蓄電池の容量とは?選ぶ際の考え方、家電の例まで徹底解説!
最終更新日:2025.09.17 蓄電池


太陽光発電の固定価格買取期間がもうすぐ終わるから蓄電池を導入したいけど、どの容量を選べばいいんだろう?

停電時にどれくらいの家電が使えるのか、想像がつかない…

蓄電池の専門用語が多すぎて、選び方がわからない!
家庭用蓄電池の導入を検討されている方で、このようなお悩みをお持ちの方はいませんか?
特に蓄電池の容量は、自宅の電気の使い方や停電時の備えに直結するため、最初に悩むポイントの一つです。
5kWh前後の比較的小さなものから16.6kWhの大容量タイプまで、様々な製品があり、何を基準に選べば良いのか迷ってしまうのは当然でしょう。
この記事では、家庭用蓄電池の容量に関する基本的な知識から、ご自身のライフスタイルに合った最適な容量を見つけるための選び方、停電時にどの家電がどれくらい使えるのか具体的な例を交えて徹底的に解説します。
蓄電池の検討を始めたばかりの方も、専門用語でつまずいている方も、この記事を読めばきっと疑問が解消され、最適な蓄電池選びの一歩を踏み出せるはずです。
ぜひ最後まで読んで、ご自宅にぴったりの一台を見つける参考にしてください。
ご相談だけでも大歓迎です!
土日祝営業・営業時間 10:00~19:00
目次
蓄電池の容量とは?

家庭用蓄電池を選ぶ上で最も重要な要素の一つが容量です。ここでは、蓄電池の容量と出力について、それぞれの意味をわかりやすく解説します。
容量とは
蓄電池の容量とは、蓄電池にどれだけの電気を貯められるかを示す量のことです。単位は「kWh(キロワットアワー)」で表されます。この数値が大きいほど、より多くの電気を貯めることができ、停電時に長時間電気を使えたり、自家消費できる量が増えたりします。
例えば、5kWhの蓄電池は5,000Whの電気を貯めることができ、これは消費電力100Wの家電を50時間使える計算になります。
出力とは
蓄電池の出力とは、蓄電池から一度にどれだけの電気を供給できるかを示すパワーのことです。単位は「kW(キロワット)」で表されます。出力が大きいほど、同時に多くの家電製品を使ったり、消費電力の大きい家電(IHクッキングヒーターやエアコンなど)を使ったりすることが可能になります。
例えば、定格出力3kWの蓄電池であれば、合計3kW(3,000W)までの家電を同時に動かせます。
容量が大きくても出力が小さいと、同時に使える家電の数が限られるため、容量と出力の両方をバランス良く考えることが重要です。
【蓄電池と容量と出力のイメージ】

蓄電池容量と家電使用時間の目安

蓄電池の容量によって、停電時に使用できる家電や時間が大きく異なります。ここでは、代表的な容量ごとに、どのような家電がどれくらいの時間使用できるのか、具体的な例を挙げて解説します。ご家庭での電気の使い方をイメージしながらご覧ください。
5kWhの場合
5kWhの蓄電池は、必要最低限の家電を動かすのに適した容量です。停電時でも情報を得たり、食事をしたりといった「いのちを守るための電気」を確保できます。
家電製品名 | 消費電力の目安 | 5kWでの使用可能時間 |
冷蔵庫(400L) | 40W | 約125時間(約5日) |
LED照明(リビング) | 30W | 約166時間(約7日) |
スマートフォン充電 | 10W | 約500時間(約20日) |
テレビ(32型) | 100W | 約50時間(約2日) |
Wi-Fiルーター | 10W | 約500時間(約20日) |
ポット・炊飯器(保温) | 30W | 約166時間(約7日) |
例:冷蔵庫、携帯電話充電、Wi-Fiルーター、リビング照明、テレビを同時に使用した場合
合計消費電力:40W + 10W + 10W + 30W + 100W = 190W
5kWh ÷ 190W ≒ 約26時間
この組み合わせで、約1日強、電気を使用し続けることができます。最低限の生活を維持するには十分な容量と言えるでしょう。
10kWhの場合
10kWhの蓄電池は、日常に近い形で電気を使いたい場合に検討される容量です。消費電力の大きい家電も一部動かせるため、夏のエアコンや冬の暖房など、快適性を保つための電力も確保しやすくなります。
家電製品名 | 消費電力の目安 | 10kWでの使用可能時間 |
