メガソーラーが環境破壊に与える影響と問題点の解決策
最終更新日:2023.07.25 お役立ち情報
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「太陽光発電とかメガソーラーは環境に悪いと聞いたけど本当なの?」「太陽光発電との違いは何?」と疑問を覚えている方もいるのではないでしょうか。
メガソーラーには、環境に良い面と環境に悪い面があります。また、太陽光発電の中でも設備規模が大きいため、その分設置場所への影響も無視できません。
なお、住宅用太陽光発電と異なる特徴を持っているので、これから自宅に太陽光パネルを設置する方にとって直接的に関係のある内容ではありません。しかし、同じ太陽光発電のメガソーラーに関する環境への負荷が気になる方にとっては、詳しく知りたいところです。
そこで今回は、メガソーラーが環境に与える影響と一般的な太陽光発電との違いと特徴、環境破壊を防ぎながら普及を進める方法などを解説しています。
環境問題が気になる方や太陽光発電に期待しているもののメガソーラーの環境負荷が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
メガソーラーとは?
まずは、メガソーラーの特徴や用途について確認していきましょう。
1MW以上の大規模な太陽光発電所
メガソーラーとは、産業用太陽光発電の中でも1MW以上の大規模な太陽光発電システムのことです。産業用太陽光発電は、出力10kW以上の太陽光発電を指しています。
1MW(1,000kW)の太陽光発電所は、3ha程度の土地面積が必要になります。たとえば、サッカー場の面積に対して1.5倍程度の面積が必要になるので、住宅用太陽光発電や一般的な産業用太陽光発電よりも非常に大規模な設備ということがわかります。
導入費用については億単位のため、主に企業が導入している設備でもあります。
用途は売電や自家消費などさまざま
主に企業が導入しているメガソーラーは、FIT・FIPを利用した売電や自家消費、小売電力事業などに活用されています。
FIT・FIP制度は、再生可能エネルギーの普及を促進させるための支援制度で、それぞれ以下のような仕組みです。
FIT制度 |
10年間、もしくは20年間、固定の単価で発電した電気を買い取ってもらえる |
FIP制度 |
電力卸市場の電力単価にプレミアムという補助金が上乗せされた金額で、電力を20年間買い取ってもらえる ※単価は電力需要の変動に合わせて変化する |
両制度を活用することで費用回収の見通しを立てやすくできるほか、売電収入を得られるのが大きなメリットです。特にFIP制度は、電力需要の高い時間帯に売電を行うことで、収益を伸ばせます。
自家消費は、メガソーラーで発電した電気を自社の建物や設備に供給し、消費していく運用方法を指しています。自社の敷地内にスペースがあれば、送配電網不要で自家消費を行うことが可能です。
自社の敷地内にスペースがない場合は、遠隔地の広い土地を購入し、メガソーラーを設置することで対応できます。ただし、送電設備が必要のため、一般送配電事業者の所有管理している送配電設備を利用しなければいけません。このような方式を自己託送方式と呼び設備の利用料がかかるものの、自社の建物へ送電できるようになります。
その他、電力小売事業を手掛けている企業の場合は、メガソーラーを導入することで、再生可能エネルギーを活用した電気料金プランを構築できます。また、発電所を所有していない場合は、メガソーラーの設置によって発電コストを抑えながら電力供給を行うことも可能です。
このようにメガソーラーは、ニーズの高い再生可能エネルギーといえます。
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一般的な太陽光発電とメガソーラーの違い
メガソーラーと一般的な太陽光発電の大きな違いは、設備の規模と用途です。
前段でも触れたようにメガソーラーは、MWクラスの太陽光発電所を指しており、主に事業用に活用されます。
一方、一般的な太陽光発電は、出力10kW未満の住宅用太陽光発電をはじめ、出力1MW未満の中規模な事業用太陽光発電を指します。特に住宅用太陽光発電は個人向けの設備で、光熱費負担の削減や副収入としての用途がメインといえます。
メガソーラーは環境破壊につながる?
