家庭用蓄電池の寿命と耐用年数は?サイクル数から予測できます。
2020.03.05蓄電池
こんにちは!アドバイザーの近藤です。
今回はよくある質問で家庭用蓄電池の寿命と耐用年数についてお伝えします。
目次
家庭用蓄電池の寿命について
せっかく購入した蓄電池、長く使えると助かりますよね。
家電で考えると、テレビや冷蔵庫といった白物家電の耐用年数は約10年と言われています。
もちろん買い替えもありますが、蓄電池は設置工事もあり、そういう訳にもいきません。
では蓄電池の寿命はどこを見れば分かるのでしょう?
蓄電池の寿命は、蓄電池のメーカーから提示されている場合が多々あります。
記載方法は変わってきますが、大体は期待寿命・サイクル数・使用期間のいずれかで、私たち販売店向け資料に記載されています。
蓄電池の寿命は製品の種類や使用環境、状況といった外部要因、屋外と屋内のどちらに設置しているかによっても大きく左右されます。
一概に寿命といっても年数で表すことはなく、一般的に充電及び放電の過程を1サイクルとする「サイクル数」を用いて寿命を表すことが多いです。
具体的には充電率0%から100%まで充電し、0%まで放電した一連の流れを1サイクルとしています。
ただし、正確にはメーカーごとに定められている「放電深度」によって「1サイクル」の定義が異なっています。
「放電深度」というのは、1サイクル時に蓄電池を何%まで放電するのかを表す数値であり、
この放電深度及びサイクル数はメーカーごとで異なり、核メーカーが想定している使用方法に基づいて算出されています。
時にはサイクル数だけでなく期待寿命として寿命を表示している場合もあります。
こちらは製品の平均的な寿命であり蓄電池を使用したときから
何年先まで充放電機能を維持でっきるかをメーカーが年数で表した数字です。
例えば期待寿命10年の場合は、10年間は問題なく稼働できるが
11年目以降は故障などの問題が発生するというイメージです。
しかし、期待寿命というのはあくまで目安のため日々稼働状態をしっかり管理する必要があります。
さらに、蓄電池の寿命を法定耐用年数で表す場合もありますが寿命と耐用年数に直接的な関係性はありません。
法定耐用年数とは国税庁が定めた減価償却に関する年数のことで6年と定めています。
あくまで税法上の数値のため実際の寿命とは異なっています。
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【リチウムイオン電池の種類】
蓄電池に採用されているリチウムイオン電池には複数の種類があります。
使用している材質や電解液の素材の違いで分類分けされています。
分類 | 特徴 | 寿命(サイクル) |
コバルト系 | 正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛を使用。世界で初めて商品化されたリチウムイオン電池で、主にモバイル機器に使用されています。 | 3000回 |
ニッケル系 | 正極にニッケル酸リチウム、負極に黒鉛を使用。高容量ではあるものの、安全面に課題があります。 | 3000回 |
マンガン系 | 正極にマンガン酸リチウム、負極に黒鉛を使用。マンガンは低価格でありつつ安全性も高いため、自動車に多く採用されています。 | 3000回 |
リン酸鉄系 | 正極にリン酸鉄系リチウム、負極に黒鉛を使用。電池内部で発熱しても結晶構造が崩壊しづらいため安全性が高いのが特徴です。 | 9000~12000回 |
三元系 | 正極にコバルト・ニッケル・マンガンの三種類の原料、負極に黒鉛を使用。自動車向けコバルト系を改良したもので高容量かつ高エネルギー密度です。 | 4200回 |
チタン酸系 | 正極にマンガン酸リリウム、負極にチタン酸リチウムを使用。長寿命と安全性の高さを実現。 |
18000回 |
蓄電池は三元系とリン酸鉄系が多く採用されていますが
最近は安全面から特にリン酸鉄系が主流になっています。
けれど、期待寿命・使用年数は何となくわかりますが
サイクル数での表記だとピンとこない方が多いのではないでしょうか?
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蓄電池のサイクル数とは?