冷蔵庫(400L) | 40W | 約250時間(約10日) |
LED照明(リビング) | 30W | 約333時間(約14日) |
スマートフォン充電 | 10W | 約1,000時間(約41日) |
テレビ(32型) | 100W | 約100時間(約4日) |
Wi-Fiルーター | 10W | 約1,000時間(約41日) |
エアコン(暖房/冷房) | 500W | 約20時間 |
IH調理器(1口) | 1,400W | 約7時間 |
電子レンジ | 1,000W | 約10時間 |
例:冷蔵庫、携帯電話充電、Wi-Fiルーター、リビング照明、テレビ、エアコンを同時に使用した場合
合計消費電力:40W + 10W + 10W + 30W + 100W + 500W = 690W
10kWh ÷ 690W ≒ 約14.5時間
エアコンを使用しても半日以上は電気を供給できる計算になります。災害時でも比較的快適に過ごしたいと考える方におすすめです。
15kWhの場合
家電製品名 | 消費電力の目安 | 10kWでの使用可能時間 |
冷蔵庫(400L) | 40W | 約375時間(約15日) |
LED照明(リビング) | 30W | 約500時間(約20日) |
スマートフォン充電 | 10W | 約1,500時間(約62日) |
テレビ(32型) | 100W | 約150時間(約6日) |
Wi-Fiルーター | 10W | 約1,500時間(約62日) |
エアコン(暖房/冷房) | 500W | 約30時間 |
IH調理器(1口) | 1,400W | 約10.7時間 |
電子レンジ | 1,000W | 約15時間 |
洗濯機 | 200W | 約75時間 |
エコキュート(給湯のみ) | 1,500W | 約10時間 |
例:冷蔵庫、携帯電話充電、Wi-Fiルーター、リビング照明、テレビ、エアコン、IH調理器を同時に使用した場合
合計消費電力:40W + 10W + 10W + 30W + 100W + 500W + 1400W = 2,090W
15kWh ÷ 2,090W ≒ 約7時間
消費電力が大きい家電を複数同時に使っても、停電が長引く中で一定時間電気を供給できる安心感があります。特に小さなお子様がいるご家庭や、高齢の方と同居されているご家庭で、災害時の生活の質を重視したい場合に有効な選択肢となります。
※上記の消費電力や使用時間は一般的な目安であり、ご家庭の家電製品の種類や使用状況によって異なります。
また、蓄電池の出力(kW)が低いと、容量があっても同時に使用できる家電の種類や数が制限される場合があります。必ず事前に蓄電池の性能を確認することをおすすめします。
蓄電池の容量の選び方

蓄電池の容量を選ぶ際には、ご家庭の電気の使用状況やライフスタイル、そして導入する目的によって最適な選択肢が変わってきます。ここでは、具体的な選び方のポイントを詳しく解説します。
電化製品の種類と使用時間で決める
最も直感的で分かりやすい選び方の一つが、ご自宅で使用したい電化製品の種類と使用時間を考慮する方法です。
・停電時に最低限使いたい家電をリストアップ
冷蔵庫、照明、携帯電話の充電など、生活に不可欠なものを優先します。それぞれの消費電力を確認し、何時間使いたいかを計算します。
・普段通り使いたい家電も考慮
エアコン、IHクッキングヒーター、電子レンジなど、停電時でも快適に過ごすために使いたい家電があれば、それらの消費電力と使用時間も加算します。
・合計消費電力から必要容量を算出
リストアップした家電の消費電力と使用時間を合計し、必要な総電力量(kWh)を算出します。この数値が蓄電池の選定基準となります。
前述の「蓄電池容量と家電使用時間の目安」を参考に、ご自身のライフスタイルに合わせてシミュレーションしてみましょう。
太陽光発電の有無で決める
太陽光発電システムの設置状況も、蓄電池の容量選びに大きく影響します。
太陽光発電がある場合
既に太陽光発電システムを設置しているご家庭の場合、蓄電池の主な役割は、発電した電気の自家消費率向上と売電の最適化、そして停電時の電力確保です。
FIT(固定価格買取制度)期間中の場合は売電優先、FIT期間終了後は自家消費優先で考えるのが一般的です。
・FIT終了後
