家庭用蓄電池の寿命と耐用年数はサイクル数で予測!長く使うコツは?
最終更新日:2022.12.12蓄電池
蓄電池は深夜帯の安い電気を買って充電したり、太陽光発電と組み合わせればタダで作った太陽光からの電気を充電したりできます。
しかし当然ながら「電池」ではあるため少しずつ電池残量は少なくなっていきます。
そんな蓄電池を設置した場合にどのくらいの期間稼働ができるか寿命が気になるものです。
この記事では家庭用蓄電池の寿命や、より長く利用するためのコツについて紹介します。
蓄電池を長い期間使うことができれば、経済性も見込みやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
家庭用蓄電池の寿命は寿命は13年~32年と製品によってさまざま
一言で蓄電池といっても、原材料によってさまざまな種類がありますが、家庭用蓄電池に使われるものとして主流になっているのが「リチウムイオン電池」です。
このリチウムイオン電池の中にも、原材料や製造方法などによって細かく分類でき、寿命の短い製品でも約13年、長い製品だと約30年以上が目安とされています。
メーカーや製品によって使われている電池の種類が異なるうえ
もちろん使い方や使用環境によって、より寿命が短くなったり、長くなったりもします。
蓄電池の寿命の目安になる「サイクル数」
蓄電池の寿命がどのくらいか確認する1つの目安として「サイクル数」というものがあります。
この「サイクル」の数え方は、電池残量が0%の状態から100%まで充電し、再び0%になるまでを1回(1サイクル)としています。
例えば、1日1サイクルで蓄電池を使った場合には、以下のような計算になります。
● 6,000サイクルの場合の目安寿命
6,000÷365日 = 約16.4年
● 12,000サイクルの場合の目安寿命
12,000÷365日 = 約32.8年
サイクル数だけで比較すると、あまりにも目安寿命に差が開くため
「サイクルが長い製品が良い!」と言いたいところですが、
実はこのサイクル数、法的に定められた測定基準がありません。
ある程度、通常使用する場合の環境に沿って測定されているのでしょうが、
測定する室温や湿度、電圧値などはメーカーごとに異なります。
そのため、「サイクルで良し悪しを判断するものではない」として、サイクル数自体を非公表としているメーカーもあります。
サイクルはあくまで1つの目安
例えば、6,000サイクルの製品を実際に6,000回の充放電したからといって、それ以降使えなくなるわけではありません。
最大容量は購入当初よりも当然落ちているはずですが、それ以降も使用することができます。
身近なもので例えるならスマートフォンやタブレット端末で、
例えば、「iPhoneはフル充電サイクルを500回、iPadなら1,000回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計されています」と公表されています。
しかし電池残量が最大80%を下回っても、変わらず使用している人は大勢いるはずです。
あくまでサイクルというのは寿命の目安に過ぎないため、これを製品を選ぶ基準にするのではなく、他の機能面とのバランスを考慮して選ぶことをオススメします。
このように、サイクルだけでは良し悪しの判断がしにくい場合もあるため、どの種類のリチウムイオン電池が使われているかを1つの目安にするのも良いでしょう。
リチウムイオン電池の種類
リチウムイオン電池は以下のような種類があり、目的によって最適な電池は異なります。
また、この表は上から順に危険度が高くなっています。
分類 | 特徴 | 寿命の目安 (サイクル) |
コバルト系 | 世界で初めて商品化されたリチウムイオン電池。熱暴走の危険もあり現在はあまり使われない。 | 3,000回 |
ニッケル系 | 高容量ではあるものの、安全面に課題がある。 | 3,000回 |
マンガン系 | 低価格かつ安全性も高く、自動車などに使用される。 | 3,000回 |
三元系 | 自動車向けにコバルト系電池を改良したもの。高容量かつ高エネルギー密度。 | 4,200回 |
チタン酸系 | 長寿命と安全性の高さを実現した電池だがエネルギー密度が低い。 | 18,000回 |
リチウムポリマー系 | 形状の自由度が高く、軽い。スマホ・タブレットなどに使用。 | 500回 |
リン酸鉄系 | 電池内部で発熱しても結晶構造が崩壊しにくく、安全性が高いうえに高寿命。 | 9,000~12,000回 |
定置型の家庭用蓄電池は長期間の使用が前提であるため、最近では特に安全性に優れた「リン酸鉄系リチウムイオン電池」が主流になってきています。