メガソーラーの設置が環境破壊につながるかどうかは、施工事業者の管理や設置場所の状況によって変わります。
それでは、環境破壊とメガソーラーの関係性について解説します。
施工業者の不備で環境破壊につながるリスクも
施工業者の問題でメガソーラーの設置工事に不備が発生した場合、太陽光パネルの飛散や土砂の流出による周辺住民への被害といったリスクも出てきます。
さらに太陽光発電事業者自身が、貸与校パネルなどを適切に廃棄しなければ、不法投棄および環境破壊につながります。
このようなケースは、メガソーラーそのもののというよりも設備を運用する企業や人の問題です。また、メガソーラーの設置や運用を適切に行えば、地盤の弱い場所への設置を避けられますし、しかるべき方法で廃棄を進められます。
つまり、太陽光パネルの廃棄や土砂流出といった環境破壊問題は、事業者側の責任であり防ぐことが可能です。
生態系や景観への影響
メガソーラー事業を始めるためには、大規模な土地開発を行う必要があります。特に山林など自然の多い土地を開拓し、太陽光パネルを設置するケースが一般的です。
しかし、メガソーラー事業の乱立による土地開発の増加は、自然環境や生態系への影響が心配されます。また、無計画なメガソーラー設置は、景観破壊にもつながり大きな問題です。
メガソーラーにはエネルギーの自給自足、二酸化炭素排出量の減少といったメリットもあるので、開発に関する一定の規制やルールの遵守が求められます。
山林に設置する場合は森林の伐採が必要になる
未開拓の山林にメガソーラーを設置する場合は、森林の伐採を行う必要があります。特に環境破壊として認識されている大きな理由は、この森林伐採が関係しています。
森林は二酸化炭素を吸収し酸素を排出してくれるので、環境を守る上で欠かせない存在です。また、気候変動問題の原因は二酸化炭素とされているため、脱炭素や省エネ、森林の保護を重視していくべき状況でもあります。
しかし、メガソーラー事業を始めるためには、山林を含む広い土地が必要とされます。ルールを設定せずにメガソーラーが乱立してしまうと、環境破壊を招く危険性もあり注意の必要なポイントです。
このような問題を防ぐために国や自治体では、メガソーラーに関する規制強化を行っています。
たとえば、2017年に兵庫県では、5,000㎡以上の面積を必要とする太陽光発電事業に対して、地域住民向けの説明会実施や事業計画の届出などを条例によって義務付けました。
農地転用による食料自給率への影響
耕作放棄地や農地は、農地転用後に太陽光発電用地として活用されるケースもあります。
しかし、メガソーラー事業のために農地転用された土地は、あとから農地へ戻すことの難しい環境へ変わります。
日本は食料を輸入に頼っている状況で、国際情勢や為替などの急変で食料供給という点で課題を抱えています。そこで農地の保護や農家さんの育成・増加は、私たちの食・生活を守る上で外せない要素です。
メガソーラーによるエネルギーの自給自足も重要ですが、食料安定供給への影響を与えない範囲で開発を進める必要もあります。
メガソーラーの課題やデメリット
続いては、メガソーラーの環境以外における課題やデメリットを解説します。
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初期費用の負担が大きい
冒頭でも触れたようにメガソーラーの初期費用は億単位におよびます。そのため、比較的小規模なエネルギー事業を展開したい企業にとっては、導入の難しい再生可能エネルギーです。
ただし、太陽光発電事業を展開したい場合は、メガソーラーより小さな規模で検討することが可能です。たとえば、出力50kWクラスの産業用太陽光発電なら、経済産業省の「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」に示されている単価で計算した場合、1,255万円前後で設置できます。
また、太陽光発電は、他の再生可能エネルギーよりもコストが安く、地上設置や屋根設置などさまざまな場所で設置運用できるのも強みです。
出典:経済産業省ウェブサイト(令和6年度以降の調達価格等に関する意見)
地域住民とのトラブルリスク
特にメガソーラー事業の場合は、地域住民とのトラブルリスクが生じやすいといえます。
メガソーラー事業のためには、山林などの土地を開発する必要があります。しかし、ルールを守られない開発であれば環境破壊につながり、地域住民にとっても大きな被害を招きます。
