蓄電池

家庭用蓄電池の寿命と耐用年数はサイクル数で予測!長く使うコツは?

2021.07.01蓄電池

蓄電池サイクルイメージ

蓄電池は深夜帯の安い電気を買って充電したり、太陽光発電と組み合わせればタダで作った太陽光からの電気を充電したりできます。

しかし当然ながら「電池」ではあるため少しずつ電池残量は少なくなっていきます。

そんな蓄電池を設置した場合にどのくらいの期間稼働ができるか寿命が気になるものです。

この記事では家庭用蓄電池の寿命や、より長く利用するためのコツについて紹介します。

蓄電池を長い期間使うことができれば、それだけ元も取りやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。

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家庭用蓄電池の寿命は15年~33年が目安

電池の原材料による寿命の目安は、経済産業省の「蓄電池戦略プロジェクトチーム」が発表した資料によると以下のように算出されています。

電池の種類 寿命の目安
リチウムイオン電池 6~10年
3,500サイクル
鉛蓄電池 17年
3,150サイクル
NAS電池 4,500サイクル
ニッケル水素電池 5~7年
2,000サイクル

このように電池はさまざまな原材料で作られていますが、家庭用蓄電池には主にリチウムイオン電池が使われていることが多いです。

ただ、リチウムイオン電池にも原材料によって種類が複数あり、どの電池を使っているかによって蓄電池の寿命も大きく異なります。

現在販売されている家庭用蓄電池では、寿命の短い製品でも約15年(6000サイクル)、寿命の長い製品だと約30年(12000サイクル)もの寿命をもっています。

もちろん使い方や使用環境によっては、より寿命が短くなることも、反対に長くなることもあります。


蓄電池の寿命の目安になる「サイクル数」

蓄電池の寿命がどのくらいか確認する1つの目安として「サイクル数」というものがあります。

この「サイクル数」とは、充電量0%の状態から、100%まで充電し、再び0%になるまで使うことを1サイクルとして数えます。

蓄電池1サイクルイメージ

例えば1日1サイクルで蓄電池を使った場合には、以下のような計算ができます。

・6,000サイクルの場合
6000日÷365日=約16.4年の寿命

・12000サイクルの場合
12,000日÷365日=約32.8年の寿命

ただし、このサイクル数には法的に定められた測定基準がなく、メーカーによっては公表していない場合もあります。

その場合はどの種類のリチウムイオン電池が使われているかを目安にするといいでしょう。

リチウムイオン電池の種類

リチウムイオン電池は以下のような種類があり、目的によって最適な電池は異なります。

また、この表は上から順に危険度が高くなっています。

分類 特徴 寿命の目安
(サイクル)
コバルト系 世界で初めて商品化されたリチウムイオン電池。熱暴走の危険もあり現在はあまり使われない。 3,000回
ニッケル系 高容量ではあるものの、安全面に課題がある。 3,000回
マンガン系 低価格かつ安全性も高く、自動車などに使用される。 3,000回
三元系 自動車向けにコバルト系電池を改良したもの。高容量かつ高エネルギー密度。 4,200回
チタン酸系 長寿命と安全性の高さを実現した電池だがエネルギー密度が低い。 18,000回
リチウムポリマー系 形状の自由度が高く、軽い。スマホ・タブレットなどに使用。 500回
リン酸鉄系 電池内部で発熱しても結晶構造が崩壊しにくく、安全性が高いうえに高寿命。 9,000~12,000回

定置型の家庭用蓄電池は長期間の使用が前提であるため、最近では特に安全性に優れた「リン酸鉄系リチウムイオン電池」が主流になってきています。

電池の種類による安全性の違いについては、エリーパワーの動画を参考にしてください。
『エリーパワー 大型リチウムイオン蓄電池セル 安全性ベンチマークテスト』


寿命と使用量の関係について

同じ容量の蓄電池があった場合には、よりサイクル数の長い製品の方がオススメです。

では、容量・サイクルともに全く違う蓄電池を比較するときには、どのように比較するとよいのでしょうか。

①容量×サイクル数が蓄電池の総容量という考え方

(例)「6.5kWh/8,000サイクル」の蓄電池と「9.8kWh/6,000サイクル」の蓄電池の比較

・6.5kWh×8000サイクル=総使用量は52,000
・9.8kWh×6000サイクル=総使用量は58,800

サイクル数の長さだけで見れば6.5kWh/8,000サイクルの方が長持ちするように見えますが、実際使用できる量が多いのは9.8kWh/6,000サイクルになります。

