電池を導入するメリット
ここからは、災害時に備えて家庭用蓄電池を導入する主なメリットについてわかりやすく解説します。
自動で充放電の制御を行ってもらえる
家庭用蓄電池にはさまざまな機能が搭載されていて、なおかつ利用者側で都度操作や設定を行わずに済みます。
一般的な家庭用蓄電池の機能は、以下の3種類にわかれています。
・売電・経済モード
・クリーンモード
・災害対策重視のモード
売電・経済モード
売電・経済モードと呼ばれている機能は、電気料金の安い夜間に充電を行い、日中に自家消費行います。蓄電池システムを活用した電力を最も経済的に利用するための機能です。
太陽光発電で売電収入を得たい場合にメリットの多い機能で、日中の余剰電力を抑えられるため、売電収入を伸ばせます。
クリーンモード
クリーンモードは、夜間時間帯もしくは太陽光発電の余剰電力で充電し、発電量の少ない時間帯や夜間時間帯以外の日中に自家消費を行うモードです。自家消費量を増やし、電力会社からの買電を減らすことで、電気料金削減効果を期待できます。
災害対策重視のモード
災害対策重視のモードは、災害時の電力確保に焦点を当てた運用モードです。停電やその他の緊急事態に備え、家庭に必要な電力を確保することを目的としています。
インターネット経由で天候情報や台風など災害につながる警戒情報を収集し、事前に蓄電池を満充電にできるため、災害などにはとても役立つ機能です。また、AI制御対応タイプなら、インターネットから天候情報などを収集し、自動で機能を切り替えてくれるため安心です。
モニターから蓄電池のモードを切り替えるだけで家庭用蓄電池の充放電に関する制御を変更できますし、災害対策に関するモードは自動で切り替わるタイプもあります。
モバイルバッテリーやポータブル電源にはない制御機能を活用できるのが、家庭用蓄電池の大きなメリットです。
家庭内のコンセントや住宅設備へ給電可能
家庭用蓄電池なら、家庭内のコンセントや住宅設備へ給電できるようになっています。
モバイルバッテリーは容量面でも家庭内の家電製品をカバーできません。エンジン発電機は、本体に取り付けられたコンセントから電力を確保できるものの、発電した電気を家庭内のコンセントや住宅設備に直接給電できません。
一方、家庭用蓄電池の場合は、設置工事の段階で家庭内の配線と接続してもらえます。そのため、いつも通り各部屋のコンセントから電気を使用できるようになりますし、エコキュートなどの住宅設備を使用することも可能です。
複数の家電製品を使いやすく、複雑な操作も不要という点は、家庭用蓄電池ならではのメリットといえます。
停電時に自立運転モードで稼働可能
家庭用蓄電池は停電時に自立運転モードで切り替わるため、災害時でも稼働し続けられます。
自立運転モードは、停電時でも家庭用蓄電池を稼働するための回路で、どの定置型蓄電池にも備わっています。切り替え方法については、メーカーや型番によって異なります。
手動タイプは、仕様によって通常時のモードから自立運転モードへ切り替えます。主な流れとしては、主電源のブレーカを切り、蓄電池側の機能を変更します。一方、自動タイプの場合は停電を検知した際に自立運転モードへ切り替わるため、停電時の操作は不要です。
たとえば、シャープの太陽光発電・蓄電池システムの場合は、停電を検知した瞬間にパワーコンディショナが停止します。自立運転モードへの切り替え方法は、電力モニターから操作するタイプやクラウド連携コントローラから操作するタイプ、屋外用パワーコンディショナから直接切り替える方法などにわかれています。
また、家庭用蓄電池を導入している場合は、モニターの宅内コントローラ設定から自立運転自動切替設定をタップし、無効から有効に切り替えると自動切換えモードへ変わります。あとは、停電を検知した際に自動で自立運転モードへ切り替わるので、何も操作する必要がありません。
災害時は混乱しているので、なるべく自動切換えに対応した蓄電池を選ぶのが大切です。
平時なら電気料金削減効果を期待できる
家庭用蓄電池を導入した場合、電気料金削減効果を期待できます。
特にオール電化向けの電気料金プランや時間帯別プランへ加入している方は、蓄電池単体でも電気料金を削減することが可能です。
家庭用蓄電池のモードには、夜間に充電を行うモードがあります。
オール電化向けの電気料金プランや時間帯別プランは、夜間の電力量料金を安くしてもらえるプランで、さまざまな電力会社から提供されています。
たとえば、東京電力のスマートライフプランは、オール電化向けの電気料金プランで、午前1時~午前6時までの安い電力量料金を使用できます。
スマートライフSプランの場合は、午前1時~午前6時まで28.06円/kWh、午前6時~翌午前1時まで35.96円/kWhという電力料金で、1kWhあたりの電力単価に7.9円もの差額があります。