また、事前の説明や情報共有、話し合いが進んでいなければ、景観破壊・自然環境破壊というイメージで見られてしまい反発を招きます。
反発を避けるためには、事業計画段階で自治体や住民向けに説明会や話し合いの場を設け、慎重に事業を進めていくことが大切です。
なお、2024年4月からは、FITやFIP制度を受ける事業者の中で一定規模以上の太陽光発電を設置する事業者に対して住民説明会の義務化が成立しています。
災害で破損するリスクがある
メガソーラーにかぎらず太陽光発電設備は、台風や地震といった災害の影響を受けやすい側面があります。そのため、防災対策や復旧に手間とコストがかかるのも、デメリットの1つです。
たとえば、台風や暴風では、架台と太陽光パネルを固定する金具の破損などからパネル飛散やパネルの割れ、歪みといった被害につながります。
他にも地震による揺れで地割れを起こしてしまうと、土台ごと破損してしまい設備の全改修や交換といった事態を招きます。また、土砂災害に巻き込まれて、設備ごと流れされてしまい、第三者へ被害を与える危険性もあります。
さらに、洪水や津波などで水没してしまうと、漏電および感電事故のリスクも発生するなど、注意すべきポイントの多い設備です。
対策としては、土地の選定段階で災害リスクを調査し、地盤の強化や防災対策に力を入れるのが大切です。保険に加入しておくのも災害による損害をカバーする上で欠かせません。
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メガソーラーのメリット
メガソーラーと環境破壊の関係性、デメリットを中心に解説してきましたが、もちろんメリットもあります。
そこでここからは、メガソーラーのメリットについて解説していきます。
脱炭素化による環境負荷の軽減
メガソーラー事業の導入は、脱炭素化という点で環境負荷の軽減につながります。
もちろんメガソーラーを乱立させるのは、森林伐採という点で注意すべきポイントでもあります。しかし、気候変動の原因とされるのは、産業や家庭で排出されている二酸化炭素です。
電力会社の主な電源は火力発電で、化石燃料の燃焼が伴います。そのため、供給された電力を使用する場合、電力消費量に応じて間接的な二酸化炭素排出を促していることにつながります。
自社で設置したメガソーラーで自家消費を行えば、電気代を大幅に削減できるほか、電力会社からの買電量を削減することも可能です。また、発電時に二酸化炭素を排出しないため、事業活動を続けながら環境負荷の軽減に貢献できます。
企業価値の向上
メガソーラーや太陽光発電の導入は、企業価値の向上につながります。
前段で解説したようにメガソーラーを導入すれば、環境負荷の軽減に貢献できます。
また、脱炭素経営を行う上でメガソーラー事業は、わかりやすい内容です。たとえば、発電および自家消費に伴う二酸化炭素排出削減実績を明確に示せるため、環境に配慮した企業として消費者や投資家、取引先にアピールすることが可能です。
脱炭素経営において自社の製品やサービスに環境価値を付けたり生産活動の見直しを図ったりするには、時間とコスト・技術が必要になります。
一方、メガソーラーの施工や運用保守は専門業者に依頼できるため、自社のリソースを温存した状態で脱炭素経営にシフトできます。
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FIP制度を活用して売電収入を得られる
メガソーラーの導入時にFIP制度の認定を受ければ、スムーズに売電事業を始められますし、プレミアムという補助収入を得ながら長期的に事業を展開できます。
FIP制度は、出力50kW以上の太陽光発電所を対象とした制度です。また、出力250kW以上の太陽光発電はFIPへの移行が義務付けられているので、FIT制度を利用できません。
つまり、メガソーラーで支援制度を利用できるのはFIP制度のみです。
同制度は、電力卸市場の市場価格と連動した単価にプレミアムという補助収入が上乗せされた売電単価で20年間売電を行えます。また、電力需給バランスに合わせて発電する必要があるため、アグリゲーターという電力の調整サポートを行う企業との連携が必要になります。
FIT制度とは異なり固定単価ではないものの、電力需要の高い時間帯に売電量を増やせば収益を伸ばせます。また、補助収入を得ながら本格的な発電事業へ進出できるのは、FIP制度を利用するメリットです。
環境破壊を防ぎながらメガソーラーや太陽光発電を普及させる方法