②容量・放電深度によるサイクル数の考え方

少し難しい話になりますが、電池の寿命を考える上では「放電深度」も重要です。

「放電深度」とは蓄電池の容量に対する放電量の割合のことで、容量100%に対して充放電させるときの%を表します。

(例)10kWhの蓄電池の場合

10kWhのうち9kWh使う場合は放電深度90%
10kWhのうち7kWh使う場合は放電深度70%

そのため同じ電池でも日々の使い方(放電深度)によって、サイクル数にも違いが出てきます。

放電深度によるサイクル数の違いグラフ

上のグラフは放電深度(DOD)とサイクル数の関係性を示したグラフです。

放電深度(DOD)が100%の場合はサイクル数が約1,000なのに対し、50%の場合はサイクル数が約4,200となります。

③家庭の電気使用量と容量・サイクル数に関係

家庭の1日の電気使用量が10kWhの場合、蓄電池の容量も10kWh以上であれば放電深度による劣化の心配はほぼありません。

しかし蓄電池の容量が7kWhの場合は、充放電(0→100→0)のサイクルが多くなります。

蓄電池は0%になる前に充電すれば、残量によって0.5サイクル、0.8サイクルとカウントされます。

1日2サイクル使える製品もありますが、より長く使うことを前提とするのであれば、放電深度によるサイクル数の変化も考えて大容量の蓄電池がオススメです。


1日1サイクルと2サイクルの使い方の違い

蓄電池を1日2サイクルで使う場合には、1日1サイクルと比較すれば当然ながら使用できる期間は半分になります。

【1日2サイクルの使い方】

2サイクル使用のイメージ

2サイクルで使う場合、安い深夜電力と太陽光で作った電気を貯めて、朝と夜で1サイクルずつ使うことで電気代削減を最大限に見込めます。

ただし、12,000サイクルの蓄電池であっても使用できる期間は半分なので約16年の寿命になります。

【1日1サイクルの使い方】

1サイクル使用のイメージ

1サイクルで使う場合は太陽光で余った電気を貯めて、朝夕夜に使うことで電気代削減を長期間見込みます。


蓄電池を長期間つかうための3つのポイント

蓄電池を長期間つかっていくコツは大きく分けると3つあります。

・なるべく1日1サイクルで使う
・満充電・満放電を避ける
・高温な環境下での利用を避ける

順番に解説します。

①なるべく1日1サイクルで使う

先に紹介している通り、電気使用量に対して蓄電池の容量(kWh)が小さいと、1日2サイクルの使い方になってしまいます。

それを回避するためには、太陽光からの充電を最大限活用して大容量の蓄電池を選ぶことがオススメです。

長く使えれば使えるほど、経済効果は上がっていくため元も取りやすくなります。

②満充電・満放電を避ける

定置型の家庭用蓄電池は、内部のシステムによって動作が制御されているため基本的に過充電・過放電のリスクはありません。

しかし放電深度の項目でも記載した通り、電池残量の100%を使い切らず20%まで使った場合は0.8サイクルとカウントされます。

メーカー公称6,000サイクルの蓄電池で1日1サイクル使った場合の使用期間は約16年ですが、1日0.8サイクルであれば約20年になります。

つまり0%→100%→0%ではなく、20%→80%→20%のような使い方をすれば、より長期間の使用ができるのです。

③極度な高温・低温の環境下での利用を避ける

家庭用蓄電池には、使用するうえで動作温度がメーカーによって定められています。
※下の図はSHARPの蓄電池に関する仕様情報の抜粋

シャープの蓄電池に関する仕様情報の抜粋

化学反応というのは温度が高いほど活発になり、低いほど不活発になります。

リチウムイオン電池はこの化学反応の影響を受けやすいため
温度が高すぎる場所に設置すると蓄電池の容量を超えて充電してしまう「過充電」が起きます。

ただ、定置型の家庭用蓄電池の場合は、内部システムの制御によって「過充電」や「過放電」といったリスクはほぼありません。

しかしながら直射日光の当たる場所や暖房機器の近くなどは避け、温度変化の少ない場所に設置することが重要です。


蓄電池メーカー別サイクル数の目安

冒頭でも紹介したとおり、蓄電池は製品によって6,000サイクル~12,000サイクルと幅広いです。

メーカー 品名・型式 定格容量 サイクル数
伊藤忠商事 スマートスターL 9.8kWh 6,000
長州産業 Smart PV 6.5kWh 8,000
オムロン マルチ蓄電プラットフォーム 9.8kWh/16.4kWh 11,000
田淵電機 アイビス7 7.04kWh 12000
HUAWEI (ファーウェイ) LUNA-2000シリーズ 5kWh/10kWh/15kWh 12,000
シャープ JH-WB1621 4.2kWh 12,000

メーカーや製品によってはサイクル数が公表されていないこともあります。

例えばシャープの9.5kWhの機種も未公表ですが、上の表の4.2kWhの製品と同じ種類の電池を使っているため12,000サイクルだと推測されます。

 


蓄電池をサイクル数上限まで使い切るとどうなる?

蓄電池はサイクル数の上限まで使い切ったら、全く使えなくなるというわけではありません。

メーカーによって記載は異なりますが
例えばシャープであれば約12,000回の充放電を繰り返しても約70%の容量を維持する蓄電池と公称しています。

ただし、20年や30年と使用した場合にどの程度まで容量を維持できるかは使い方次第になります。

「シャープ JH-WB2021 9.5kWh」を1日1サイクルで使用した場合、約30年後には6.65kWhの蓄電池ということなのでさらに数十年はもちそうですね。

また、メーカーによって10年~15年の無償交換サービスもあります。

もしこの保証期間内に、蓄電容量がメーカーの補償している一定基準を下回った場合は、無償で交換・修理が可能です。

保証期間内に充電サイクルが早くなったな…と感じた場合は、メーカーに確認してみることをオススメします。


まとめ

蓄電池は一見すると安くない買い物ですが、最近は30年以上使える蓄電池も増えています。

長寿命の蓄電池を選ぶことによって、今後の電気代上昇に対策ができるうえ、停電や災害時に家族を守るための保険にもなるのです。

また、安くないと思いがちですが、経済効果のシミュレーションをしてみると実はしっかり元も取れてメリットが感じられるケースも多くなってきました。

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