また安全性の違いについては、以下の2つの動画を参考にしてください。
『エリーパワー 大型リチウムイオン蓄電池セル 安全性ベンチマークテスト』
『日経BP 三元系リチウムイオン電池 釘刺し試験』
蓄電池・V2H検索
「価格」「機能」「容量」「メーカー」で絞り込み検索ができます。
寿命と使用量の関係について
同じ容量の蓄電池があった場合には、よりサイクル数の長い製品の方がオススメです。
では、容量・サイクルともに全く違う蓄電池を比較するときには、どのように比較するとよいのでしょうか。
①容量×サイクル数が蓄電池の総容量という考え方
(例)「6.5kWh/8,000サイクル」の蓄電池と「9.8kWh/6,000サイクル」の蓄電池の比較
・6.5kWh×8000サイクル=総使用量は52,000
・9.8kWh×6000サイクル=総使用量は58,800
サイクル数の長さだけで見れば6.5kWh/8,000サイクルの方が長持ちするように見えますが、実際使用できる量が多いのは9.8kWh/6,000サイクルになります。
②容量・放電深度によるサイクル数の考え方
少し難しい話になりますが、電池の寿命を考える上では「放電深度」も重要です。
★「放電深度」とは
蓄電池の容量に対する放電量の割合のことで、容量100%に対して充放電させるときの%を表します。
(例)10kWhの蓄電池の場合
10kWhのうち9kWh使う場合は放電深度90%
10kWhのうち7kWh使う場合は放電深度70%
そのため同じ電池でも日々の使い方(放電深度)によって、サイクル数にも違いが出てきます。
上のグラフは蓄電池の放電深度(DOD)とサイクル数の関係性を示したグラフです。
容量を100%使い切って使用していく場合は約1,000サイクルなのに対し、50%のみ使用していく場合は約4,200サイクルとなっています。
つまり、同じ蓄電池2台を同じ環境下で稼働した場合でも、日々の充放電の量によってはサイクル数が著しく異なるため、稼働可能な寿命にも違いが生じるのです。
③家庭の電気使用量と容量・サイクル数に関係
太陽光発電がある家庭なら、家庭用蓄電池を活用する時間帯は夕方以降や早朝がメインになります。
この時間帯の電気使用量が1日8kWhの場合、蓄電池の容量も8kWhあれば、1日1サイクルで使用することになります。
しかし蓄電池が16kWhの場合、充放電は「0%→100%→50%→100%」となります。
1サイクル=「0%→100%→0%」のため、上記のような使い方をした場合には、1日0.5サイクルというカウントされるため、より長く使えることになります。
反対に、電気使用量を下回る4kWhの場合、8kWhの電気をまかなうには1日2サイクルで稼働しなければいけません。
そうすると当然、蓄電池の劣化は早まります。
より長く使うことを前提とするのであれば、放電深度によるサイクル数の変化も考えて、家庭の電気使用量よりも大容量の蓄電池がオススメです。
④1日1サイクルと2サイクルの使い方の違い
蓄電池を1日2サイクルで使う場合には、1日1サイクルと比較すれば当然ながら使用できる期間は半分になります。
【1日2サイクルの使い方】
2サイクルで使う場合は以下のような使い方になります。
- 安い夜間電力で充電 → 明け方~太陽光発電が稼働するまでに放電
- 太陽光発電で余った電力を充電し → 夕方~就寝までに放電
ただし12,000サイクルの製品でも、実質使用できる期間は半分になるため寿命も半分となります。
【1日1サイクルの使い方】
1サイクルで使う場合、充電するタイミングは太陽光発電で余った電力が生まれる昼間のみで、他の時間帯は放電を行うことで電気代削減を長期にわたって見込めます。
蓄電池を長くつかうための3つのポイント
蓄電池を長期間つかっていくコツは大きく分けると3つあります。
● なるべく1日1サイクルで使用する
● 満充電、満放電を避ける
● 温度変化の大きい環境での使用を避ける
①なるべく1日1サイクルで使う
先に紹介している通り、電気使用量に対して蓄電池の容量が小さいと、1日2サイクルの使い方になってしまいます。
それを回避するために、家庭の電気使用量よりも大容量の蓄電池や、太陽光発電の余剰電力を最大限活用できる容量を選ぶことがオススメです。
長く使えるものほど、経済効果は増していきます。
②満充電・満放電を避ける
定置型の家庭用蓄電池は、内部のシステムによって動作が制御されています。
そのため基本的には必要以上に充放電してしまう過放電・過放電のリスクはありません。
しかし放電深度の項目でも記載した通り、例えば電池残量の100%を使い切らずに20%で留めた場合は0.8サイクルとカウントされます。