メーカーが公表しているサイクル数は、3000サイクルから12000サイクルまでと幅広くあります。
メーカー | 商品名等 | 定格(kWh) | サイクル数 |
ニチコン | ニチコンポータブル | 2.0 | 3650 |
伊藤忠商事 | スマートスターL | 9.8 | 6000 |
長州産業 | Smart PV | 6.5 | 8000 |
田淵電機 | アイビス4.0 | 4.0 | 12000 |
田淵電機 | アイビスセブン | 7.02 | 12000 |
シャープ | JH-WB1621 | 4.2 | 12000 |
シャープ | JH-WB1622 | 8.4 | 12000 |
このサイクル数とは、充電量が0%の状態から、満充電の100%にして
その満充電にした電気をまた0%になるまでご利用することを1サイクルとして数えます。
1日1サイクルと考えますと、6000サイクルの使用期間は16年程度が目安となります。
最長クラスの12000サイクルの蓄電池だと何と32年も使用ができますね。
蓄電池のサイクル数からわかる経済効果
例えば同じ容量(kWh)で、6000サイクルの蓄電池と12000サイクルの蓄電池では、単純計算で経済効果は2倍も違います。
例:6000サイクル、実効容量10kWhの製品の経済効果を考えた場合
蓄電方法は太陽光発電に限るとし、電気料金が1kWhあたり25円と仮定します。
1日10kWh消費×電気料金25円=250円の削減
毎日250円、毎月7,500円、毎年90,000円(6,000サイクル=6000日=16.6年)約1,500,000円の経済効果を生みます。
例:12000サイクル、実効容量10kWhの製品の経済効果を考えた場合
蓄電方法は太陽光発電に限るとし、電気料金が1kWhあたり25円と仮定します。
毎日250円、毎月7,500円、毎年90,000円、ここまでは変わりません。
(12000サイクル=12000日=33.3年)約3,000,000円という計算になります。
検討している蓄電池が同じ金額だった場合は、迷わずサイクル数の多い方を選んだ方が経済的ですね。
最近では海外メーカーで本体が100万円を切る蓄電池がでてきましたが
価格がいくら安くてもサイクル数(耐用年数、寿命)が少ないと経済的とは言えません。
ご希望であれば、各メーカーの経済効果シミュレーションをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
最近では電気自動車(EV)と比較して検討される方もいますが、自動車は車検・保険・駐車場・メンテナンス費用が別途かかり買い替えも含めると5年~10年の使用年数が一般的です。
定置型蓄電池の場合は約16年~32年の使用ができますので、使用年数とランニングコストを電気自動車(EV)と比べてみると、かなり経済的なのがわかります。
同じ容量の蓄電池があり、サイクル数が異なる場合はサイクル数が多い蓄電池を選ぶ方が良いということはわかりました。
では、容量・サイクル数ともに全く違う蓄電池の場合、どのように選べばいいのでしょうか。
寿命と使用量の関係性について
●寿命×容量が蓄電池の総使用量という考え方
寿命×サイクル数で蓄電池の総使用量が計算できます。
例えば
7kWh・12000サイクルの蓄電池の総使用量は84000となり(7kWh×12000サイクル)
12kWh・8000サイクルの蓄電池の総使用量は96000となります。(11kWh×6000サイクル)
一見7kWh・12000サイクルの蓄電池の方が長持ちするように見えますが
実際使用できる量は12kWh・8000サイクルの蓄電池です。
●定格容量、放電深度、それによる実質容量とサイクル数
「放電深度」とは、容量に対する放電量の割合のことで、容量(Wh)100%に対して充放電させるときのパーセンテージを表します。
つまり、完全に使い切った状態が放電深度100%です。
以下のグラフは面白い実験で、同じ電池をどれだけ使うか(放電深度)によるサイクル数の違いを表にしたものです。
上記グラフを見ていただくとわかる通り、同じ電池を使っていても電気を使い切る量によってサイクル数が異なることがわかります。
放電深度100%の場合のサイクル数が約1000なのに対し
放電深度50%の場合のサイクル数が約4200となり、年数で表すと約8.7年の差です。
ここまで差がでるとは正直驚きでした。
●ご家庭の使用電力量と容量、サイクル数の関係(0.5~2サイクルまで)
ご家庭の1日の使用電力量が7kWhの場合、実質容量7kWh以上の蓄電池なら放電深度による劣化はほとんど心配ないですが、実質容量7kWh以下の場合が充放電(0→100→0)によるサイクル数が多くなります。
蓄電池が0%になる前に充電すれば蓄電池の残量により0.5サイクル、0.8サイクルとカウントされます。
1日に2サイクルできる蓄電池もありますが、放電深度によるサイクル数の変化を考えると2サイクルするなら大きい容量の蓄電池を選ばれた方がいいのではないかと思います。
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一日で使う蓄電池のサイクル数は?