太陽光発電で発電した電気を余すことなく自家消費するために、1日の発電量と自家消費量を考慮して容量を選びます。余った電力を効率よく貯めて、夜間や悪天候時に使用することで、電力会社からの買電量を大幅に削減できます。
・FIT期間中
売電単価が高い場合は、日中の余剰電力を売電し、夜間は蓄電池に貯めた安い夜間電力を使う「ピークシフト」を目的とすることが多いです。この場合、夜間の消費電力を賄える容量が目安となります。
太陽光発電がない場合
太陽光発電システムを設置していないご家庭では、蓄電池の主な役割は電気料金の安い夜間電力の活用(ピークシフト)と停電対策になります。
・ピークシフト
時間帯別料金プランに加入している場合、夜間の安い電気を蓄電池に貯め、電気料金が高い昼間や朝晩に放電して使用することで、電気代の削減効果が期待できます。この場合、電気料金の高い時間帯の消費電力量を賄える容量が目安となります。
・停電対策
純粋に停電時の備えとして導入する場合は、前述の「電化製品の種類と使用時間」で考えた必要容量が基準となります。
世帯人数で決める
世帯人数も、家庭の総消費電力量に直結するため、蓄電池の容量選びにおいて重要な要素となります。一般的に、世帯人数が増えるほど消費電力量も増加するため、必要な蓄電池容量も大きくなる傾向にあります。
世帯人数別のおすすめ容量
●一人暮らし:主に照明、冷蔵庫、PC、スマートフォンの充電などが中心。必要最低限の電力であれば5kWh前後でも十分な場合が多いです。
●夫婦二人暮らし:基本的な家電に加えて、エアコンや電子レンジの使用頻度も上がります。停電時の安心感や節電効果を考慮すると、5~10kWh程度の容量が選択肢となります。
●小さなお子様がいる三人家族:お子様の成長とともに家電の使用が増え、消費電力は増加傾向にあります。特に夏や冬のエアコンなど、快適な生活を維持するためには、10kWh以上の容量を検討するのがおすすめです。
●四人以上の大家族や二世帯住宅:複数の家電を同時に使う機会が多く、消費電力も高くなります。災害時も普段通りの生活を維持したい、太陽光発電との連携で大幅な節電効果を狙いたい場合は、10kWh〜15kWh以上の大容量タイプが適しています。
蓄電池の使用目的別に決める
蓄電池を導入する目的によっても、最適な容量は異なります。主な目的ごとに見ていきましょう。
節電
電気代の削減を主な目的とする場合、ご契約中の電気料金プランとご家庭の消費電力量が重要になります。
・時間帯別料金プラン(オール電化含む)
夜間の安い電気を蓄電池に貯め、料金の高い昼間や朝晩に使用する「ピークシフト」で節電を目指します。この場合、昼間や朝晩に消費する電力量を賄える容量が目安となります。
・太陽光発電との連携
太陽光発電の余剰電力を蓄電池に貯めて自家消費することで、電力会社からの買電量を減らし節電します。この場合、1日の余剰発電量と夜間の消費電力量を考慮した容量が適しています。
売電
太陽光発電のFIT制度が終了し、売電単価が大幅に下がった後に、余剰電力を少しでも高く売りたい(相対的に)と考える場合も蓄電池は有効です。
・自家消費優先+余剰分を貯蔵
発電した電気はまず自家消費し、それでも余る電気を蓄電池に貯めます。貯めた電気を、より電気料金単価が高い時間帯に売電したり、電力市場の価格変動に応じて最適なタイミングで売電する(VPP対応蓄電池など)ことで、売電収入を最大化できる可能性があります。この場合は、1日の余剰発電量を効率的に貯められる容量が目安となります。
災害発生時の停電対策
近年頻発する自然災害に備え、停電時でも安心して電気を使いたいという目的で蓄電池を導入する方が増えています。
・使用したい家電と期間を想定
停電時に「どの家電を」「どれくらいの時間(日数)」「何日分」使いたいかを具体的にシミュレーションし、合計の必要電力量を算出します。
・ライフライン維持
冷蔵庫、照明、通信機器(スマホ充電、Wi-Fiルーター)など、最低限の生活を維持するための容量であれば5~10kWhが目安。
・普段通りの生活
エアコン、IHクッキングヒーター、電子レンジなど、消費電力の大きい家電も使いたい場合は、10~15kWh以上の大容量が安心です。
家族構成や、小さなお子様や高齢の方と同居しているかといった状況によって、必要な停電対策レベルは変わってきます。
蓄電池を選ぶ時の考え方
蓄電池の容量選びだけでなく、製品選定には他にも考慮すべき重要なポイントがあります。ここでは、容量以外の視点から、蓄電池選びの考え方をお伝えします。