環境破壊を防ぎながらメガソーラーや太陽光発電を普及させることは可能です。具体的には、以下の対策などが考えられます。
問題点 |
解決策 |
森林伐採 |
・ソーラーシェアリング |
自然災害リスク |
・ソーラーシェアリング |
不法投棄 |
・廃棄費用の積み立て義務化 |
ソーラーシェアリング
ソーラーシェアリングは、農地を利用して農業と太陽光発電を同時に行う取り組みです。
具体的には、農地に立てた支柱など特注の架台を設置し、その上に太陽光パネルを設置します。また、太陽光パネル同士の間には隙間があるので、光を遮ることなく農業を継続できます。
農地転用による太陽光発電事業と異なり農地を有効活用できるため、森林伐採、自然災害リスクの増大を防げます。
廃棄費用の積み立て義務化
太陽光パネルの不法投棄に対処するため、固定買取制度を利用する事業者に対し廃棄費用の外部積み立てが義務化されることになりました。具体的には、2022年7月に義務化されています。
対象の設備は、出力10kW以上のFIT・FIP型太陽光発電です。
流れとしては、FIT・FIP制度の終了年から10年前の時点で毎月の売電収入から廃棄費用分だけ差し引かれることになります。また、廃棄費用の単価は、FIT・FIPの認定を受けた年と太陽光発電の出力によって変わる仕組みです。2021年度に出力250kW以上の太陽光発電で認定を受けた場合は、1kWhにつき0.66円の積立額が発生します。
廃棄費用積立制度によって、太陽光パネルの不法投棄は減少すると考えられます。
出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(太陽光発電設備の廃棄等費⽤積⽴制度について)
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信頼できる太陽光発電業者を選び施工不良などを防ぐ
環境破壊を防ぐ方法として、信頼できる業者を選ぶことも挙げられます。
なぜなら実績と技術、信頼のある業者は、環境面への配慮もしっかりと行っていることが多いからです。
最初にチェックすべきポイントは、業者の実績です。実績の豊富な施工販売業者は、多くのユーザーから支持されていて、口コミや評判などもあります。そのため、口コミサイトなどから細かな評判を確認できます。
また、実績が多いということは大きな問題を起こしていないことにもつながるため、信頼性が高いと考えられます。
もう1つは、アフターフォローの確認です。アフターフォローサービスの充実している施工販売業者は、設備を売りっぱなしにせずメガソーラーを適切に管理しているといえます。
そのため、信頼性が高いと考えられます。また、O&Mサービスを利用すれば、定期点検や防災対策、修理交換といったよりきめ細やかなサポートを受けられるので、同サービスの活用も重要なポイントです。
メガソーラーはまだまだ将来性のある設備
メガソーラーは、施工販売業者や運用者のモラルなどによって、環境破壊もしくは環境に優しい設備稼働か変わる側面もあります。
つまり、メガソーラー自体の問題よりかは、設備を運用する人の問題が大きいといえます。
そのため、以下のようなポイントを守れば、将来性の高い発電設備です。
- 災害リスクを確認した上での土地選定
- 状況に応じた地盤強化の工事
- 自治体や住民への説明と話し合い
- 環境に配慮しながら土地開発を行う
- 実績と技術力のある業者による設置工事
- O&M業者を活用した適切な管理
- 稼働終了は指定の方法に沿った廃棄
- ソーラーシェアリングなどの活用
こちらのページでは、太陽光発電の将来性について解説していますので詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
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まとめ
メガソーラーが環境破壊につながるかどうかという点は、状況に応じて変わります。たとえば、施工不良や造成工事の不備による土砂流出、景観の悪化といった問題は、施工販売業者や太陽光発電事業者の問題です。また、メガソーラーには、二酸化炭素排出削減というメリットがあり、環境負荷の軽減に貢献しています。
なお、個人レベルでの環境保護や電気代負担の解決策を考える時は、住宅用太陽光発電と蓄電池の導入がおすすめです。
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