一日1サイクルを使用する場合と一日2サイクル使用した場合、当然使用期間は半分になりますので注意が必要です。
サイクル使用数の目安として、月々の電気料金が平均10,000円の家庭では約4.0kWhクラスで一日2サイクル使用し、約10kWhクラスで一日1サイクル使用すると考えたほうが良いでしょう。
一日1サイクル使用の場合と2サイクル使用のイメージは下記になります。
上記で分かるように、2サイクルの場合は安い深夜電力と太陽光で作った電気をため
朝1サイクル使用し夕、夜のピークでもう1サイクル使用することで経済効果を生みます。
1サイクル使用の場合は太陽光で余った電気をため、朝夕夜のピーク時に使うことで経済効果を生みます。
蓄電池の寿命を長持ちさせるには?
実は、蓄電池本体の性能以外にも蓄電池の寿命に関わることがあります。
すべての蓄電池は特性上、充放電を繰り返す度に充電出来る量が少しずつ減っていきます。
みなさんがお使いの携帯電話も蓄電池と同じリチウムイオン電池が利用されていますが
使っていくうちに「電池の減りが早いなぁ」と感じたことはありませんか。
これはリチウムイオン電池の内部で、充電や放電をするたびに科学反応が起きていることに関係しているのです。
ただ、使用方法や蓄電池の設置場所で多少なりとも劣化率は軽減されます。
せっかく設置いただいた蓄電池を、より長く使用できるような方法をいくつかご紹介します。
●設置場所に気をつける
実は蓄電池を使用する上で“動作温度”というものがあります。
※下の図はシャープの蓄電池に関する仕様情報の抜粋です。
具体的に説明すると、リチウムイオン電池が科学反応を起こす際の適温というものがあります。
外気温が高すぎたり低すぎたりすると蓄電池は正常に動作しないことや、外気温上は問題なくても直射日光があたる場所に蓄電池を設置すると内部の温度が上がってしまい結果として動かなくなる恐れがあります。
それぞれの蓄電池にはこのような規定温度があり、その範囲外の温度になると化学反応が鈍くなってしまったり、寿命が早まったりするのです。
●満充電状態を避ける
同じくリチウムイオン電池の特性として満充電状態が続くと、充電量自体が少しづつ下がっていきます。
使っていないのに減っていくなんてもったいないですよね。
あらかじめ大きめの容量を選択することも長持ちさせるための一つの方法です。
また、過充電といって、すでに100%の充電量であるにも関わらずさらに充電した場合も蓄電池の寿命を早めてしまいます。
いずれにしても満充電状態が引き起こすトラブルですので、極力満充電状態を避けましょう。
●充電残量に余裕を持たせる
反対に充電残量が全くない状態というのも蓄電池にとってはありません。
単にその状態が続くと劣化が進むということもありますが、一番恐ろしいのは火放電です。
蓄電池の残量が十分にないのに電気を使おうとしてしまうと、最悪の場合蓄電池自体が壊れてしまう原因に繋がります。
もちろん、そのような状態にならないような処置が全ての蓄電池には備わっています。
ただ、長期停電やなにかしらの不具合が起きた場合も考えると日頃から放電しすぎないように蓄電池にある程度は電気を残しておいた方が長持ちします。
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メーカーによって蓄電池の無償修理サービスがある?
メーカーが保証している、蓄電池ユニット本体の長期機器保証は一般的には10年~15年程度が多いです。
もしこの保証期間内に、蓄電容量がメーカーの保証している一定基準を下回った場合は、無償での修理・交換が可能です。
※取扱説明書等の記載内容に沿った正しいご使用での場合に限ります。
保証期間内に充電サイクルが早くなったな…と感じた場合は、一度メーカーに確認してみることをおすすめします。
蓄電池は寿命を迎えたらどうなるの?
ご安心ください!!
蓄電池は、保証期間が過ぎたら突然壊れて使えなくなるものではありません。
携帯電話の電池の持ちが悪くなっていくのと同じで、蓄電できる量が徐々に減少していくと考えて頂ければいいかと思います。
具体的には60%~80%分は容量が残っている計算ですので、まだまだ使えます。
30年で60%残っているのであれば、さらに30年くらいは持ちそうですね。
家庭用蓄電池は携帯電話などで使われているリチウムイオン蓄電池よりも強度の高いものが使用されているため、かなり長寿命です。
最終的に充電が出来なくなったなどの場合は、電池交換が必要となってくるでしょう。
現時点での家庭用蓄電池の電池交換は推奨されておりませんが、今後の技術革新などにより可能になってくるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
高価なお買い物だからこそ、メーカーの保証期間・保証内容を含め、蓄電池の寿命にも注目したいですね。
私たちエコでんちでは、お客様のご納得頂ける、最適な商品をご提案させていただきます。
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