定格容量ではなく、実効容量を基準に考える
蓄電池の容量には「定格容量」と「実効容量」の2種類があります。
蓄電池の容量の種類
●定格容量:蓄電池自体に貯められる最大の電気量を示すカタログ上の数値です。
●実効容量:実際に家電製品などに供給できる電気量で、定格容量よりも10〜15%程度少ない値で設定されているのが一般的です。これは、蓄電池の寿命を延ばすために完全に放電しきらないように設けられた「セーフティー容量」があるためです。(一部機種では残量0%になると停電時に起動できないものもあります)
家庭用蓄電池を選ぶ際は、カタログに記載されている定格容量だけでなく、実際に使用できる「実効容量」を基準に考えることが非常に重要です。
【メーカー別定格容量と実効容量の目安】
メーカー | 定格容量(kWh) | 実効容量(kWh) |
Looop | 11.5 | 9.7 |
京セラ | 11 | 9.4 |
長州産業 | 12.7 | 10.9 |
シャープ | 9.5 | 8.1 |
HUAWEI | 15.3 | 14.3 |
ニチコン | 16.6 | 14.4 |
定格容量しか確認できない場合は、定格容量から1kWh程度を差し引いた値を実効容量の目安として検討してみることをおすすめします。
設置場所の条件を考える
蓄電池は、エアコンの室外機に近いサイズ感のものが多く、設置場所の確保も重要です。メーカーやシリーズによって、屋内専用、屋外専用、屋内と屋外設置可能の3種類に分かれています。
・屋外設置
日当たりや風通しの良い場所を選び、基礎工事が必要になることがあります。外観への影響や、塩害地域での耐久性なども考慮が必要です。
・屋内設置
比較的薄型・軽量なタイプが多く、リビングや玄関、納戸などに設置できます。温度や湿度の影響を受けにくいメリットがありますが、設置スペースの確保と、稼働音への配慮が必要になる場合があります。
自宅の外観をそのまま保ちたい、屋外に十分なスペースがないといった場合は、薄型軽量の屋内設置型や屋内・屋外兼用の蓄電池を選ぶ方がいいでしょう。
容量と価格のバランスを考える
蓄電池の導入には初期費用がかかります。容量が大きくなるほど総額は上がる傾向にありますが、必ずしも高ければ良いというわけではありません。ご自身の目的や予算に合った容量と価格のバランスを見極めることが重要です。
経済産業省によると、2024年度の家庭用蓄電池の価格相場は、1kWhあたり15~20万円(税別)となっております。容量が小さい蓄電池(例:5kWh程度)は割高になる傾向があり、大容量になるほど1kWhあたりの単価は下がる傾向にあります。
出典:「2024年度第5回定置用蓄電システム普及拡大検討会」|経済産業省
例えば、1kWhあたり20万円と仮定した場合、容量10kWhであれば初期費用は200万円前後となります。
初期費用を抑えたい場合は補助金制度の活用も検討してみましょう。容量が大きければ大きいほど良いというわけではなく、ご家庭の消費電力量やライフスタイル、導入目的と照らし合わせて、費用対効果の高い最適な容量を選ぶことが長期的な満足度につながります。
蓄電池の価格をより詳しく知りたい方は、こちらのコラムも参考にしてみてください。
関連コラム:家庭用蓄電池の価格相場と導入費用はいくら?今後の動向についても解説|エコでんち
世帯人数で決める家庭用蓄電池の選び方で押さえてくべき最初のポイント

家庭用蓄電池の選び方で押さえておくべき最初のポイントは、何を目的として使用するかというところです。
住宅用太陽光発電の余剰電力を貯めておきたい場合は、発電量や余剰電力に合わせて蓄電容量や機能を比較していく必要があります。
一方、オール電化プランや時間帯別プランに契約していて、夜間など電力量料金の安い電力を活用したい場合は、日中や電力量料金の高い朝晩の時間帯にどれだけ電気を消費しているか確認しておきましょう。
消費電力量に合った蓄電容量を基準にすれば、充電量不足もしくは導入費用の高いオーバースペックの蓄電池を選ぶリスクを抑えられます。
また、災害・停電対策として蓄電池を導入したい場合は、停電時にどの家電製品や機器を使用したいのか、何日程度の停電を想定しているのか、といった点を基準に蓄電容量を考えていくのも大切です。
さらに、停電時の出力や動作方式などは製品によって異なるため、このような機能も確認する必要があります。