そこで家庭用蓄電池で夜間の電力料金が安い時間帯に充電し、単価の高い午前6時~翌午前1時の間に自家消費することで、消費電力量×7.9円の電気料金削減効果を得られます。
また、太陽光発電を導入しているご家庭の場合は、蓄電池との連携で時間帯別プランでなくとも効率的に電気料金を削減したり売電収入を伸ばしたりできます。
ガソリンやガス式と異なり燃料の保管管理が不要
家庭用蓄電池の場合は、ガソリンやガス式の非常用発電機と異なり燃料の保管管理が不要です。そのため、燃料の保管管理スペースに悩んでいる方や燃料の安全な管理方法に負担を感じている方などは、メリットの多い製品といえます。
家庭用蓄電池は電気で稼働する仕組みなので、燃料不要の住宅設備です。また、省スペース型の製品も製造されていて、室内の空いたスペースに設置できるのも嬉しいポイントです。
さらに、ガソリンやガス式発電機と異なり運転音が静かなので、就寝時に使用しても邪魔になりませんし、近隣住民からの苦情リスクも避けられます。
エコでんちでは、100種類以上もの家庭用蓄電池からお客様のご要望、設置予定場所に合った製品をご提案いたします。設置スペースに悩んでいる方もぜひお気軽にご相談ください。
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災害時の蓄電池運用を検討する際に注目すべきポイント
家庭用蓄電池が災害時に役立つことを把握したあとは、製品を選ぶ際に注目すべきポイントについて確認しておく必要があります。
特に蓄電容量・稼働方式・電圧については、導入前にしっかりと確認をすることが大切です。
蓄電容量
災害対策として家庭用蓄電池を導入する際は、停電時に自宅ではどの程度の電力量が必要なのかをあらかじめ確認し、停電時などに困ることが無いよう条件にあった蓄電容量の設備を選びましょう。
蓄電容量とは、蓄電池に充電可能な電力量のことです。家庭用蓄電池は、4kWh前後のコンパクトなタイプから10kWhを超える大型タイプまで販売されています。
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そのため、蓄電容量を選ぶ際は、自宅では1日にどの程度電気を使用するのか計算し、数日や1週間程度の停電に耐えられる容量を目安に考えることが大切です。
たとえば、1日あたりの消費電力量が1~2kWhの場合、蓄電容量6kWhの家庭用蓄電池を設置すれば3日~6日間停電が続いた場合でも電気を使用し続けることができます。
1日の消費電力量は、各家電製品や電気機器に記載されている消費電力(W)×使用時間の合計で求めることが可能です。
消費電力500Wの家電製品を1時間使用すれば、0.5kWh×1時間=0.5kWhになります。蓄電容量が5kWhの家庭用蓄電池を導入している場合は、5kWh÷0.5=10時間電気を使用できる計算です。
以下に蓄電容量5・10kWhでいくつかの家電製品を何時間・何日使用できるのかシミュレーションしてみました。
家電製品 |
消費電力(1時間)目安 |
1日の使用時間と電力使用量 |
エアコン |
110~1,000W |
3時間:330~3,000W |
冷蔵庫 |
50W |
24時間:1,200W |
電子レンジ |
1,300W |
10分:130W |
テレビ |
150W |
2時間:300W |
照明 |
50W |
4時間:200W |
上記の場合なら、蓄電容量5kWhで2日~1日程度、10kWhなら4日~2日程度各家電製品を稼働させることが可能です。消費電力1,000W越えの家電製品は長時間使用しないようにするのが、長期停電時でも蓄電池を活用するためのポイントといえます。
特に消費電力の多い家電製品は、エアコンやIHクッキングヒーター、電子レンジ、食器洗い機で、いずれも1,000Wを超えています。一方、洗濯機や冷蔵庫、パソコンやテレビは、500W前後もしくは未満の消費電力なので、比較的長時間使用しやすいといえます。
なお、災害時ではなく通常時の消費電力量は、1人暮らしで1日約6kWh程度、2人暮らしなら約10kWh程度です。停電した場合は、充電不足に陥らないよう節電を心がける場合もありますし、生活に必要な家電製品のみ使用するようになります。
そのため、通常時より消費電力が抑えられる可能性もあり、1日あたり5kWh前後の消費電力量で想定することも可能です。災害対策として導入する場合は、少なくとも4kWh以上の家庭用蓄電池を検討するのがおすすめです。
まずは、災害時にどのような製品を使用し続けたいのか整理し、1日あたり何時間程度使用するのかシミュレーションしてみましょう。