メーカー公称6,000サイクルの蓄電池で1日1サイクル使った場合の使用期間は約16年ですが、1日0.8サイクルであれば約20年になります。
つまり**0%→100%→0%**ではなく、「20%→100%→20%」のような使い方をすれば、より長期間の使用ができるのです。
③極度な高温・低温の環境下での利用を避ける
家庭用蓄電池には、使用するうえで動作温度がメーカーによって定められています。
※下の図はSHARPの蓄電池に関する仕様情報の抜粋
化学反応というのは温度が高いほど活発になり、低いほど不活発になります。
リチウムイオン電池はこの化学反応の影響を受けやすく、通常は温度が高すぎる場所に設置すると蓄電池の容量を超えて充電してしまう「過充電」が起きます。
家庭用蓄電池の場合は、システム制御によってこういったリスクはほぼありませんが
動作温度外の高温・低温となった場合にはエラーが発生し、動作が停止します。
特に、屋外設置の場合は直射日光に当たる場所へ設置すると、簡単に蓄電池の温度が上昇してしまうので注意が必要です。
可能であれば、季節や天気による温度変化の少ない屋内に設置するほうが、電池には優しいと言えます。
蓄電池メーカー別サイクル数の目安
冒頭でも紹介したとおり、蓄電池はメーカーや製品によって寿命が異なります。
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メーカー | 伊藤忠商事 | 伊藤忠商事 | GP-STORAGE | Looopでんち |
品名 | スマートスターL | スマートスター3 | GP-STORAGE | エネブロック |
定格容量 | 9.8kWh | 13.16kWh | 11.5kWh | 2.4kWh~ |
サイクル | 6,000 | 6,000 | 6,000 | 6,000 |
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メーカー | シャープ | シャープ | オムロン | 長州産業 |
品名 | JH-WB1921 | JH-WB2021 | マルチ蓄電 |
スマート |
定格容量 | 6.5kWh | 9.5kWh | 6.5kWh/ |
6.5kWh/ |
サイクル | 8,000 | 12,000 | 11,000 | 11,000 |
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メーカー | ニチコン | ダイヤゼブラ電機 | 京セラ | HUAWEI |
品名 | トライブリッド 蓄電システム |
アイビス7 | エネレッツァ | LUNA2000- 〇-NHS |
定格容量 | 4.9kWh/ 7.4kWh (9.9kWh/ 14.9kWh) |
7.04kWh/ |
5kWh/ |
5kWh/ |
サイクル | 10,000 | 12,000 | 12,000以上 | 12,000 |
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メーカー | リミックスポイント | Jinko Solar | 住友電工 | テスラ |
品名 | リミックスバッテリー | SUNTANK | POWER |
パワーウォール2 |
定格容量 | 11.5kWh | 6.1kWh/ |
12.8kWh | 13.5kWh |
サイクル | 8,000 | 12,000 | 12,000 | 5,000 |
蓄電池をサイクル数上限まで使い切るとどうなる?
蓄電池はサイクル数の上限まで使い切っても、まったく使えなくなるというわけではありませんが、車を乗り換えるように新製品に交換する目安だと考えていただけると良いと思います。
また、容量保証というものがありメーカーによって記載は異なりますが
例えばシャープであれば10年使用しても60%の容量を保証する蓄電池と公称しています。
保証を全製品に対して出しているわけですから、試験結果に対して余裕を持たせた数値と考えることができます。
まとめ
蓄電池は一見すると安くない買い物ですが、最近は30年以上使える蓄電池も増えています。
長寿命の蓄電池を選ぶことによって、今後の電気代上昇に対策ができるうえ、停電や災害時に家族を守るための保険にもなるのです。
また、安くないと思いがちですが、経済効果のシミュレーションをしてみると実はしっかり元も取れてメリットが感じられるケースも多くなってきました。
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