蓄電池導入のメリット
蓄電池を導入することで得られるメリットは以下の通りです。
蓄電池導入のメリット
●電気代を削減できる
●太陽光発電と連携しながら自家消費、売電ができる
●停電時でも電気を活用できる
●太陽光発電との連携でエコに貢献できる
時間帯別プランやオール電化向けプランに加入している場合は、蓄電池単体の導入でも電気代を削減できる可能性があります。電力料金単価の安い時間帯に蓄電池へ電気を貯めておき、電力量料金単価の高い時間帯に自家消費することで電気代負担を軽減できます。
また、太陽光発電と連携していれば、時間帯別プラン以外に加入している方も電気代を安くすることができます。昼間に太陽光発電で作った電気を貯めて、夜間などに使用することで電気代を効率的に削減することが可能です。
他にも、蓄電池には停電時に電気を供給できる自立運転モードが搭載されているのも強みです。そのため、非常用電源を探している方にもメリットの多い住宅設備といえます。
更に、蓄電池を導入することで環境負荷を減らすこともできます。
CO2の排出量=0.459(kg- CO2/kWh) ※2023年8月4日公開の中部電力の資料より
5kWhの蓄電池に太陽光発電で作った電気をためて毎日使用した場合、837kgものCO2を削減することができます。これは杉の木約60本分に相当するCO2削減効果を生み出すことが可能です。
蓄電池導入のデメリット
蓄電池導入の主なデメリットは、以下の通りです。
蓄電池導入のデメリット
●蓄電池単体での大幅な電気代削減は難しい
●導入の初期コストがかかる
●一定の設置スペースが必要
家庭用蓄電池には発電機能がありません。そのため、単体で導入した場合は、電力会社から供給されている電気を活用しながら充放電を行う必要があります。つまり、時間帯ごとに電力量料金が変わるプランに加入していなければ、電気代の削減効果を得られません。
蓄電池を活用して電気代を大幅に削減したい場合は、太陽光発電との連携がおすすめです。
また、蓄電池の導入には初期費用がかかるため、費用負担を避けたい方にとってデメリットといえるポイントといえます。使える補助金制度があれば活用するなどしてみましょう。
設置スペースに関しては、それほど大きなデメリットではありません。近年では小型かつ屋内のさまざま場所に設置可能なタイプの蓄電池も販売されており、どのご家庭でも導入しやすい設備といえます。
蓄電池の価格の目安
2024年度の家庭用蓄電池の価格相場は、1kWhあたり15~20万円(税別)となっております。容量が小さい蓄電池(例:5kWh程度)は割高になる傾向があり、大容量になるほど1kWhあたりの単価は下がる傾向にあります。
より詳しく知りたい方はこちらのコラムも参照してください。
関連コラム:家庭用蓄電池の価格相場と導入費用はいくら?今後の動向についても解説|エコでんち
kWhとは蓄電容量のことです。家庭用蓄電池には、5kWhや7kWh、10kWhなどさまざまな容量の製品があります。1kWhあたりの価格を把握しておけば、各容量の大まかな初期費用を計算することが可能です。
たとえば、1kWhあたり20万円と仮定した場合、容量10kWhであれば初期費用200万円前後となります。
家庭用蓄電池の選び方で知っておくべき項目

家庭用蓄電池の選び方について調べる際は、蓄電容量だけでなく定格出力や自立運転など、いくつかの項目について把握しておく必要があります。
それぞれの項目を把握しておけば、選び方のポイントについて調べた際にすぐ理解できるようになります。
それでは、家庭用蓄電池の選び方で知っておくべき主な項目をわかりやすく解説していきます。
蓄電容量
家庭用蓄電池を選ぶ際は、前段でも触れたように「蓄電容量」を理解しておきましょう。
蓄電容量は、家庭用蓄電池に充電可能な電気の量を指しています。
カタログやメーカーHP、販売店HPなどには、○○kWhという表記で記載されています。メーカーによって種類は異なるものの、いくつかの容量ラインナップから選択できることが多いです。
そして、蓄電池のカタログには、定格容量と実効容量もしくは定格容量のみ記載されています。
定格容量とは、ある条件下で貯められる蓄電容量のことです。一方、実効容量は、実際に貯められる蓄電容量を指しています。また、定格容量から10~15%程度少ない値で設定されているのが特徴です。