定格容量がいくらか確認する
蓄電池を比較する際は、定格出力についても注目しましょう。
定格出力は、複数の家電製品を同時に使用できるかに関わっています。
一般的な家庭用蓄電池の定格出力は3kWh前後です。つまり、合計の消費電力3kWhまでなら、同時に家電製品を使用することが可能です。たとえば、500W+1,500W+1,000Wの家電製品なら、定格出力3kWhの家庭用蓄電池で同時に給電できます。
以下に停電時も役立つ・必要な家電製品に関する消費電力の目安を紹介します。
エアコン |
100~3,000W程度 |
IHクッキングヒーター |
1,500~3,000W程度 |
電子レンジ |
3,000W程度 |
冷蔵庫 |
200W程度 |
洗濯機 |
300W程度 |
エコキュート |
1,500W程度 |
エアコンやIHクッキングヒーター、エコキュートなどは、定格出力の高い蓄電池でも同時に使用できない可能性があるので、使用時に注意の必要な住宅設備・家電製品です。
特に停電時でも複数の家電製品を使用する可能性がある方、世帯人数の多い方などは、定格出力5kWh前後などの高出力タイプを検討してみるのがおすすめです。
特定負荷型か全負荷型どちらにするか確認
家庭用蓄電池には、特定負荷型と全負荷型の2種類があり、停電時にどのように電気を利用できるかが異なります。
家庭用蓄電池を選ぶ際には、特定負荷型と全負荷型どちらが自宅に合っているのかを確認することが大切です。
特定負荷型とは、設置前に停電時に電気を給電したい場所を指定しておく方式のことです。たとえば、少しでも充電量を残すためにリビングのみで電気を使用したい場合は、設置工事の際にリビングのみに配線接続してもらいます。
一方、全負荷型は、全部屋のコンセントや住宅設備に給電できる家庭用蓄電池のことです。蓄電容量の大きな家庭用蓄電池を設置する方や太陽光発電と併用するため充電量を気にせず電気を使用できる方などは、使いやすい方式といえます。
どちらが優れているということではないので、各家庭での停電時の過ごし方に合った方式を選ぶ必要があります。
200V対応機器にするか確認
電気が流れるときの力のことを電圧といい、電圧の単位はV(ボルト)で表します。
一般的な家電製品は100Vですが、より高い電力が必要なIHクッキングヒーターなどは200Vで動作します。
オール電化住宅に住んでいる方や200V機器を使用したい方は、200V対応の家庭用蓄電池を導入しなければ、停電時に200Vの家電製品が利用できません。
IHクッキングヒーターやエアコン、エコキュートなどは、200V電源で稼働しますので、それらの製品を利用している場合には注意が必要です。
停電時でもIHクッキングヒーターを使用して調理したい、災害発生時が夏・冬でエアコンを使用しないと体調に影響を与えるといった場合は、特に200V機器対応の蓄電池から選んだ方がいいといえます。
なお、停電時にどの電源へ給電できるかは家庭用蓄電池のメーカーや型番によって異なるため、あらかじめ100Vのみ対応、100V・200V対応かどうか施工販売店の担当者へ相談しましょう。
エコでんちでは、さまざまなメーカーや型番の家庭用蓄電池に関するスペックや機能などを把握しているので、200V対応かどうかという点も正確にお伝えすることが可能です。
蓄電池を購入するか決めていない方も、ぜひお気軽にご相談ください。
災害時に備えて蓄電池だけでなく太陽光発電も導入するのがおすすめ
災害時に備えて家庭用蓄電池を導入する場合は、太陽光発電の併用も検討してみるのがおすすめです。
家庭用蓄電池は数日間の停電に対応できるものの、外部電源がなければ充電できません。住宅用太陽光発電には家庭用蓄電池と同じく自立運転モードがあるので、停電時でも発電を継続できますし、家庭用蓄電池へ給電することも可能です。
さらに、普段は住宅用太陽光発電と家庭用蓄電池の併用で、毎月数1,000円以上の電気料金削減効果を期待できますし、余剰電力による売電収入も得られます。
なお、モバイルバッテリーやポータブル電源は住宅用太陽光発電に対応していないので、家庭用蓄電池から比較検討するのも大切です。
まとめ
家庭用蓄電池は、災害時の停電といった状況でも使用し続けられるので、停電対策としてもメリットのある住宅設備です。また、住宅用太陽光発電と併用して発電した電気を定期的に充電すれば、長期停電時でも夜間や発電量の少ない日に自家消費できるようになります。
災害時を想定した対策を進めている方や停電対策として蓄電池を検討し始めた方は、この機会にエコでんちで家庭用蓄電池を検討してみてはいかがでしょうか。
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