蓄電容量を比較する際は、実効容量をカタログで確認したり販売店に質問したりしてみるのが大切です。
サイクル数
蓄電池のサイクルとは、充電容量0%の状態から満充電まで充電し、再度0%まで使い切った状態のことです。
また、家庭用蓄電池には、それぞれサイクル数が設定されています。
サイクル数と蓄電容量を組み合わせれば寿命の目安として活用できるため、耐久性を比較する際の基準値として役立ちます。
現在販売されている家庭用蓄電池のサイクル数については、6,000~12,000サイクルの製品が多い傾向です。
サイクル数と蓄電容量から寿命(総使用量)を調べたい時は、蓄電容量×サイクル数という計算で比較してみましょう。
たとえば、5kWh×8,000サイクル数と8kWh×6,000サイクル数では、以下のような計算になります。
寿命(総使用量)の計算
寿命(総使用量)の計算
●5kWh×8,000サイクル=40,000kWh
●8kWh×6,000サイクル=48,000kWh
サイクル数だけで見ると、5kWhの方が長く使用できるように感じます。しかし、蓄電容量を含めた総使用量で見た場合は、8kWh×6,000サイクルの方が長く使用できます。
ただし温度や湿度、充放電の出力値など検査方法に規格が無いため、どこまで参考にするかが難しい項目ではあります。
サイクル数に関する詳細は、以下の記事で解説しています。より深く知りたい方は、こちらもぜひ参考にしてみてください。
関連記事:家庭用蓄電池の寿命と耐用年数は?長く使うコツをどこよりも丁寧に解説!|エコでんち
定格出力と自立運転出力
蓄電池の定格出力は、放電可能な電気のパワーを指しています。
たとえば、定格出力3kWの蓄電池を使用する場合、掃除機や冷蔵庫などといった家電製品・電子機器の合計消費電力3kWまで同時に電力を供給することが可能です。
そのため、定格出力が高ければ高いほど、同時に放電できる家電製品・電子機器の数・種類を増やせます。オール電化で消費電力の多い家などは、なるべく定格出力の高い蓄電池を導入する方が出力不足による買電量を減らすことが期待できます。
自立運転出力に関しては、停電時の自立運転モードで適用される出力です。停電時に複数の機器へ電気を供給したい場合は、自立運転出力の高さもチェックしておきましょう。
ただし、出力が高いからといって非常時(停電時)に多くの家電を利用することが良いかどうかは疑問が残る問題ではあります。本当に電気が必要な時に蓄電池の容量が空っぽだと困りますからね。
蓄電池の運転動作
家庭用蓄電池にさまざまな運転動作(運転モード)が可能です。
多くの製品に共通しているのは、経済モード・グリーンモード・安心モードの3種類です。※メーカーや製品により呼称が異なります。
経済モードは、太陽光発電で発電した電気のうち①宅内で使用している電気に優先的に消費し、②余った電気を売電します。③夜間など発電していない時間帯に電力会社から買電(充電)し、太陽光発電があまり活躍できない雨天や、電気使用量が多くなる夕方以降などに放電します。そのため、時間帯別プランなど電力量料金単価の安い時間帯があれば、充電コストを抑えられます。
グリーンモードの場合は、太陽光発電で発電した電気のうち①宅内で使用している電気に優先的に消費し、②余った電気を蓄電池へ充電し、自家消費に充てることができます。③蓄電池が満充電の場合は売電を行います。太陽光発電の固定買取制度(FIT期間)が終了した方は、このモードに変更することがおすすめです。
安心モード、もしくは類似のモードは、停電に備えて蓄電池内の電気を残しておくことができます。
台風が近づいているときなど、長期停電が予想されるときに蓄電池から電力を消費しないようにとどめておくことができます。
また、最近の蓄電システムは、Wi-Fi環境を利用して天気予報と連動し、気象https://ecodenchi.com/chikudenchi_greenmode/警報が発令したら急速充電を行うなど、充放電をある程度自動的にコントロールしてくれる機能が利用できるものもあります。
メーカーやシリーズごとに独自の機能が搭載されているので、各機能をよく確認しながらライフスタイルに適したタイプを選んでみましょう。
また、蓄電池のモードについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムも参考にしてみてください。
関連コラム:蓄電池のグリーンモードとは?経済モードとの違いやおすすめの時間設定を解説|エコでんち
パワーコンディショナ
蓄電池は、パワーコンディショナによって制御されています。
パワーコンディショナは、電気の直流・交流変換機能のほか、電力の出力制御を行ったり異常発生時に系統(送配電網)と切り離す保護機能が働いたり、システムを支える重要な機器です。
また、家庭用蓄電池の出力や停電時の動作などは、パワーコンディショナによって決まるため、同機器の機能やスペックをよく確認しておく必要があります。
他にもパワーコンディショナには、単機能型やハイブリッド型、トライブリッド型といった種類に分かれていて、連係できる機器の違いや変換効率などに影響を与えます。
ハイブリッド型やトライブリッド型は、1台で太陽光発電と家庭用蓄電池、もしくはV2Hを含めた3台の設備を1台のパワーコンディショナで制御できるシリーズを指しています。
電力の変換ロスを最小限にし、より効率的に電気を使用することが可能です。
単機能型は、太陽光発電やV2H側にもパワーコンディショナが必要のため、電気の効率的な活用という点でデメリットもあります。しかし、既に太陽光発電などを設置している場合には、既存のシステム保証に影響を与えにくいことや、パネルとの相性を考慮する必要がない、といったメリットがあります。
サイズと設置場所
家庭用蓄電池を選ぶ際は、蓄電ユニットやパワーコンディショナのサイズ、設置場所についても比較しておきましょう。
蓄電池の設置場所は、メーカーやシリーズによって屋内専用・屋外専用・屋内と屋外設置可能と、3種類にわかれています。
屋外設置可能な環境であれば、屋外専用や屋内・屋外兼用どちらも検討しやすいといえます。しかし、自宅の外観をそのまま保ちたい、温度や湿度などの影響を受けやすい、外に設置スペースがない、といった場合は、屋内設置や屋内・屋外兼用の中から薄型軽量の蓄電池を選んだ方がいいといえます。
また、蓄電池は、エアコンの室外機に近いサイズ感ではあるものの、蓄電容量やメーカーによって大型タイプから薄型タイプまであります。
よくある質問
-
家庭用蓄電池の容量選びのポイントは?
-
電気代が、毎月5,000円未満なら5kWh前後、5,000~10,000円なら5~10kWh、10,000以上なら10kWh以上の蓄電池がおすすめです。
-
定格容量と実効容量の違いはなんですか?
-
定格容量は、蓄電池に貯めることができる容量です。ですが、定格容量全てを使用できるわけでなく、蓄電が0%にならない為に設けてあるセーフティー容量が実効容量です。つまり実効容量が、蓄電池で使用できる容量となります。
-
メーカーによって特徴は違いますか?
-
大容量が得意なメーカー、ハイブリッドが得意なメーカーなど、一部の機能に特化したメーカーなど各メーカーや製品ごとに特色があります。ご家庭に欲しい機能をまず選んで、そこが得意なメーカーから、蓄電池を探すといいでしょう。
まとめ
家庭用蓄電池の容量選びは、ご家庭の電気の使われ方やライフスタイル、そして導入する目的に合わせて慎重に行う必要があります。
この記事では、蓄電池の容量と出力の基本的な違いから、5kWh、10kWh、15kWhといった容量ごとの家電使用時間の目安、そして「電化製品の種類と使用時間」「太陽光発電の有無」「世帯人数」「使用目的」といった様々な視点からの容量の選び方を解説しました。特に、カタログ上の定格容量だけでなく、実際に使える実効容量を基準に考えることが重要です。
近年多発する災害状況を思い返すと、いつ停電が発生するか分からない時代です。私たちの生活に電気は欠かせないものであり、万が一の長期停電に備えることは、ご家族の安心と安全に直結します。太陽光発電の有効活用と災害への備え、両面を重要視して最適な蓄電池を選ぶことが大切です。
最適な蓄電池は、ご家庭の状況や電気のご使用方法によって大きく異なります。設置場所の条件や初期費用と容量のバランスも考慮し、ご家族で十分に検討した上で、専門アドバイザーにご相談いただくことを強くおすすめします。私たちエコでんちのような専門家が、お客様にピッタリな蓄電池選びを全力でサポートいたします。
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